古文単語は12回目。今日は、宮中に関わる単語を整理していきます。
古文単語は一度、宮中に関わる単語に入ります。平安時代の文章では、宮中が舞台となりますから、こうした単語がわからないと苦しくなります。服装や調度品などは、抜いてしまいました。単語の意味というよりは、部屋のイメージができて、その名称を覚えるというような作業だからです。
では、説明しましょう。
- 宮中や帝をあらわす「上」「御前」
- 尊敬語は次回にまとめて。「しる」は「知る」と「治る」
- 間違えやすい単語「かづく」と「かしづく」
- 寵愛を示す語「おぼえ」と「ときめく」
- 身分は「きは・際」と「ほど・程」
宮中や帝をあらわす「上」「御前」
まずは、「御前」ですね。帝や中宮をはじめとして、偉い人全般に使われる言葉です。「上」というのも、基本は帝とか院とかを指しますが、それらの人がいる場所であるとか、貴婦人・奥方というようなところでも使われますね。
日本では、人と場所が重なってくる傾向があります。
あなた、こちら、奥様などなど。こういう傾向がここにもあるわけです。清涼殿なんて呼びますけど、「昼の御座(おまし)」という帝が昼にいらっしゃるところが上で、そこにいるのが上ですね。
そういう意味では「うち」は「内裏」です。宮中を指します。「おおうち」は「大内」ですが、「大内裏」です。大きい内裏と覚えておけば大丈夫。宮中全体が大内裏で、その中で、帝がいるのが「うち」「内裏」ですね。
だから、それが帝の呼称のようになることがあるわけです。
宮中を指すといえば、あとは「九重」と「雲居」です。
「雲居」はそもそもは雲が居る、すなわち、空そのものですから、空と宮中の両方の意味をもちながら歌で使われることが多いですね。
尊敬語は次回にまとめて。「しる」は「知る」と「治る」
尊敬語は次回にやりますが、基本、
思ふ→思す→思し召す
というように敬意があがります。
敬語の単語は次回ですが、ここでは「しる」を押さえましょう。
漢字で「知る」と「治る」「領る」の二つがあります。
帝だと後者もありますよね。
しる→しろす→しろしめす
というように進んでいきます。
間違えやすい単語「かづく」と「かしづく」
間違いやすいのが、「かづく」と「かしづく」。
「かづく」は「被く」。
もともとは「かぶる」、「衣服などを褒美としていただく」、「ひきうける」さらには、「損をする」という感じです。もともと、褒美といえば、服、かぶるものですからね。「褒」も衣の中に「保」ですからね。
それに対して「かしづく」は、「傅く」で子どもを大切に育てる、世話をする、という形。よく出て来ます。
これに近いのは「いつく」ですね。「いたつく」も同じような意味になることがあります。「いつく」は神様に対しても使い、祭るというような意味にもなります。
「遊ぶ」は、普通に遊ぶこともありますが、音楽をたしなむこと、演奏すること、音楽を聴くこと、という形で使われます。
寵愛を示す語「おぼえ」と「ときめく」
寵愛といえば、「おぼえ」ですね。「思ゆ」は受身動詞です。
「~ゆ」は受身。だとすると「思われる」が原義です。それの名詞形ですから「思われ」ですね。
「ときめく」は「時めく」です。「今っぽい」「時代っぽい」ということ。平安時代でいえば、今を時めくためには、帝に愛される必要があるわけです。
ちなみに「~めく」は「~っぽい」です。「ざわめく」は擬音に「~ぽい」がついているので、「ざわざわっぽい」という感じ。「~めく」は名詞か擬音が多いですね。
「ときめく」が後に「ときときっぽい」になって、胸がときめいちゃうわけですが、古文では「時めく」です。
身分は「きは・際」と「ほど・程」
身分は「きは・際」です。「ほど・程」は程度ですから、身分を表すこともありますね。
身分に関わる単語は、他にもありました。復習しておきましょう。
このあたりが身分の高いことをあらわす単語のイメージです。