国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

古文単語は意味分類で覚える!20 呼応の副詞を覚える

古文単語シリーズは、試験によく出る「呼応の副詞」です。本文には必ず出てきますから、ポイントをおさえましょう。

呼応の副詞というのは、ある特定の副詞がくると、文末が決まる、ということですね。現代語でもあると思います。文法上の細かいことをいえば、すべてが副詞というわけではありませんが、呼応のあるものを中心にまとめました。

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呼応の副詞は入試でもよく出題されます。

 

打消しグループの基本~ず・なし・で・じ・まじ・や・か

まずは、非常に数の多い打消しグループです。意外といい加減になっているのは、受け所。「打消し」と言いますが、それが何かわかっていないと困りますね。

  • ず~打消の助動詞。ある意味では本当に打消しはこれだけです。
  • なし~形容詞。でも、存在がないわけですから、これも打消し。
  • で~打消しの接続助詞。「未然形+で」で「~ないで」と訳します。
  • じ・まじ~打消推量(意志、婉曲など)の助動詞。will notで「~ないだろう」ですね。
  • や・か~疑問の係助詞ですが、文全体が反語になるとするなら、これも打消しの意味のひとつです。「~だろうか、いや~ない」ですから。

ということで、説明にいきましょう。

「え~ず」は「できない」

まずは、「え~ず」は「できない」ですね。とにかくよく出ますからしっかり覚えましょう。「えさらず」「えならず」「えもいはず」などという形で慣用表現になっていることも多いですね。「えさらず」は「え避らず」で「避けることができない」。「えならず」「えもいはず」に共通するのは「素晴らしい」ということ。「え成らず」で実現不可能なぐらい素晴らしい、「えも言はず」は言葉にできないことです。ただ、こちらは、悪いことにも使いますね。言葉にできないぐらいひどい、ということです。

「まったく~ない」は数が多い

「まったく、少しも~ない」はさまざまなパターンがあります。

  • つゆ~打消
  • さらに~打消
  • よに~打消
  • すべて~打消
  • たえて~打消
  • つやつや~打消

などです。

「つゆ」は「露」。「ちょっと」というほどもない、ということですね。「そんなこととはつゆ知らず」みたに現代語でも使わなくはないです。「つゆほども」なんていうこともあるかもしれません。

「さらに」は「更に」で、「重ねて」「加えて」という感じ。打ち消すことをさらにするので全否定につながります。

「よに」は「世に」で、打消し語がないなら「実に」「非常に」という強調語。打消しも強調されます。

「すべて」「たえて」はそれぞれ「全て」「絶えて」ですから、やはり全部なくなりますね。

「つやつや」は「すっかり」とか「きれいさっぱり」という意味なので、打消しがくるとやはり「まったく~ない」になります。

「ほとんど~ない」

「おほかた」は「だいたい」「ほとんど」ですから、こうなります。

「をさをさ」も「ほとんど~ない」「めったに~ない」ですね。

「よも」は「じ」を伴う。will not

「よも」は現代語では「よもや」という形になって残っていますね。ですから、「~ないだろう」と未来形の打消しですね。

 

禁止句形の「な~そ」

禁止句形は「な~そ」です。これが現代語では文末について「~な」と禁止を表しますが、古文でもそういう使い方もあります。

「勿来」という地名は「なこそ」と読みますね。漢文で読むと「勿」は「なかれ」で禁止句形。「くることなかれ」「きたるなかれ」などと読みますが、和語にすると「な来そ」で「なこそ」です。覚えておきたいですね。

ゆめゆめ・あなかしこ

「ゆめゆめ~禁止」句形は、現代でも「ゆめゆめ忘れるでないぞ」みたいに聞いたことはある程度には残っていますね。終わりは禁止といっていますが、「じ・まじ・べからず」のようにしてもやはり禁止の意味が出ますからOKです。

「あなかしこ」は「あな畏し」ですので、「ああ恐れ多い」という感じ。これに禁止を加えると強めている感じになっています。

「定めて~推量」

「定めて」というのは、「おおよそ」ぐらいのイメージ。だから「きっと」とつければいいわけですね。

 

他にもありますが、現代語でイメージできるような表現は省略してしまっています。というわけで呼応の副詞でした。