古典の第二回目からしばらくは、古文文法の説明をしていきます。
そのために今日は「品詞分解の仕方」。品詞分解されたものを暗記しても仕方ないんですよ。自力でできますか?そのためにはどうやるか説明できますか?
この記事は、これから古文の文法を学ぶために、最終的な目標である「品詞分解」がどうやってやるかを簡単に説明することで、文法を覚えるポイントを説明するためのものです。
順番に文法を整理した後、最終的に、以下のページでもう一度、品詞分解について学びます。
自信のある人は、こちらでも練習をしてみてください。
文法を使う形で整理しなおす
古文の学習と文法についての考え方をまとめていくと、
- 読解力は文章を読むことで向上する。文法が終わっていなくても、読解練習は必要。
- 文法ができても読めるようにはならない。話がわかるようになっても、テストの点数があがるとは限らない。問題で得点をとるためには、正確な文法の知識、理解が必要。
- 読解に文法が役立つこともある。そのためには、読解で使う形を意識して、文法を頭にいれておく必要がある。
では、読解のためにどのような形で覚えるのか、といえば、前回、説明した品詞分解の方法などがまずは参考になるでしょう。
品詞分解の方法は
- 動詞を探して、活用させる。
- 活用形から、助動詞の接続の分類をもとにして、助動詞の「アタリ」をつける。
- 助動詞がわかったら、その意味=訳が言えるかつ
です。
だとすると、理解の順番としては、
- 動詞と形容詞の活用を理解する。
- 助動詞の接続を覚える。
- 助動詞の意味をいえる。
というこれでほぼすむことになります。だから、この順番で文法を説明していきます。決定的に違うのは助動詞の頭への入れ方ですが、動詞の活用についても、実際にやってみると、多少の違いが起こると思います。
まず動詞の活用を理解しましょう。
次に助動詞の接続が必要になります。
助動詞の意味もわからないとまずいですね。
それができたら、実践練習に入れます。実際にやると、文法が抜けなくなりますよ。
品詞分解の例
それでは、どのように使うか、やってみましょう。
たとえば、
咲きにき。
- 動詞を現代語で探します。「咲く」ですね。活用させていくと、「咲か・ず、咲き・て、咲く。咲く・こと、咲け・ど、咲け!」と活用していきますから、「咲き」までが動詞で、連用形であることがわかります。
- とすると、下に続く「にき」が連用形接続の何かであることがわかります。連用形接続の助動詞は「き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり」ですね。この中のどれかが「にき」の「に」か「にき」になったわけですね。そう考えると、「ぬ」があやしく、「ぬ」が「にき」にはなりそうにないと見当がつきます。
- というわけで「ぬ」「き」と切れますから、この助動詞の意味=訳がわかればいいことになります。「ぬ」は完了=てしまう、「き」は過去=た、ですから、
- 訳は「咲いてしまった」となります。
こんな感じです。実はこの作業には、助動詞の活用という流れが入っていません。もちろん、完了の助動詞「ぬ」が「な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね」と活用するという作業から、「に」に行き当たるという作業も想定できますが、実際にはほとんどの国語の先生は自分ではその作業はしていません。
説明としては、活用を使う。でも、実際はやっていない。
私はこうなっていると思います。活用表から説明するということは、
自分の頭の中に活用表を広げて、どの活用なのかを探しているということです。そんなことしていません。少なくとも私は。
そんなやり方をした場合、たとえば、断定の助動詞「なり」の連用形の「に」と両方浮かんで、そして、検討の結果、完了だと決める、というような流れになるはずです。
実際には、見た瞬間、完了だと気づいています。
咲きにき。咲きにけり。とかのパターンとして、すでにもう知っている、というのが正しいでしょう。
その感覚にできるだけ近づけていくのが、私の示す方法です。
では、もう一回やってみましょう。少し自力でやってください。
投げてむ。
- 動詞を現代語で探します。活用させて、活用形をお願いします。
- そこがその活用形になるのは、下がその活用形接続の助動詞だからです。もちろん、ここは覚えてないとだめですね。アタリがつきましたか?
- その助動詞の意味=訳、は何ですか?言えないとすれば、ここも問題です。
では、一緒にやってみましょう。
- 現代語で「投げる」ですね。「投げ・ず。投げ・て、投ぐ。投ぐる・こと、投ぐれ・ど、投げよ」と活用しますから、「投げ」未然形か連用形ですね。
- そうなるのは、下「てむ」または「て」が、未然形接続「む・ず・むず・す・る・じ・まし・まほし」連用形接続「き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり」のどれかだからです。たぶん、「つ」ですね。
- 「つ」は完了「てしまう」です。(本当はここは完了ではまずいのですが‥それはまたあとで)残った「む」は推量「だろう」ですね。(ここも本当は推量ではまずいですが、それもまたあとで)
- というわけで、「投げてしまうだろう」という訳ができあがります。
いかがですか?
文法を学ぶ順番
というわけで、次回から、文法を説明していきます。ステップは以下の通り。
- 動詞「現代語と古語の違いを覚える」
- 動詞「例外の動詞を覚える」
- 動詞「活用させる」
- 動詞「疑問文と強調文を作る」
- 形容詞「現代語の形容詞を古文に直せる」
- 形容詞「活用させる」
- 助動詞「接続を覚える」
- 助動詞「意味の『箱』を覚える」
- 助動詞「未来形を理解し、未来の輪を覚える」
- 助動詞「意味の細かい説明「受け身」「使役」「存続」」
- 助動詞「助動詞を組み合わせる」
- 助動詞「活用を整理する」
これで基本形が終わります。
あとは敬語が待っています。敬語は読解には欠かせないこと。でも、最近意外と説明しているものを多く見るようになりましたから、知っている人も多いかもしれませんね。
助詞については、大半が覚えるというより、読解に使うものが多くなりますし、また一部は、文法というより単語の領域に近くなりますので、いわゆる文法説明からははずします。
というわけで、今回はこのへんで。ちなみに私が担当する場合、高1に0から文法を教えるとして、読解の基本をスタートでやりながら、4月なかばから6月中旬の週2時間の授業で、中間試験期間もこみで、すでに12まで全部終わっています。説明だけでなく、練習を入れてです。
そして、すでに授業はもう読解です。
では、これから大学受験に向けてがんばりましょう。
古文の文法学習は以下にまとめます。