国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

古文単語は意味分類で覚える27 似ていて紛らわしい違う意味を持つ単語

改訂した古文単語も、これでいったん終わりです。最後は似ていて紛らわしい単語です。

ここまで、古文単語をある程度すすめてきましたが、音が似ているのに、語源、漢字が違うため、意味が異なる単語というのがいくつかあります。

ここまで紹介してきた中で、そのように形は似ているのに、意味が違う単語をまとめます。

 

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似ていて紛らわしい単語。間違えないようにしましょう。

「けに」と「げに」

最初は「けに」と「げに」です。

漢字が違います。

けに=殊に・異に

げに=実に

です。

したがって、「けに」は「ことに・ことなり」の系統です。特別に、格別に、というような流れ。「ことに」も殊か異かよくわかりませんが、「異」となるのは、「異人」とか「異事」というような「異+名詞」のパターンが多いです。

「げに」は「実に」ですから、「まめ」の方ですね。「本当に・実に」です。

「げに」の反対は「徒=あだ」で、不誠実、非実用的な感じで、古文では浮気心などでも出てきますね。

 

「そばむ」と「そばそばし」

「そばむ」は「側む」で横を向く、目をそらすこと。「目をそばめる」などという表現は現代語にもあります。

そうすると「そばそばし」は、側にいてくれる感じかな…なんて類推したくなるんですが、漢字が違って「稜々し」なんですね。「角」とか「トゲ」とかをあらわすような感じです。なので、「とげとげしい」イメージで、不愉快で中がわるい感じの語です。

「ものす」と「ものし」

「ものす」は「物す」で動詞。

「ものし」は「物し」で形容詞。

まずは、「ものし」を勝手に「ものす」の活用形にしないようにしましょう。もちろん、連用形、つまり「ものし、」という形ならいいんですが、「ものし。」ということだとすれば、形容詞ととるしかないですよね?

同じ「物」なんですが、

動詞の「物す」は「何かをする」ことで、英語のdoのイメージです。

形容詞は「物」がそのまま形容詞になったわけで「物っぽい」感じです。

邪魔だ、とか、目障りだ、とか、そんな感じになるわけです。

「おぼろけなり」と「おぼろげなり」

「~げなり」というのは形容動詞を作る語尾です。

さびしげ、楽しげ、よさげ、なんていう風に現代でも生き残っていますね。

ですから、「おぼろげなり」が「朧=おぼろ」「げなり」です。

「おぼろけ」は「並」「ありきたり」という意味です。ちなみにこの語は、反対の意味を持つ単語のパターンで、最初は「並」、「おぼろけならず」が「並一通りでない=格別」というところにいくはずなんですが、そもそも「ありきたりでない」だと「悪くない」ぐらいの意味で、そうなると「おぼろけ=普通」「おぼろけならず=普通」のようになっていつの間にか、「おぼろけ」自体も「格別だ」となってしまうという、訳のわからない語です。

「朧げなり」という語は近世以降に生まれた言葉なので、平安時代の作品ならまず、ややこしい「おぼろけ」です。

 

「うるさし」「うるせし」「うるはし」

「うるさし」は、不快系のところにまとめました。要は「不快でいやだ」ということですね。ここから除く語が「つらし」=薄情だ。

「うるせし」は気が利くとか、賢いとか、巧みだとか上手だとか。

「うるはし」は、「麗し」で、美を表す語。ただし、整った美しさで、性格的に几帳面な感じ、きちんとしている感じをあらわす語です。

「うるさし」の不快は大丈夫でしょうが、まずは「うるはし」をきちんと理解して、そこから「うるせし」を頭に入れる感じでしょうか。

要は、「うるさい」というのをポジティヴな評価にするのが「うるせし」なんですよね。「巧みだ」も「気が利く」も、細かい感じがするから。

そんなところで理解しましょう。

「あたらし」と「あらたし」

「あたらし」=「惜し」

「あらたし」=「新し」

です。

「新しい」=「あたらしい」、「新たに」=「あらたに」ですから、おかしいんです。この感じ。もともとは「新たに」の方が正しくて、「あたらし=惜し」だったんです。

ただし「あたらし」は「をし」とか「くやし」とかに負けて使わなくなってこんなことが起こったようですね。

 

「かごと」と「ひがごと」

「かごと」は「託言」で、言い訳、口実、愚痴などの意味をもちます。

「ひがごと」は「僻言」で、間違いのこと。

「ひがむ」と動詞になれば、間違うことですね。それが「ひねくれる」感じになります。「ひがひがし」はその形容詞。

「ひがめ」なら「僻目」で「よそ見」、「ひがもの」だと「僻者」で変わり者です。

「かづく」と「かしづく」

「かづく」は、偉い人からいただくこと、あるいは偉い人がお与えになること。行為は同じですが主語に合わせて訳出します。

「かしづく」は、「大切に育てる」こと。

「いたつく」などが近い単語です。