夏休みが終わるとだいたいセンターまで130日ぐらい。少しずつ、入試の足音が聞こえてきそうです。
センター試験もあと2年ですが、とはいえ、受験をする生徒からすれば、センター対策はあと2年重要であることは変わりありません。
というわけで、センターの傾向分析について、触れておこうと思います。
国語の配点と時間
国語の配点は200点、時間は80分です。
評論、小説、という流れで、ここは明記されている現代文分野が50点×2
古文、漢文という流れで、ここも明記されている古典分野が50点×2
合計200点です。
時間配分については自由どころか、現代文分野と古典分野の時間設定もされていませんので、時間は自由です。
というか、ここは大きな問題の場所ですが、「現代文のみ」とか「漢文分野を除く」というような大学があったとしても、時間は同じ80分です。もちろん、併願をかける大学がひとつでも全分野なら、80分で200点分なのですが、現代文のみ100点の場合でも200分使えるわけです。
このあたりは、共通テストでは改善する、ということですが、結構あやしい感じだと個人的には思っています。またこのあたりは共通テストの分析の時に。
評論の出題傾向(本文の傾向)と配点
評論はというわけで、50点。
まず、本文の傾向ですが、色の少ない文章というのが王道です。
社会科学的だったり、文学的だったりすると、特定の学部志望者に対して有利に働くような問題になりがちです。
したがって、一般教養的な文章が多くなります。
芸術・絵や音楽
メディアや流行
自己やアイデンティティ、学び
環境や自然
都市や交通
といったような文章です。
これは国語の入試問題全般で言えることですが、
立教大学や東洋大学のような大学で問題をそろえて作っているような大学
国立2次のような文系共通問題も同じような傾向が強くなります。
一方、配点は、まず漢字が1問2点で5問で10点。
評論の配点が50点ですから、残りが40点。
これが大体6問ということになっています。
問2~問5がそれぞれ傍線部A~Dに対応していることが多く、これで4問。そして、最後の問が2段階に分かれていたり、ふたつの正解を選択させたり、というような形で2問。多くの場合、7点×4と6点×2で40点という構成です。
問の傾向
それでは問いの傾向をまとめましょう。共通テストの試行調査が昨年行われ、さらに問題の出題傾向が変わっているように感じます。写真が載った文章が出たのも、実は試行調査ですでにやっていたことで、予想の範疇でした。そういった意味でも、今年もう一度試行調査が行われますが、高校3年生こそ、しっかりと取り組んでおくべきです。もちろん、出ない問題も決まっているわけですが、きちんと見ておきましょう。
では、センター試験の傾向を簡単に説明します。
空所補充問題はない
著作者への配慮だと思われますが、現代文分野では、一切本文に傷をつけません。これは私立大学との大きな違いです。したがって、自分の受験する私立大学が全部マーク式だからといって、マーク模試だけを受けるというのは間違いの典型です。
センター試験には、
- 空所補充問題
- 欠文補充問題
- 接続詞の補充問題
- 並べ替え問題
- 間違った語を指摘したり、正しい語に直したりする問題
一切出題されません。
さらに言えばマーク式ですから
- 抜き出し問題
- 言い換え問題
なども出ないということになります。
センター試験は、大きく二つの問題になります。
- 傍線部とありますが、それはどういうことですか。
- 傍線部とありますが、それはなぜですか。
という2種類。
そして、さらにいうなら
- 本文の内容と照らし合わせて正しいもの(間違っているもの)を選びなさい
という3種類に限定されてきます。もちろん、派生した様々な問題はありますし、おそらく今年あたり、勝手に文章を読んで、討論をはじめるような問題が出ると予想しています。今年か、来年、必ず出ると思います。
戻ります。その3種類の解き方はすでに説明しました。
「傍線部とはどういうことか」の問題の場合、傍線部そのものの表現と選択肢の表現の呼応を見る、というのは答えを決めるうえでとても大切な作業ですので、しっかりと呼んでおいてください。
センターが難しい、点が安定しないという人は、たいていこの作業が欠落しているので。
要約問題がほとんど
次にあまり言及されていないのですが、センター試験はほとんど段落要約キーワードで答えが作られています。
問二~五の四問構成であるということは、
- 文章を四段落に区切る
- それぞれで一問ずつきいていく
- 段落キーワードが4つ聞かれる
- 聞けないキーワードがある場合、本文理解の問六などで、その部分が聞かれる
ということになります。
もう少し、言及してしまいます。
たとえば傍線Aが第3段落の終わりにあり、傍線Bが第4段落のはじめにある、というような場合、問二傍線Aで第一段落から第三段落までのA要素を聞いていて、問三傍線部Bは第四段落以降のB要素を聞いているということです。
センター評論をながらく見ていますが、この順番が入れ替わるような問題はほとんど出ていません。だから、必ず、順番に聞かれている、といってもいいでしょう。
このことは、
センターは、傍線が出てきたら、読むのをやめて問題をといて構わない
ということです。
傍線の近く、最後であれば、前、最初であれば後、中盤であれば、最初と最後、にあるわけですから。
「問題を解いて構わない」というぼかした表現にするのは、おすすめはしないからです。センターの小説をはじめ、東大などの国立、早稲田など、そんな風に作っていると決まっている大学はほかにはほとんどありません。(たとえば、早稲田の法の社会医科学的文章はほとんど段落要約ですが…)
どういうことかというと、第一段落に穴があいていて、最終段落からひっぱってくる、なんていう問題はいくらでも出ます。だから、ほかの大学では、
「全部読み終わって言いたいことが分かってから問いに向かう」
ということになりますので、センターだけ違うやり方というのはおすすめしません。
しかし、センターは段落要約ですすむ、ということは、段落の境目、つまり「言いたいこと=例=言いたいこと」の構造をつかむと、非常に点が入りやすい、ということになります。
というわけで、もう一度このあたりの復習をしましょう。
日常生活の例など自分で考える問題が頻出
最近の傾向としては、本文の抜き出し的な正解選択ではなく、本文で言っている内容をざっくりと言い換えている選択肢が増えている気がします。
つまり「わかる」ことの重視ですね。
本文の言いたいことがざっくりとわかっているかどうか。だから、本文にはない表現だけれど、あっていれば〇という感じの選択肢が増えています。
その典型例が、
傍線部の「例」として正しいものを選べ
というような問題。
言いたいことがわかって、それを説明している文章を同じかそうでないか見させるわけです。
一番簡単なのは、討論を始めさせることで、誰があっていて、誰がまちがっているか、というような形、あるいはどこがあっていて、どこが間違っているか、というような問題も作れるでしょう。
形を変えて無限に作れるところも、今後の出題として増えていくと思われます。
まとめの問題は最終段落をしっかり読む
生徒を見ていると一番多いのは、傍線部を見て、その前後で問いを解くというようなやり方でしょう。
このようなやり方をしているときに困るのが最終段落まで読まないことです。
問いを解くために問題文を読んでいるので、解き終わると読まないわけです。
たいていの場合、この最後の何段落かは、まとめの問題のためにあります。聞けなかったところは、問六のまとめ問題で聞くんです。
そもそも、
- 傍線部とはどういうことか→傍線部と選択肢を照合。×選択肢と本文
- 傍線部とはなぜか→直前直後の根拠と選択肢を照合。×選択肢と本文
でしたね。
選択肢から本文に目が動く場合、本文を問いを解くだけで5回読むことになるという話も書きました。
ところが、最後の「本文の内容と照らし合わせる」問題の場合、どうしても、
・選択肢と本文の照合
が必要になります。
しかも、選択肢が
・最初に〇〇を論じて、次に▽▽と言及しつつ、□□についてふれたうえで、☆☆とまとめている。
なんていうタイプの場合、選択肢の数だけ、本文を読み返すような作業になってしまいます。ひどいと、最初の選択肢の途中ぐらいまでがんばって、限界を迎え、あとは選択肢だけ読んで、印象で選ぶ、みたいなことになってませんか?
このタイプの問いは、
まず、最終段落を読んで言いたいことをつかむ。
次に、選択肢の最後の部分とつかんだ言いたいことを照合する
ということを最初にやるだけで、ほぼ2択ぐらいまでしぼれると思います。
ちなみに残りの部分は問二~問五の選択肢や傍線部と呼応します。だってそう作っているわけですから。
というわけで、今日はセンター評論のざっくりとした説明でした。