国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

文学史の頻出は古典!まずは源氏物語と枕草子を中心におさえよう! 文学史~中古

文学史についてまとめるリクエストがあったのではじめます。
入試では、特に私大文系では、1点を争うわけで(明治はボーダーラインの1点下に100人いるんです)、当然やらないわけにはいきません。
それから大事なことですが、大学入試で出題される文学史はほぼ古典分野に限られます。
なぜかというと、難関大学では、文学史や漢字をわざわざ別の設問としては立てないからです。
もう少しきちんと説明すると、現代文分野はたいてい、ただの評論ですから、関連する現代文の文学史を出題する余地がない。したがって、古典分野できくんですね。古典なら、そもそもが文学作品ですから、いくらでもそこから文学史の問題が作れます。
現段階で、現代文、つまり近代文学の文学史を継続的に出題するのは、難関大学では早稲田の政経です。常に近代、明治から大正の文豪の文章を現代文で出すからです。そういった文章といえば、一橋や早稲田文化構想、たまに明治法あたりですが、文学史の出題となると、早稲田政経ですね。
それ以外だと、やっぱり文学部の文章は、そういう絡みになることがたまにありますので、文学部狙いの人は現代文も注意です。
では、始めましょう!



源氏物語は大きな境目~源氏物語に影響を与えた歌物語と作り物語

源氏物語は、日本が誇る長編物語、ですね。いやいや、こんなものがあの時代にポンとできあがっているとはにわかには信じられないぐらいすごいものですね。したがって、文学史の問題は、当然、作者と作品名が問われますが、おおよそのジャンルや内容、そして源氏を中心とした成立時期まで問題になってくるわけです。
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源氏物語に大きな影響を与えたのは、歌物語と作り物語

源氏物語以前の物語はほとんどないといっても過言ではないのですが、それを言い出すと、源氏物語以後もないかもしれないぐらい、すごい作品だというだけですね。
当然、物語は日本にも存在しますから、それが源氏物語につながった、と考えることができます。

作り物語

ひとつは「作り物語」と呼びますが、要は「フィクション」というか、「物語」そのものです。
有名なのは、竹取物語。
そして、落窪物語と宇津保物語のふたつです。源氏より古いものの中で、タイトルだけでなく、内容まで残っている作品はほかにはほぼないのです。
この「ない」ということは思っている以上に重要なことです。
つまり、入試で出題される文章は、江戸時代をのぞけば、非常に限られた作品しかない、ということ。みなさんが教科書で知った作品以外に、もうちょっと説明するなら、今日、ここで書かなかった作品は「ない」のですから、入試に出題されようがないのです。
ということはあらすじを覚えておけば、だいたいなんとかなりますよね?
「え~。源氏をマンガで読むのはいいけど、マンガじゃないのは無理だよ」という声が聞こえてきそうですが、あんなばかみたいな長編は源氏だけ。ほかの多くの作品は短編も短編です。したがって、だいたいの筋を覚えるぐらい楽勝なんですね。

竹取物語

いわずとしれたかぐや姫の話。有名すぎて入試ではでません。

落窪物語

継子いじめの話です。継母がいじめる話。いじめられるのは美人でってだいたいそうですよね。中納言の娘が継母とその娘にいじめられる。で、ヒーローの少将が、これを助けて自分の屋敷に迎え入れて、最後は復讐をします。継母とその姫をこらしめる、っていうところからすると、シンデレラはイメージするといいかもしれません。

宇津保物語

短い話ばかりと書いた直後で申し訳ありませんが、結構な長編です。で、また、あんまりうまくない。話があっちいいたり、こっちいったり…。なので、話が点々としますが、入試にでる観点でまとめておきます。
まずは、最初の主人公、俊陰が唐に渡る途中、漂流して、仙人から琴の秘曲を授けられて帰ってくるという部分。舞台がペルシアになるんですが、「異国の地で、俊陰が秘曲を授かって最後は帰る」ということを理解しておくと楽になることが多いです。ちなみに帰ってくるまで23年。結構なドラマがありそうですよね。
次が帰ってきたあと、この秘曲は、俊陰の娘にひきつがれます。生活は貧窮して山の木のうつほで息子と暮らすので、これで宇津保物語。これで、俊陰につたえられた秘曲は、俊陰、娘、その息子と3代に引き継がれることになります。
で、ここが死ぬほど長いというか、書き足して詳しくなっていくというか、この三代目の息子があて宮(貴宮)という姫へ求婚する話。かぐや姫のパターンです。いろいろな男から、求婚されます。で、琴の秘曲を使って争うわけですね。結局は、このあて宮、東宮と結婚して宮中に入ります。ここは死ぬほど長いので、基本的に、「あて宮=ヒロイン」をとりあう話。武器は琴。ふられる。ぐらいでイメージしておけばいいと思います。
最後が、いぬ宮の話。この息子は、女の一宮という女性と結婚して、娘のいぬ宮が生まれます。秘曲はこのいぬ宮にひきつがれ、みんなに感動を与える、ぐらいでしょうか。
うつほのシーンが終われば、ふられることをのぞいて、琴によって、一族が栄えていく、という話です。

歌物語

歌物語は大和物語、伊勢物語、平中物語の3つです。
歌というのは、ラブレターですから、つまり、恋愛物語、ということ。しかも、長編ではなく、短編集。伊勢の場合、一応、主人公設定はありますが、短編間の相互のつながりはなく、一話読み切り、という感じ。入試には出しやすいですよね。
要は、歌を使った恋の物語ということ。うまくいく、いかないないなど、短編ですからその都度、変わりますが、恋愛物だとおもいつつ、ハッピーエンドかどうかを気にしながら読むのがよいですね。


源氏の時代の歴史背景

さて、こうして、源氏物語が成立するわけですが、実際の歴史を考えてみたときに、摂関政治を忘れるわけにはいきません。
摂関政治というのは、自分の娘を帝と結婚させて、男の子を生ませ、これが帝となったとき、摂政関白として政治の実権を握る、ということなのですが、言葉でわかっても、本当にわかってます?
なんで、こんなことで政治の実権が握れるのか?
おじいちゃんだから??
なんで、お父さんや、父方のお父さん、つまり、もうひとりのおじいちゃんは実験を握れないんですか?
ちゃんと考えてみましょうね。
これはすごい仕組みで、お父さんをはじめ、父方はそもそも帝の系譜なんですね。
つまり、すでに帝であった以上、今は帝でない。
死んでいるか、引退しているか。
シンプルにいうと、帝と娘を結婚させて、次期帝が誕生したら、今の帝を引退させると、頼れるのは母方だけになるわけです。父方は「以前帝だった、今は権力を手放した人たち」みたいなことです。引退させるのは出家がいいですね。大鏡の花山院の出家、みたいに、世をはかなませて、要は恋に破れさせて出家させれば、これで権力はやってきます。
そうするために、必要なものは?
自分のあととりとしての息子、だけでなく、帝が気に入る最高の女。これが重要だったんです。あっちこっちで、奥さん作って、「いい女」が出てこないとまずい。かわいい女はいいんですけど、歌、音楽、字などの教養もつけないとまずい。
というわけで、自分の娘のエースを教育していく必要が出てきます。ここで出てくるのが、家庭教師のような女房達。清少納言や紫式部、和泉式部などです。
まさに、彼女たちはまったく同時代に、同じ指名を持ったライバルとして、その教養としての表れの作品を作り出していきます。
さて、ここで歴史の人物名を入れていきましょう。
まず、この権力を握るのが、藤原兼家。このお父さんに権力を持たせようと息子たちが暗躍します。
長男は、道隆。兼家の権力を引き継いだ道隆は、娘、定子を一条天皇に嫁がせ、定子を中宮、つまり、帝の正妻にすることに成功します。この定子についていたのが、清少納言ですね。
道隆の弟に、道長がいます。娘は彰子。この娘についていたのが、紫式部と和泉式部。
さて、歴史の話です。私たちが知っている権力者の名前は、藤原道長。弟の方ですね。これは圧倒的におかしい。権力は息子に受け継がれていくのが普通とみていいでしょう。
まず、道長に権力がいく条件としては、道隆がいなくなること。実際に病気でなくなっています。
しかし、その場合、権力は伊周という道隆の息子にまわっていく可能性がたかかったはず。道隆は娘定子を、中宮にまでしているわけですから、結構強固な地盤ができています。
道長がやらかしたことはふたつ。ひとつは伊周を陥れること。彼の家臣が天皇家に弓を引いたという事件をでっちあげ(?)伊周を権力の座から追い落とします。これにより定子は後ろ盾がいなくなりますね。
そして、もうひとつは彰子を中宮にすること。もちろん、中宮はひとりですが、「中国には中宮の他に皇后がある」的なことをいって、中宮を二人にしてしまいます。となれば、後ろ見のいない定子がおちぶれるのも必然。
こんな背景の中で、源氏物語や枕草子はできあがっています。
特に枕草子は、日記的ですから、こうしたことがつぶさに書かれているといっても過言ではありません。もちろん、おちぶれる側ですから、文句はかけない。だからこそ、定子との美しい思い出、というような書きぶりになります。
ちなみにですが、「殿などのおはしまさで後」とか「職の御曹司におはします頃」なんて、始まったら、おちぶれてひどい時期です。前者は「道隆様がおなくなりになって」で、後者は「中宮定子様が中宮職という中宮につかえる人が入っている詰所に住んでいらっしゃるとき」ということなので、ひどいパターン。逆に、道隆が登場しているなら、きらきらしています。


枕草子と蜻蛉日記

さて、まずはここまでで、源氏物語以前か以後かわかりますよね?
父=兼家
長男=道隆
弟=道長
です。
源氏物語は成立、ちょうど1000年。諸説ありますが、国語の私たちはきりがよく、おぼえやすい1000年ですませてしまいましょう。弟、道長につかえています。
枕草子は兄、道隆につかえて清少納言。こっちのが古いですね。
父、兼家といえば、蜻蛉日記の作者、道綱母の夫。そりゃ、正妻の方が大事で、道綱母にくる暇はありません。これがその前ですね。

土佐日記と更級日記

筋は次回として、先に進みます。
土佐日記といえば、紀貫之。キャッチフレーズがありまして、日本最古の日記文学。これが日記か、というつっこみはさておき、一番古いわけですから、蜻蛉日記よりも古い。で、これが古今和歌集の成立の頃でしょう。
日記といえば、もうひとつ更級日記。菅原孝標女ですね。
「源氏物語が読みたい」の人ですから、当然源氏物語のあと、ですね。


栄花物語と大鏡

こうした政争をえがいたのが、歴史物語の栄花と大鏡ですね。これは成立は源氏の後。先にできていたなら予言者です。
しかも、齢200歳のおじいちゃんが語ったっていう体をとっているのが大鏡ですから、結構成立は後。
栄花と大鏡の成立は名前をみればどっちが先かわかります。
藤原氏の栄華を描いているから栄花。要するに権力によいしょしてるんです。
一方、大鏡は作者不詳の上に、200歳のおじいちゃんから盗み聞きした話を書いたっていう体。書いた正体がばれたくなかったんでしょう。
かくした上にばれたとしても、「いや私がいったんじゃないんです。おじいちゃんです」という言い訳ですね。
というわけで、批判的な内容もふくむのが大鏡。
時間が過ぎて、危険がうすれたから、批判もしはじめられるわけです。

こんな風にただおぼえるんじゃなくて、人間関係や背景をふくめると、忘れにくいし、おもしろいですよ。次回はここに歌集を重ねて、各作品の紹介と、源氏以後を追加します。
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