国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

夏休みに苦手の古文をなんとかしたいセンターだけで使う理系の受験生へ!夏休み古文漢文どうするか?

夏休みが近づいてきました。こうなってくると、「苦手を克服したい」という欲求が出てくるものですね。今日は、「理系」「センターだけで国語を使う」「できれば80%とりたい」「でも、現状50%ぐらい。うまくいくと70%ぐらい」という生徒が夏休みに何をすべきか、書きたいと思います。

本来、私立文系の、激戦入試につっこむ人ほどなんとかしなければいけないはずなんですが、経験上、私立文系は国語は何とかなると思い込んで後回しにして、事態が悪化します。本当に最悪。

正直言って、目標点がとれていないのに「何とかなる」とか「他教科でカバーする」とかいっている受験生は終わりです。

とにかく必死にがんばるべき。何とかするしかないんだから。

でも、私立文系ベースになると、とにかく量で追うことになるので、今日は、理系の人を中心に話していきます。

 

理系・センターのみ・80%目標だとすると…陥りがちな理系受験生の夏休みの失敗

私立文系で、古文をなめている、最低限の勉強で済まそうとしているなら、話になりません。だいたい3教科しかないんだから、やる時間がないなんてことはありえない。「やりましょう」って話です。

しかし、理系だと、ここまでそうは時間をとってこなかった。でもヤバいことは自覚しはじめる。だから、夏休みでちょっと時間がありそうな時に、最低限の労力でなんとかしたい…と考えはじめるわけですね。

まあ、やる気になっただけ偉い。しかし、ここでたいていみんな同じような失敗に入り込むわけです。

大きく分けると二つの間違いがあります。それを分析しましょう。

間違い1 時間がないし、まだ基礎がないから、問題を解かない。

まず、ありがちなことは問題を解かないことです。

なぜなら、まだ問題を解く以前にわからないことがいっぱいあるからです。まあ、解いたところでよくわからないし。

だから、まずは「基礎」が必要だと考えます。問題をやると実際難しい。読めない。だから、きっと読めるようになるための何かが自分には欠けている。つまり、「基礎」がない。だから読めない。きっと基礎をやれば読めるようになるはずだ。

それは何かというと、文法だっていう話になるわけですね。実際、塾でも、学校でも、ネットでもまず文法をしっかりやれ、という話になっている。だから、まずは文法だっていう話になる。

で、文法だとするなら、どのくらいでできるか?どうも2週間完成とかそういうのもあるらしいし、がんばれば1週間で、最悪夏休みぐらいの時間があれば、なんとか問題集の一冊ぐらい、片手間でも終わりそう。最悪、夏期講習とかとればいいんだし…。

こうして、夏休みをかけて、文法問題集を終わらせるというとんでもない学習計画ができあがります。

まず、ここに決定的な間違いが潜んでいます。

間違い2 長文が読めない。読めないから解けない。読めないのは基礎がないから。基礎ができれば読める。

それはこの間違いにつながっていきます。

 夏休みをかけて、文法をやったらバラ色の未来が待っているんですね。

なぜなら、長文が読めないのは、文法ができていないからです。だから、文法をやるわけです。そうすると、読めるようになります。読めるようになったら、問題は解けるに決まっている…。こういう論理がきっと展開されているんですね。

できない。

なぜ?読めないから。

なぜ読めない?きっと何かやってないことがあるから。

それは何?文法。

というわけで、文法さえわかれば、すべてが完璧に転がっていく…という淡い期待を抱いているわけです。

夏、文法をやると、秋にはセンターで点がとれる。こういう図式になっているわけですが、実はこの全ての論理が破綻しているんです。

もしかしたら、学校の先生や塾の先生も、この破綻した論理のもと、ひたすら文法を説明し続けているのかもしれません。

そして、受験生も楽なんですよね。ただ、文法、覚えればいいわけだから。実際、覚えているかもよくわからないし、まして、それで長文が読めるようになったかわからないわけですが、それでも、何かやってることになるし、まして、それが一冊の問題集なら、こんなに確実で楽なことはないんですね。

 

理系・センターのみ・80%目標の生徒のやるべき基本ライン

「じゃあ、どうやってやるんだよ!」という声が聞こえてきそうですが、その話に入る前に、どうして、そんな楽観的なことが起こっているかを考えましょう。

全ては、「たいしてやっていないのに、国語全体で50%から60%ぐらいがとれること」「所詮、5択から選ぶマーク問題であること」に起因しています。

つまり、「ほとんどやっていないのに、50%ぐらいとれるっていうことは、ちょっとやったらすぐにあがるはず。だいたい、マーク式で答えを選ぶだけだから、そのぐらいならなんとかなる」っていう理屈なんですね。

しかし、考えてみれば、「5択」であるということは、3歳の子どもが、マークはできないにしても、口頭で適当にいった数字を答えとして認めてあげるなら、よほど運が悪くない限り「40点/200点」が入るということです。これが50%になっているということは、平均すると、「全ての問題が2択まではしぼれた」ということ。このぐらいの国語力が「100点/200点」ということ。「すごいじゃん」と思うかもしれませんが、40点が数字さえ選べれば誰でもとれることを考えると、小学生、中学生、高校生となれば、そのぐらい普通のような気がしてきます。

問題はここから。では、80%160点というのはどういう数字でしょうか。たとえば、2017年の本試験の場合、マーク数は33です。

確率論で考える場合、

  • 1/2の問題は、間違いなく正解がひとつにしぼれ実際に合っている。
  • 残り1/2の問題は、さきほどと同じように、2つにひとつまでしぼっている。

という状態になったときに、

  • 1/2、つまり100点分は、満点の100点。
  • 残り1/2の100点が、50点

ということになるわけです。残り1/2については絶対に50点とは限りません。たとえば2問だとするなら、1/2×1/2で、

  • 1/4で100%
  • 1/2で50%
  • 1/4で0%

になりますが、実際には全体で33問ですから、17問が1/2ですから、1/2を17回かけることになります。なかなか当たりませんよ。逆に言えば0点にもならないですが…。

これでようやく150点です。

どうですか?現状は、33問全部1/2。これを17問完璧に選べるようにして、はじめて150点75%。

  • 完璧に選べるのが0/33問、33/33問が1/2=50%
  • 17/33問が完璧、残りは1/2まで行って150点
  • 残り17問の半分8問をさらに完璧にして25/33問、残り8問が1/2で、175点。

これらでも、答えがひとつに絞れない問題が必ず1/2まで絞れている条件なので、それができないと、だめですね。たとえば、17問完璧にできる条件の時は、裏を返せば、残り17問は正解が絞れていないわけですが、もしこれが3択だったりするなら、残りは33点しか入らないわけですから、実は133点にしかなりません。

となると、結構完璧に近づけていかないと、150点以上がとれないことがわかるし、しかも、点数のあがりが止まってくることがわかります。

そもそも、考えてみれば私立文系だって、80%とれれば、MARCHの合格が見えてくるんです。今年は90%まであがっちゃいましたけど、センター80%ってそういう数字なんです。文系だって大変なのに、適当にやってとれる数字じゃない。

というわけで、夏休みにやるべきことは、

  • 文法を完璧にする。1/2なら50%
  • 単語を完璧にする。1/2なら50%
  • 読解を完璧にする。1/2なら50%
  • 問題を完璧に解く。1/2なら50%

ということになりますね。

だから、まずこの「全部やる」ということを理解しましょう。

 

www.kokugo-manebi.tokyo

 

「全部やる」というのは、「センター型の問題を解く」→「文法に戻る」のローテーション。

「全部やる」というと絶望的な気分になります。

しかし、単純に考えれば、「センターの過去問題を解く」というただひとつのことが必要なだけです。

まず、私は、国語の入試問題は、評論・小説・古文・漢文通して、

  • わかること=与えられた文章を理解すること
  • 問いに答えること=問題の示されたことを理解し、「どういうことか」なら、「傍線部そのもの、傍線部を含む一文と選択肢の対応を見る」、「なぜか」なら、直前直後の「本文の解答の根拠の部分と選択肢の対応を見る」のどちらかをやる

ということだと説明しています。

www.kokugo-manebi.tokyo

是非、読んでください。これがまず、骨格なんです。

決して、「選択肢を本文と照合すること」ではありません。

じゃあ、どうしたら、この「わかること」「問いに答えること」を鍛えることができるのか?

「わかる」ということは、内容理解で、本文の読解です。つまり、これは読む練習しかありません。どうしたら、効率よく、読解練習ができるか?国語の場合は、問題を解けば、適切な長さの文章を、読む練習ができます。つまり、問題演習が効果的です。

「問いに答える」ということは、設問や選択肢がなければできません。つまり、これも問題演習です。もちろん、その選択肢を選ぶためには、文法や単語、句法や漢字の知識が必要です。「この部分をこう訳す」から「正解はこれ」なんですね。でも、文法だけやっていても、それを問いを解くときにどう使うかがわからないと、なんとなく文法をやっただけで終わってしまう。だから、この練習も、問題演習によって解決します。

しかも、あなたが理系で、センターでしか国語を使わないとするなら、その問題演習は、センター型のものを使うのが効果的です。だってパターンが決まってるんだから。他の問題、私大とか国立記述なんてやらなくていいんです。出ないんだから。

もちろん、問題を解いて、答えを選ぶ根拠となる文法や単語、句法や漢字が不安になったら戻る必要があります。戻ったら、また問題を解く。不安なところがあったら、また戻る…。これをたっぷりやることが、あなたの今、やるべきことです。

 

まずは、単語と漢字がポイント!一気に全部やること!繰り返して繰り返して完璧にするが、一通りやったらすぐ問題に行く。

さて、では具体的にポイントを示しましょう。

まず、第一優先は、文法や句法ではなく、単語と漢字です。

センターの場合、訳せるかどうかがすべて。まずはこれを理解しましょう。

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

基本的に、少しずつやるのではなく、一回で全部読む、一瞬でいいから覚える、というのを1週間毎日続け、 そのぐらいしてから、すこしずつ完璧に覚えていく、というような流れがいいと思います。

問題演習や文法も、終わるまで待つなどということはせず、どんどん並行してやっていきましょう。

 

次に、文法と句法。これも1日で終わらせる。また戻って完璧にすればいい!

そして、文法と句法です。

それぞれ、1日もかけずに一気にいきましょう。もちろん、何の問題集を使ってもらってもいいですが、できれば、私のブログのものをしっかり読んでください。まずは読むだけでもいいです。(ただし、読んでいくと、「声に出して唱えて」とか「覚えました?」とかあるので、そこではしっかりやってくださいね。)

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

基本的に、古文で大事なことは「訳すこと」です。訳せないと意味がない。文法そのものが問われることは古文ではせいぜい一問で、出ないこともあります。大事なのは、訳、です。どう訳すか、がセンターではとても大事です。

もちろん、漢文では、構文とか返り点、送り仮名、読み仮名も問題になってきます。

そして、これが入りきらないと、得点になりませんし、選択肢を選び間違っても、なんだかよくわからないことになります。なぜ、正解がこれなのかは、たいてい前後関係などにはなく、ただひたすら、ある部分の訳によるわけです。

一回目で完璧にする必要はありません。問題を解いて、確認して完璧にすればいいのです。なので、早く全部読んで、一回やったら、問題に行く。だめだったら、当該箇所全体に戻る、ということで、進めましょう。

 

そしたら、問題を解く。解けない原因を「読解」とか「本文理解」にしない。どの単語?どの文法項目?そして、全体にパッチを当てる。

というわけで、問題を解きます。

たいていの場合、間違った理由は、「本文が読めないから」ではありません。

ある当該箇所が訳せないから、です。

「傍線部とはどういうことか」なら、傍線部の訳。

「傍線部とはなぜか」なら、直前の当該箇所の訳。

そこがなぜ正解のように決まるのかわからないとすれば、単語か、文法の知識、つまり品詞分解の方法がわかっていないわけですね。

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

もし、単語や文法がわからないなら、当該部分を解説で復習するのでなく、必ずブログのページに戻りましょう。関連する部分は全部やり直す。つまり、それが載っている記事は最初から最後まで読みましょう。

問題演習を通して、内容理解も必ずやる!前注で話の前提をイメージし、設問の選択肢を逆から読んで話を予想し、古漢は二度読み。一度目は、わからなくても最後まで読み、わかるところをみつけていく。

さて、問題演習です。これも、最初からやることになります。

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

 本文の内容をわかるためには、読み続けるしかありません。テクニックは上にまとめた通り。

まず、前注を真剣に読む。予測までするかはともかく、恋愛ものか、病気と死か、自然の景物か、没落か、権力闘争か、戦争か…。そのぐらいわからないで、話を読み出してはいけません。

裏技的テクニックになりますが、設問の最後から選択肢を読んで予測すること。これはコツですが、後ろから、結末から読んで戻っていくと、読み間違いが圧倒的に減ります。

それから、原則二度読むこと。特に一度目は、わからないところをとばす。わかるところを見つけて最後まで読む。そして、二度目でがんばってつめていく。

この一度目で、わかるところだけにこだわる、というのが意外と難しい。

できない人は、たいてい、読んでわからないところが気になる。それが3行ぐらいたまるとどうしようもなくなる。そうすると先を読む気力がなくなる。ここで「とりあえず問題やってみるか。わからないから」みたいなことをやっています。わからないのに、問題行ったらおしまいです。

でもね、これ、練習しないといけない。だから、問題量がポイントになります。前に批判されたので、一応書いておきますけど、こういうことやると、話はわかるようになりますけど、得点があがるとは限りません。だって、答えを選ぶのは、文法と単語ですからね。

 

問題演習の時間がどうしても確保できないなら、「日本語訳」を読んで「音読」という作業だけを毎日やる!

さて、こういうことを書いてくると、問題演習がいかに大事かがわかりますね。

センターは80分ですから、一題あたり20分。

つまり、一題解いて、解説読んで、文法とか単語に戻るとしたら、40分から60分必要ですね。

そうすると、評論、小説、古文、漢文とローテーションするとして、一日1時間国語で使って、1週間でようやく2年分が終わります。6週間で、12年分。

これだって、たとえば、数学2時間、理科2時間×2、英語2時間と国語より大事な科目を仮に倍程度でおさえて、国語足して9時間です。主要教科もっとやりたいとなれば、国語はこれ以上増やせません。

でも、文法とか単語とかをもっと完璧にしたいとなれば、問題演習を減らすしかありませんから、夏休みかけて、8年とか終わればいい方かも。

でも、8回ぐらいでは、読解の方法も身につかないし、文法だって出題パターンの一通りなんて出てくるはずがない。

圧倒的に少ないんです。

というわけで、こうなったときにおすすめするのが、音読。

特に古文とか漢文が苦手な人は初期段階、まず、日本語訳をざっと読んで、どんな話か理解する。そしたら、音読して終わり。

これならうまくやると5分もかからないかも。

これを毎日入れる。古文も漢文も、場合によっては現代文も。

そうすれば、読解だけでも40題終わります。こういう経験が積まれると、古文が読めるようになってきて、単語とか文法とかがつまると一気に得点があがります。

夏休み、最低でも一分野、20年分ぐらい読むだけでも読んでみませんか?