国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

「漢文」を学習する意味。漢文を学習する必要性を少しでも感じよう!

高校生になって、「漢文」の勉強が始まります。今日は、「漢文」を嫌うあなたに、どうして「漢文」を勉強するのかを一緒に考えたいと思います。

「漢文」を学習する必要性については、いろいろと議論があるかもしれません。私がここで書くのは、「いるのか・いらないのか」、もっといえば「入試で必要か・必要でないか」とか「学校で教えるべきか・そうでないか」ではありません。これらについては、すでに一回書きました。

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今日は、現実として、学校のカリキュラムや入試に「漢文がある」前提で、どうして漢文を学習する必要があるかを考えていきます。「必要ない!」と叫びたい方には申し訳ありませんが、「ある以上、少しでも必要性をわかった方がいいよね」という立場で書きますのでご了承ください。

 

功利主義的に答えると「入試で必要とされる」から!

どうして漢文を勉強しなければいけないのか?

一番簡単な答えは「入試で必要とされるから」です。もう、これぐらいぐうの音も出ない答えはありません。

やらないと、合格できない。シンプルです。だからやらないといけない。しかも、漢文は非常に短時間で成果をあげることができる「おいしい科目」。

だから捨てるのはもったいない。

漢文は、まず、センター試験、現高2からの共通テストの科目です。したがって、国公立を狙いだすとたいてい5教科7科目が必要とされ、その中に「国語」が200点分あり、そして、その中の50点が「漢文」になります。

これをやらなければ、受かることはない。

だって、傾斜配点がなければ、ですが、理系の人にとって、物理や化学や数学1科目が100点なわけです。漢文だけで50点ですから。しかも国語は1問の配点が大きい。最近、漢文は若干配点を減らしていますが、現代文や古文は1問7点ですからね。

まあ、これだけで、やる気になってくれるなら、これで解決しましょう。

入試で使う。しかもやればすぐ点がとれる。だからやろう!

 

どうして入試で出題するの?~日本語と漢文の関係

では、もう少し、深いところに入り込みましょう。

どうして、そんな漢文みたいなものをわざわざ大学入試で出題するのでしょうか?だっていらないじゃないですか。理系で、研究するのに、漢文なんて…

なんでこんなものを入試で出題するのでしょうか。これを考えるには、漢文と日本語の関係を考える必要があるんですね。

この大前提になるのは、「言語が文化を規定する」ということです。

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 できれば読んでほしいところですが、端的に説明すると、私たちは、言葉によって世界を見ている、世界を理解している、ということです。グローバル化すればするほど、英語によって英語の世界を理解する必要があることは間違いないんですが、それとともに、オリジナリティが必要とされます。その日本的な部分は、日本語によってできているわけです。日本語にしかない言葉、つまり、日本語にしかない概念であり、常識であること、それが、グローバル化の中で必要とされます。

日本語は字を中国から入れました。だから、どうしても漢文を学ばないと、日本語の成り立ちを失うことになってしまうのです。

その1 中国から書字を入れた結果、中国語からできた日本語がある

日本は中国から字を借りました。決して、言葉を借りたわけではありません。字を借りたんですね。

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でも、それは、中国にしかない言葉や概念を、日本の中に入れることになったんです。

たとえば、古文の動詞でも、「困ず」とか「念ず」なんていうのは、中国語の「困」や「念」を「する」ということです。「ハグする」みたいなのに似ていますよね。「勉強する」とか「お茶する」とかいう動詞もあります。「らうたし」みたいな単語も漢語由来。「労」という概念が入ってきて、それから単語ができていくわけです。そもそも123456789…なんていうのを「イチ・ニ・サン…」と読んでいるなら、これも中国語。いつの間にかこんなものがいくらでも入ってきてしまって、しかも日本語のような顔をして、私たちの言葉の中にあるわけです。

しかも、昔は、書くときには、ちゃんとした字、つまり「真名」、もっといえば漢字で書いていたわけです。それが漢文。

「仮名」という漢字が示すように、ひらがな、かたかなは、仮のもの、つまり、漢字をくずしたものでしかなく、略字に近いわけです。国語の試験でも略字書くと、先生がバツにしたりしますよね?

だから、仮名で書くというのは、かなり私的なものに限られるわけで、公的なものは漢文で書かれる。

「公的なものはわかるけど、なんで漢文?」と思うかもしれません。でも、仮名が正式なものではないから使えないとするなら、つまり、仮名がない世界を想像すると、どうやって書きますか?

ひとつの方法は、漢字の音を使って当て字のように書くこと。「夜露死苦」みたいなやつですね。でも、これは面倒。

そうするともうひとつの方法は、「意味が同じ漢字を日本語風に読む」というやり方。これが漢文なんです。こうなると、動詞とか助動詞とかも漢文と同じルールにしておかないと混乱しますよね。というわけで、日本語は中国語と同じように書いて、日本語として読む、ということがずっと続いてきたんです。

その2 中国の文化や制度を入れた~文学部だけでなく法学部で出題が必須

言語が概念を作るわけです。こうして、中国語を使うようになってくると、その中国語とともに、そこに貼りついた文化とか制度とかも、日本の中に入ってきます。

さかのぼっていけば、大宝律令や冠位十二階とかですね。

こういう中国の制度が、入ってくるわけです。暦だったりとか、行事だったりとか。節句なんていうのもそうですよね。

となると、こうしたものがわからないと困るのが文学部とか法学部なんです。そもそも、こういう文化や制度の上に、現代の文化や制度ができあがってきますから。

だから、法学部受験者は気をつけないとだめですよ。

一回大学の入試担当者に文句をいったことがあるんですけど、明治の法学部は「漢文を除く」と当時うたっていて、でも、現代文のところで平気で、漢文の知識問うてきますからね。文句言ってからは「独立題としては漢文を出題しない」に変更されてます。だから、明治の法学部を受ける人は、この文言の裏に「現代文のところでは出す可能性あるからね」っていうメッセージだと思ってください。

 

漢文を学ぶと、中国語がちょっとわかる~筆談できちゃうかも?

「おれ、文学部も法学部も関係ないし。おれ理系だし」という人もいるかもしれませんね。まあ、東工大じゃないですけど、「そうだよ、いらないよ」と答えてもいいんですけど(東工大は合否判定で国語の成績を除外するので)、理系でも東大はじめとして、国立ではたいてい試験で使うわけで、どうせやらなくちゃいけない以上、なんだか日本の文化に触れる以外の積極的な意味はないのか?と思ったりもしますよね。

しいていうなら、あなたが理系だとすると、中国がビジネスの舞台としてからむ可能性はそこそこあります。

そのとき、「ちゃんと」漢文を勉強していたとするなら、中国語ができちゃうかもしれません。

だって、あなたが勉強している漢文は、そもそも中国語なんですから。

これ、すごいことだと思いません?

中国語を勉強していないのに、中国語を日本語として読めてしまうわけです。もし、あなたが「しっかりと」勉強したなら、たぶん、中国語が書けてしまいます。

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「ちゃんと」「しっかりと」というのは、書き下し文をたよりに日本語の意味を読むのではなく、白文に返り点と送り仮名をつけて読むという作業ができたら、ということなんですが、意外と簡単ですよ。

漢文は難しくない!単語を覚えなくていい「英語」

そうなんです。漢文は難しくないんです。なぜかというと、構文の作り方が英語に似ている上に、私たちの日本語に入り込んでいてくれるからです。

英語の場合、まず、アルファベット、文字を覚えなければいけません。

次に、その文字の羅列、単語を覚えなければいけません。

大学受験の場合、中学校までの基本的な英語の語彙に加えて、2000語程度を大学受験用に覚えなければなりませんし、大学に入ったら、それぞれの専門分野の語彙を増やす必要も出て来るでしょう。

これが大変。

でも、中国語の場合、文字にあたるのは漢字で、その意味は日本語で流用されている以上、見ればわかることがほとんど。だから書けちゃうんですね。

I  love you.

を中国語で書くなら、

我 愛 ?

までは書けますよね。「あなた」を漢字で表せないからとまってしまいますが…最後は「」ですね。ここでつまるだけ。

すごくないですか?

だから、漢文は、単語を覚えなくていい英語。そして、それは中国語でもある。

あなたがこれを読んで、少しでも漢文に前向きに取り組んでくれたら、うれしいです。

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