国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

古文常識~難読語「宮中の場所や物に関わる語」

古文常識シリーズの難読語は、宮中の場所や物に関わる語です。

今日は宮中の語といっていますが、寝殿造りというか、似たようなつくりになっていますので、それ以外の場所でも必要な知識ですね。

まずは宮中のしきたりというか、生活みたいなものがイメージできるとありがたいところですね。

学校で配られる資料集とかに、写真とか絵とかが載っていると思うんですけど、理想的には、どんな風に使われているか、置かれているか、要は映画の中で動きとともに確認できるのが理想です。

でも、そうなると、名称がわからない…。入試に向けて、最短距離でやろうとすると、なかなか難しいですね。でも、あなたに時間的な余裕があるなら、名称とか考えずに、映画とかをみて、イメージだけしてしまえばいいですね。

というか、そもそも、大事なことはイメージができることですから、名称なんてどうでもいいといえば、どうでもいいんですよね。まあ、言葉から映像が浮かばないとまずいはまずいんですけど。 というわけで、宮中の物や場所ですね。

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宮中の場所や物に関わる語。できれば、イメージもほしいですよね。

 

宮中の帝を中心にした生活と後宮

宮中といいますが、まず平安京の中で、その帝のお住まいがあるのが、

「大内裏」「おおうち」

です。「大内」なんていう風に書かれることもありますね。平安京の北側、二条のあたりまで占める感じ。応天門と朱雀門が南側にあります。朱雀大路がここから南にずいっと伸びてるわけで、その先が羅城門。羅生門は芥川のフィクションで、羅城門です。

この大内裏の中には、要はいろんなお役所があるわけで、その中に「内裏」「うち」があるわけです。

で、この「内裏」でさえ、かなり大きくていろんな人が住んでいます。

まずは帝のいるところから押さえましょう。

この帝の御所が、清涼殿です。ここに帝がおはしますわけですね。

昼にいるのが、昼御座(ひるのおまし)です。そこに隣接しているのが夜御殿(よるのおとど)。

作りが決定的に違うのが、昼御座は広くて、廂(ひさし)=廊下みたいなものとひと続きなんですね。そうなると、御簾(みす)とか几帳(きちょう)とかが必須。

夜御殿は、要は女性と過ごすところですから、塗籠(ぬりごめ)、要は壁のある、ちゃんとした部屋のイメージです。

逆に言えば、ほかは壁がないというのが、廂があってつながっているというイメージのことですね。要するに、廊下と部屋が一続きになっていて、そこはすだれとかで仕切っているということ。他から人がくるって感じです。厳密にいうと、廊下にあたるものはさらにその外側にあって「縁」、縁側のイメージなんですけど、そこから一歩入って廂があって、そこが御簾で仕切られていて、その中に人がいるわけです。

ドアって感じがない。

夜御殿は、場所が場所で壁がないとまずいわけですね。寝殿造りも同様です。

そのつながっているところに、弘徽殿と藤壺に与えられた部屋があります。本来はここにいなくて清涼殿とつながっている「後宮」に生活するわけですが、この二人は特別にここにも部屋があるんです。弘徽殿上御局、藤壺上御局です。

女御、更衣たちは、清涼殿につながっている後宮にいます。近いところが、弘徽殿と藤壺。部屋の名前なんですね。そこが人の呼び名になっていく。一番遠いのは、淑景舎で、別名桐壺。藤とか桐とかっていうのは、その部屋の庭に何が植えてあったかなんですね。こんなところから、声のかかった女御、更衣が、清涼殿の夜御殿に向かうわけです。

滝口というのは、清涼殿と弘徽殿の間にある、警備の詰め所。ここに滝があったので、滝口なんていうんですね。

 

寝殿造りを含めた部屋のつくりに関わる語

というわけで、寝殿造りをイメージしながら、部屋の作りに関わる言葉を説明していきましょう。

基本的に、寝殿造りというのは、いくつかの独立した建物が渡り廊下でつながっていくようなイメージです。

だから、「渡る」なんていう言葉を使います。まさに橋のイメージなんです。

渡っていくのが「渡殿」。板だけ渡す、仮の橋が「打橋」。最初から取り外し可能にしてあるところが「馬道」。最後は地面ベースの名称ですね。馬を通すためです。この辺、次回に説明します。

部屋の周りには、四方に「廂」があります。部屋の周りに廊下があって囲んでいる感じ。廊下というよりは部屋なんですけどね。

人が多い時にはしきって部屋のように使ったりしますが、部屋の中と外の中間部分です。廂と部屋(「母屋」なんて呼びます)との境目は「簾」でしきったりします。

廂とさらにその外側、「簀子(すのこ)」であったりしますけど、さらに廊下があって、この廊下、つまり通路の部分と廂の間は、格子である「蔀(しとみ)」が使われることが多いですね。全部あると「立て蔀」。半分だと「半蔀」。開け閉め可能な感じです。格子だと、中が丸見えになるので、几帳とかおいたりするんですね。置き方カーテン、移動式カーテンみたいなイメージ。

この廂に入る、つまり中に入るためには、ドアが必要で、そこが「妻戸」。そこから出入りします。

のぞき見したり、聞き耳立てたりするなら、蔀が出て来るし、家の中に入るなら妻戸が出て来るって感じです。

完全に部屋に入るとなると廂からさらに寝室におしいりたいわけで、そこはたいてい「塗籠」、壁のある部屋ですね。

長押(なげし)っていうのは、部屋と部屋をしきる横木のこと。日本の建築は、外との境目があいまいですから、この長押で境目がうまれてくるわけです。

 

夜の家に関わる語

古文では、どうしても、男が夜に訪れ、朝に帰る…という常識の中で動きますから、家が出て来るとどうしても夜になってしまいます。

明かりにあたるものは、まずは「松明」と「篝火」。読めれば大丈夫ですね。「たいまつ」と「かがり火」。イメージできますよね。

紙燭(しそく)というのは、松明のミニ版。手元が紙で巻かれた松の木、油が塗られて燃えるんですね。

部屋の中に入ると、「大殿油」で、油です。これが、灯台に入って火がつきます。高坏(たかつき)っていうのは、ちょっと高くなっているものですね。高坏っていうだけだと、そこに食べ物置くんですけど、高坏灯台ってなれば、明かりになります。

炭を入れて燃やすのが、炭櫃。囲炉裏が、つぼになっているイメージですね。

脇息はひじ掛けのこと。よく旅館にある背もたれのある椅子の横においてあったりするやつです。これを使って体を休めるわけですね。

ざっくりとこんな感じです。

説明も読んでもらって、生活のイメージができるとうれしいですね。