古文単語のシリーズは、助詞になります。助詞は種類でポイントが違うんですが、単語的、訳が重要なものをまとめます。
今日は「助詞」です。助詞は、種類ごとにおさえるポイントが違います。「助詞」ということでいえば、当然文法です。というわけで、すでに説明しています。
その中でも、単語として覚えるものといえば、何といっても終助詞です。
助詞自体は文法ですから、入試問題としては、「種類から同じものを指摘したり、違うものを指摘する問題」「訳を中心にして解釈する問題」の二種類が考えられます。前者の場合は、各入試問題で出ても一問程度だと推測されますが、後者になるとさまざまな問題にからんできます。
というわけで、助詞の単語、訳に関わる部分を説明しておきます。
- 終助詞~願望の終助詞は自己願望と他者願望。その他は詠嘆系。
- 「な~そ」は禁止句法。
- 係助詞は、「や・か」と「ぞ・なむ・こそ」そして「は・も」
- 強意の副助詞「し」は「とってもつながる」というのが見分けポイント
- 副助詞「だに」「さへ」は訳出・解釈問題で重要
終助詞~願望の終助詞は自己願望と他者願望。その他は詠嘆系。
単語として重要なのは終助詞です。終助詞はざっくりと、願望と詠嘆系です。
願望の終助詞~他者願望の「なむ」と自己願望の「ばや」と「その他」
願望は
「~てほしい」という他者願望・あつらえ=未然形+なむ
「~たい」という自己願望=未然形+ばや
にわかれます。
特に「なむ」の方は、「なむ」の識別でよく出題されます。
連用形+なむ、は「強意」+「意志・推量・婉曲」という感じですが、二段系の動詞だと未然形と連用形が同じなので、むしろ意味からとらなければいけません。
終助詞なら「てほしい」です。強意+意志なら「てしまおう」ですね。後者が感覚的には自己願望に近いので、願望というだけでなく、他者願望「~てほしい」というところまで整理してください。
そのほか、
「がな」「もがな」「にし・にしか・にしが・にしがな」「てし・てしか・てしが・てしがな」などは自己願望系です。ただ、「~だったらいいなあ」という部分が入ってくるので、物とか出来事とかだと自己願望のようには見えないと思います。
残りは、詠嘆系の終助詞。語尾につく言葉
そのほかはプリントには載せていませんが、基本的には文末について、ほぼ意味がないようなものです。
現代語だと「~ね」「~わ」「~よ」「~なあ」なんていうようにいろんな文末がありますよね?
古文でもあって、
詠嘆系だと「~か」「~かな」「~は」「~な」ですね。
間投助詞にも分類される分類でいうと「~や」とか「~よ」「~を」
念押し、と呼ばれますが、ほぼ意味がない感じなのが、
「~ぞ」「~かし」
「な~そ」は禁止句法。
テストの山ほど出すぎて簡単すぎる感があるのが、「な~そ」の禁止句法。
「勿来」という地名があるんですが、読めますか?
漢文的に読むと「来るなかれ」なんですが、和語で読んで「なこそ=な来そ」です。
文末に来て「~な」と禁止で使うこともできます。
さっきの詠嘆系のものだと「~なあ」に近い「~な」、これは禁止「~するな」の「な」です。
係助詞は、「や・か」と「ぞ・なむ・こそ」そして「は・も」
係助詞については、他に疑問文のところも読んでください。
www.kokugo-manebi.tokyo
「や」「か」が疑問=疑問は反語、詠嘆
「ぞ」「なむ」「こそ」が強調
「は」「も」も係助詞で、そして強め。
これが基本です。文法問題対策としては「は」「も」が係助詞であるということが重要。
でその上で以下です。
「やは」「かは」は反語の可能性が高い
「や」「か」が疑問で、「は」が強調ですから、「やは」「かは」は疑問を強めるので、強い疑問、または反語になっていきます。
レベルが高くない人向けには、反語というのは否定とイコールだということ。
「花やは咲く」は「花が咲かない」でもかまわないということです。
「いかがはせむ」だったら「どうしようもない」です。
レベルが高くなった人向けには、必ずではないということ。
強い疑問の時もあるし、反語でなく疑問でとらないとだめなケースも散見します。
「もぞ」「もこそ」は危惧をあらわす
「も」というのは並列というか、「僕もそうなんだ」という、あの「も」です。ただ、もうひとつあるのが「雨でも降るんじゃない」という「も」。つまり「も」には危惧の意味が入るんですね。
それが強調されるので、「~したら困る」とか「~したら大変だなあ」と訳します。
強意の副助詞「し」は「とってもつながる」というのが見分けポイント
「し」は強意ですので、訳しません。
これは文法問題でよく問われます。「し」の識別ですね。サ変動詞「す」、形容詞、過去の助動詞の連体形、已然形あたりとこれを混ぜて聞くパターンです。
とってもつながる、というのが見分けるポイントです。
古文単語では「いつしか」あたりがこれにあたります。とると「いつ(し)か」で「いつか」ですね。「いつか君とデートしたい」を強調すると、本当は「今すぐ」ですよね?
今しも、とか、今し方なんていうような表現でも現代に残っています。
副助詞「だに」「さへ」は訳出・解釈問題で重要
「だに」は
- ~さえ
- せめて~だけでも
です。1の場合は読解問題では「まして~ならなおさらだ」を捜すことを求められることがあります。願望や意志が文末になりますが、今日は助詞なので願望の終助詞はやりました。
逆に「さへ」は、
- ~までも
読解問題では、前に「~だけでなく」が隠れていてこれを探す必要が出てきます。
「すら」も「~さえ」ですね。