国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

大学受験現代文 大学ごとの傾向ってどのぐらい違うの? 大学分析を始める前に

今日は大学ごとの入試問題の傾向の話です。これから、各大学の入試問題の傾向のページを作ろうと思っています。今日はその大前提の話です。

今年の入試が終われば、また来年の入試が始まります。国語の真似びでは、各大学の問題傾向を分析していきたいと考えています。今日はその大前提として、入試の傾向の把握の話です。

 

大学ごと学部ごとにに傾向は違う!でも…

よく予備校とかで、「早慶レべル」とか「MARCHレベル」とかいったように、クラス分けや授業レベルを設定することがありますよね?だから、大学ごとの傾向というのは当然ある、ということはわかっていると思うんですが、それがもっと鮮明な形で、「大学ごとに対策が変わるのか?」と言われると、意外と学校の先生も、塾の先生も答えに窮することが多いんじゃないかと思います。

たとえば、東大受ける受験生に、「東大の対策どうすればいいですか?」って言われれば、「東大はね…」と説明してくれると思うんですけど、「早稲田とか上智まで受かりたいんですけど、どんな対策すればいいですか?」となると、突然、「早慶クラスを受かりたいなら…」とまるめている可能性が高いです。

でも、じゃあ、その先生が政経と法学部の問題傾向が同じで見ているかというとそうではない。

傾向が違うことははっきりわかっているけれど、対策としては同じことを示す

というのが、現実問題一番多いケースだと思います。

なぜかというと、実際に不可能だからです。たとえば、これだって早稲田の政経だけを受けるならいいんですが、実際には法学部もふくめて、他大もふくめて、滑り止めもふくめて、やまほど受けますよね?世の中には赤本以外に「早稲田大学政治経済学部対策問題集」なんて、たぶん出ていないし(調べてません。あったらすいません。)、やりようがない。

併願かけるわけだから、そんな問題集があったとしたって、やってる暇がない。赤本だって、「最低何年分やればいいですか?」っていうのが定番の質問ですから、できるだけ対策したくないとしか思えません。

たとえば、私が学校で入試対策講座を直前にやるとします。私としては無駄のないようにと思って、「〇〇大学の〇〇学部の問題を扱います」と事前に周知します。だって、所詮、1時間で1題ぐらいしかできないですから。

そうすると、生徒が受講する数が減るんです。その学部を受けるやつしかとらない。

当たり前?

だったら、普段問題集を解くときも、受けない大学、受けない学部の問題は解かなければいいのに。

えっ、国語力をつけるためには必要?

これ、結構危ないですよ。

同じ講座、つまり〇〇大学の〇〇学部の問題を1題解くときに、「MARCH対策講座」と銘打てば、受講人数は格段に増えます。

つまり、みなさんは、

  • 受験する大学、学部の対策をできるだけ省力化して最低限の努力でやりたいと思っている=受けない学部の問題はやりたくない。
  • しかし、実際にどんな問題が出るかはよく知らないし、漠然とした対策しかしていない。

ということです。

こわいでしょ?

一番大切な、その大学の傾向とか対策とかは、漠然とした授業でごまかしていて、でも、最低限の努力ですませたい。完全に矛盾してます。

前者に合わせるなら、とにかく国語の問題はありとあらゆるバージョンで対策しとく、ぐらい進んでほしい。後者、つまり「最低限の努力」に合わせるなら、そりゃ、もっと緻密な問題分析をしないといけないんです。

 

大学で問題を作る大学と学部が問題を作る大学

まず、これがとても大事なことなんですが、大学には、

  • 大学がまとめて問題を作り、どの学部も似たような問題形式で、作る大学
  • 学部がそれぞれ自由に問題を作り、結果として学部ごとにまったく違う問題形式になる大学

があるんです。

www.manebi.tokyo

大学で問題を作る

  • センター試験
  • 国立二次
  • 全学部統一日程
  • 上智・立教・学習院・明治学院・東洋など

学部ごとに問題を作る

  • 早稲田・慶応・明治・中央・成蹊・日大など

だから、正確にいうと、大学ごとに傾向があるの?という答えは、「ない」という正解でもあります。大学どころか、学部ごとに傾向が違うことがあるからです。

 だから、正直言って、早稲田とか慶応とかを受けるときに、早慶レベルとまとめるのは、正確な対策にはなっていません。あくまでも、そのレベルを受けるのに必要な一般的な基礎知識や問題レベルをさしているだけで、具体的なあなたが受ける学部の対策そのものではないので、そのあたりは勘違いをしてはいけません。

 

国語の扱う範囲が違う!評論・小説・古文・漢文…どこまでを扱うか?

では、どの程度の違いがあるのでしょうか。

そもそもでいえば、扱うものが全く違います。

まず、古文や漢文が出題されるのかどうか。配点がどのくらいあるのか。

現代文は評論だけなのか、それとも小説やエッセイが出る可能性があるのか。

形式的なことでいえば、マーク中心か記述が出るのか。文学史や漢字の割合は?

こういうひとつひとつが大学や学部によって異なっているわけですね。こういうことを知らずに問題集をやっていても、効率は決してよくないですね。たとえば、一般的に小説が出るのは、センター試験、立教(絶対ではありません)、国立2次、あとは文学部系統の一部と限られています。そうなってくると、模試で小説ができなかったとしても、悩む必要がない人もいますし、逆に小説で稼いでいるのなら、得点源を失うことになります。一橋は、二次で古文の出題がありません。評論とエッセイ、そして漢文書き下し調の明治あたりの文章の3題です。だとすると、古文ができなくてもいいことになりますね。

このように、まずは国語の傾向をしっかり理解しなければいけません。

 

現代文の方が傾向ははっきりとわかれる!

あるなしでいえば、大学、学部ごとに傾向がはっきりわかります。

では、「出題される」とするなら、傾向は同じといえるかといえば、決してそうではありません。もちろん、記述が多い、マークがほとんどというような違いもありますが、出題される文章の傾向が変わるということはあるんでしょうか。

結論からいうと、傾向がはっきりと変わるのは現代文です。古文に関してはいくつか特徴的な傾向を持つ大学や学部系統はあるものの、どの大学、どの学部を受けるにしても、文法や単語、そして読解力が必要で、大学ごとの特徴はさほど見いだせません。要するに受験勉強としては「古文」でいいということ。入試が出した問題を繰り返し出さないとすれば、むしろ違う大学の問題をやることで、読んだことのある本文が出る可能性が高まるくらいです。

ところが現代文で読ませる文章は、学部系統でだいぶ異なります。つまり、別の対策が必要というくらい、別のものだと思ってください。それは、基本的に学部の先生が問題文を選定しているからだと思います。各大学、各学部のアドミッションポリシーがいろこく表れるのが現代文です。それは実は英語の長文にも同様にいえることなのですが、準備として、しっかりと与えられた文章を読める必要があるんですね。

これ、英語でいえば、覚えるべき単語、つまり用語の傾向が決まっているということです。国際関係や人権とか自由とかを論じる文章と、美とか文化とかそういうことを扱う文章では出てくる用語、つまり、単語が異なりますよね。そういうことを理解する必要があります。

 

国語、特に現代文の入試問題のおおよその傾向

さて、これから大学別、あるいは学部別の傾向を少しずつ説明していきますが、今日はすごくおおざっぱに特徴の強い説明しやすい大学を簡単に説明しておきます。

センター試験など

センターに関しては、別途まとめています。

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

 評論・小説・古文・漢文で50点ずつで200点。評論分野は、生き方、学び、芸術、都市、メディア、環境など、分野のくせがあまりないものが選ばれます。

早稲田

とにかく学部ごとに現代文の傾向が色濃く変わります。ですから、学部系統ごとの対策は必須。特に、政治経済、法、文化構想は非常に癖がつよいので、準備がかかせません。

慶応

ご存じの通り、小論文です。商学部は、小論文でさえありません。学部ごとに出題されるテーマはほとんど決まっています。学部を併願するとするなら、「小論文1科目」で準備が終わるのでなく、学部の数だけ違う準備をする必要があります。

明治

早稲田と同様、学部ごとに系統が異なります。特に法学部は「らしさ」を出してきますので、準備が必要です。全学部では、逆に当たり障りのない文章ですから、センター対策風です。

立教

大学で作る癖のない問題ですが、小説を出すというのが他の大学との大きな違いです。まあ、たいていはセンターを受けるから小説の準備をしていることになりますが、私大では、特別の準備ということになります。立教内で併願するなら、準備はひとつで十分ということですね。また、問題は予備校が作ってるんじゃないの?と疑いたくなるくらい、塾や予備校や問題集でしている一般的な準備でほぼ十分です。

上智

立教と同じように大学でまとめて作るタイプですが、大学としての傾向がはっきりとあります。哲学的な分析的な文章が多く、社会問題や何か主張があるような文章ではありません。~すべき、ということでなく、「~は~だ」という説明が強い文章なので、読むことになれないとだめな受験生は多いでしょう。

青山学院

学部ごとに作っている大学なのですが、国語の問題を見る限り、共通しているとしか思えません。国語は特殊な科目ですから、大学の文学部あたりの先生が、全学部分作っていると思われます。文章自体に特殊な感じはないんですが、選択肢の作りがだいぶ癖があります。傍線部と選択肢の対応をしっかりやるような、文法的ともいえるような出題方針になっています。

とりあえず、こんな感じです。現代文は「読むだけシリーズ」をしっかりやってからだと思っているので、慶応の小論文分析と対策からはじめる予定です。