国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

漢文の学習方法4 「句法」を覚えるにはコツがあります。句法別の理解の仕方 「疑問」漢字でまとめて読みを覚える。

漢文句法は今日は疑問と反語です。句法、句形の覚え方は、句法ごとに変えるのがコツです。前回は構造で否定をおさえましたが、今回は漢字でおさえます。

 

 

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疑問・反語は、漢字で分類して、読みを覚える

疑問・反語句形はまとめてしまって、

漢字で整理して読みを覚える

というのが基本です。

多くの参考書は、意味別に整理されていますが、漢文の試験の場合、

  • ひらがなで書き下せ
  • 意味を書け
  • 空欄に入るものを選べ

など、意味や意味に通じる読みが隠されている場合がほとんどです。

そもそも、後で説明はしますが、「読める=意味がわかる」がリンクしているんです。したがって、意味別で整理されていれば、読みはわかるし、読みが見えていれば意味はわかってしまう。

だから、試験では、

読みを隠して、読みそのものや意味を問う

という形になっているわけです。

こういう状況の中、意味別で覚えていると、

  • 無意識に意味がわかっているので、なんとなく読みがイメージできてしまう。
  • 意味別に同じ漢字が何度も登場するので、その漢字がその時そう読むことが理解できても、ほかにどんな読み方をする可能性があるかがイメージできない。

などの問題が起こります。

たとえば、

「何」の読み、どう読むかわかりますか?読みそうなものに全部〇をつけてください。

  • なに
  • なんぞ
  • いづくんぞ
  • いづくにか
  • いづれ
  • だれ
  • なんすれぞ
  • なにをもってか
  • いくばく
  • いかん

さあ、どうですか?

今度は、「孰」はどうでしょう?なんて読みますか?

「何」の正解は4つ

  1. なに=What
  2. いづれ=Which
  3. なんぞ=Why
  4. いづくにか=Where

です。

他のものは、全部漢文の疑問の読みとしては存在するので、「ああ、なんかもしかしたらあるかも…」を生み出すわけです。「たぶん、これだと思うけど、ぼくが知らないだけでもっとあるかも」みたいな感じです。で、当たり前の「なに」とか「なんぞ」を切って、「いづくんぞ」を選んで、実際には「なんぞ」で「裏の裏か…」みたいなこと言ってません?

これをふせぐには、「何の読みは4つ」と言えればいいわけです。

逆に「孰」になってくると、全部(  )の中に入ってくるんですね。そもそも「こんな字あった???」みたいになっている人は、代表の一字だけ見て他は見ない。

まだ、「何」と「〇」は同じだから全部同じね、ならいいんですが、

「孰」の場合

  1. だれ
  2. いづれ

と置き換えられるわけではありません。

こういうのも漢字で整理する必要がある理由なんです。

 

疑問・反語は「一粒で二度おいしい(古い)」

 さて、それでは説明に入る前に、もうひとつの説明。疑問は反語とイコールであるということです。

ただ、漢文の場合、慣例的に(したがって絶対とは言えません)文末の送り方で、疑問か反語かを区別してきているんです。日本語としてはそんなことはないはずなのですが、センターで、文末の違う二つの選択肢が並び、片方が正解になりましたから、「疑問の文末か、反語の文末かを見極めて、正しい方を選べ」ということをセンター試験が認めたということでしょう。

そして、本校で使っている参考書も、疑問と反語で文末が書き換えられています。

疑問=~スル(カ)

反語=~ンや・ン(ヤ)

というイメージです。もし送り仮名が本文についていれば、原則としてこれを信じて訳すことが可能です。逆に、書き下し文を作るときに、送り仮名を自分で考えるとするなら、これに合わせて送る必要がありますね。

ただ、原則として(細かく言うといろいろ違いはありますが、受験生レベルではこのぐらいで十分です)これ以外に違いはありませんから、

漢字で整理して読みを覚える

と、

疑問と反語の両方が一気にクリアできてしまうんですね。

漢字で整理する

というわけで漢字で整理すると、次のようになります。

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まずはイメージで覚えましょう。配置と数を意識する。

こんな感じです。

では、それぞれ説明します。

  1. なに
  2. なんぞ
  3. いづれ
  4. いづくにか

3番目の「いづれ」は疑問文ですから、「どちら」です。「いずれかを選びなさい」の奴です。「オレはいずれビックになる」では、疑問文ではありません。

何=奚のイメージです。

なんぞ=奚・胡・曷

などもよく見ます。

  1. いづくんぞ
  2. いづくにか

「いづくにか」は「いずこ」のイメージがあるので、なんとなくわかってもらえるでしょうか。Whereですね。

いづくんぞ=悪・焉・寧

いづくにか=悪・焉・何

をほかの漢字として使います。

  1. いづれ
  2. だれ

忘れがちですが、意外と入試でよく出題されていますので、しっかり覚えておきましょう。

書くまでもないです。「だれ」

 

二字グループ

ここから二字のグループ読めるように頑張りましょう。

何為

なんすれぞ

「為」は行為というように、「する」という動詞ですね。

何以

なにをもってか

「以」は「以て」。

前置詞のように使われて、byに近いかもしれません。

幾何

いくばく

幾何の他に幾許もありますね。

どのくらい、というイメージ。英語だとhowの後がいろいろと変わりますが、漢文は基本的に一緒のようです。

如何と何如

両方とも

いかん

ですが、意味が変わります。私のごろ合わせの教え方では、

如何=女難、なので、「やばい、女難の相が出てる。どうしよう」

何如=男女、なので、「男女の関係だって。どうなってるの」

という感じ。

前者が

いかんせん。

後者が

いかん、いかんぞ

という感じ。試験では送り仮名がつきませんから、テキストではわかっていても、試験で混乱する一因です。

最後は、豈。

これが独立しているのは、疑問にならないから。

全部反語です。したがって、最後は「~んや」となります。

本当は、詠嘆形もあるのですが、今回は骨格なので、またいつか整理し直します。

意味は覚えなくていいの?

 読みで整理するだけだと、意味を覚えていることになりませんよね?

これで終わっていいのか、という気持ちになりますが、いいんです。

だいたいこれで意味がわかるからです。

日本語なんですから、読めれば意味がわかる。では全部列挙してみます。

  1. なんぞ=?
  2. なに=what
  3. いづれ=which
  4. いづくにか=where
  5. いづくんぞ=?
  6. いづくにか=where
  7. いづれ=which
  8. だれ=who
  9. なんすれぞ=?
  10. なにをもってか=?
  11. いくばく=how many ,how long,などなど
  12. いかん=女難=どうしよう
  13. いかん=男女=どうなってるの
  14. あに=?

です。

確かに「あに」や「いづくんぞ」など、現代を生きている私たちはあまり目にしない表現もありますが、この「?」をつけたものは全て

why

なんです。

だから、読めるものがわかれば、あとはwhyと思ってしまえばよい。

で、文末が疑問か反語か見分けられれば、訳は問題がないんですね。

というわけで、ここまでクリアできると、だいぶ漢文はわかるようになりますよ。

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その他疑問形に分類される句法

これでほとんどの疑問形を説明したわけですが、最後に疑問形に分類される句法を書いておきます。

否定語や否定文を用いるパターンです。

たとえば、文末に「~不」とついたり、「~否」とついたりするパターン。

たとえば、「在否」なんていう風にきたら、「在りや否や」なんていうふうに読みます。そうすると、疑問ですね。「あるのか、ないのか」とか「あるのかどうか」みたいに訳します。

文としてまとめていくこともありますね。「見、不見」のような形です。「見るか、見ざるか」なんて言う風に読みます。

「~未」とすることもできます。結局「未」っていうのも否定の助動詞ですから。

読みは「~や、いまだしや」です。「もうそうなったか、まだだろうか」ですね。

この「~ずや」という感じが、文頭にくると、反語パターンでもあります。

「君不見、~」なんていう感じ。「不聞」「不知」などで使われます。

「君はみていないのか」というのが直訳風の感じなんですが、「君は見たはずだ。」という反語の解釈でもっていきます。「聞いたはずだ」「知っているはずだ」ですね。

最後に「~諸」がくると、これも疑問形になることが多い。「諸」は「これ」ですね。たとえば、「~有諸。」と文末が終わるなら、「これありや」と読むわけです。 

次回は、使役句形から受身句形を説明します。 

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