いよいよ夏休みがやってきました。夏休みになると、やってくるのが宿題。国語と言えば、読書感想文ですね。これで苦しむ生徒達が多いわけで、なんとかしてあげたいというのが、今回の企画です。国語の先生としても、感想文のおかげで読書が嫌いになったりされたら、大きな損失です。だから、なんとか楽に感想文を書き上げてほしい。
今でも、感想文の宿題ってメジャーなんでしょうか?昭和の私たちには、やっかいな宿題の代表格でした。というわけで、いずれにせよ、書いておきます。
どちらかというと、「うまく書く」というよりは、「はやく書く」「その割にちゃんとしてる」という書き方ですが、参考になったらうれしいです。
三分間作文のおさらい
すでに紹介しましたが、まず三分間作文のやり方を身につけましょう。
簡単に書くと
- 一分間、テーマについて書くことを考える。
- 三分間でできるだけ多い字数を書き上げる。
というこれだけです。
- 授業のふりかえり「テーマ:今日の授業で習ったこと」
- 国語の要約「テーマ:この文章の要約・言いたいこと」
とかで使うと短時間でアウトプットできます。これを利用して、感想文を書き上げましょう。余裕があれば、読んでおいてくださいね。
全体の流れ=4+1のステップで完成!
やり方はとても簡単。
4つのテーマで三分間作文を4回やるだけ。
うまくいけば、つまり、制限時間で必要なことが書き切れれば、16分で材料がそろってきます。
それが終わったら、5つめのステップで、その4つをどの順番で書くかを決めるだけです。これで、下書きが完成。つまり、4つの三分間作文が下書きで、それを並べ替えて下書きが終了。
最後に、その文章を参考に、多少整えながら、清書していけばいいわけですね。
簡単。下書きができていれば、清書はそんなに時間がかからないと思いますよ。
なぜ、時間制限が必要かといえば、「タイムプレッシャー」だからです。もう一度読んでおいてください。人間は、タイムプレッシャーによって、集中するのです。だから、ステップ1よりステップ2、ステップ2よりステップ3…と字数を増やそう、という目標にすると本当に書けてしまうのです。
だから、「苦手な子ほど時間制限」です。本当にうまく書きたい子ども、書くのが苦でない子どもにはタイムプレッシャーはなくてもいいかもしれません。
ステップ1 あらすじ=どんな話か説明する。
それでは、ステップ1です。あらすじは正直言うとなくてもよい部分ですが、「字数を稼ぐ」というような観点からいえばとても重要な部分です。感想文が書けない子どもはひたすらここで、がんばって写すわけですね。
逆にいえば、ここが短くなればなるほど、格好はよくなります。
さて、あらすじが書けない人へのアドバイスは、「どんな話か説明する」というテーマで書くことです。
定型としては、
「○○○ということ(事件・出来事)を通して、○○○になる(気づく)話」
「○○○が起こって、○○が○○になる話」
という感じです。別に書けさえすれば、上の定型にこだわる必要はありません。
これで三分間作文をします。
一分間考える。
三分間でできるだけ字数をたくさん書く。
ですね。
ステップ2 その本で「学んだこと」「気づいたこと」「感動したこと」
次のテーマは「学んだこと」「気づいたこと」「感動したこと」です。
意外と書けなくなってしまうのが「おもしろかったこと」というテーマ。子どもにとって「おもしろい」は「笑える」ですから、「ない」とかそんなことにもなりかねません。
そうではなくて、「学んだこと」「気づいたこと」。
もし、こどもが理屈をこねて、「何も学ばない」といいはるなら、「作者がおしつけようとしているお説教」でもかまいません。
つまり、多少、教育的なメッセージを書いてもらいます。
もし、どうしても「ない」と来た場合は、先にステップ3をやってしまうのもありです。その場合は、ステップ3にあうような、本のテーマを探してくるというやり方になります。
もちろん、「一分考える」「三分で書く」です。
ステップ3 「学び」「気づき」に関わる自分の体験・経験
さあ、ステップ2でメッセージがつかめたら、本のことは忘れます。そのメッセージを使って、自分の体験や経験、考えを書きましょう。
たとえば、「信頼に応える」というテーマなら、
「信頼に応えられない自分」とか「信頼に応えてくれてうれしかったこと」とか、「信頼って大事だなって思った経験」とか、そういうことを書き出すわけです。
あまり、優等生的な発想ができない子どもの場合には「失敗」や「辛かったこと」「いやだったこと」と同じテーマの「うまくいかなかった経験」だと書きやすくなると思います。
最悪で何も書けない、というなら、「文句」を書かせる。
作者のテーマに対して、「そんなこといったって、現実そんなにうまくいかないでしょ!」と書かせれば、この項目はクリアできるのです。
つまり、「作者に対して、自分の考えをのべる」ということでかまわないわけですね。
ここももちろん、三分間作文です。
ステップ4 「夢」「目標」に向けた自分の「決意」「これから」
この項目も、本を離れてかまいません。ここまで書いてきたテーマを踏まえて、「自分のこれから」を書けばいいわけです。
「夢」「目標」と書きましたが、
「将来○○になりたい」
「○○な人になりたい」
「今、自分をこうしたい」
「友達と○○になりたい」
「社会が○○なようになればいいのに」
何でもいいんです。要はテーマに基づいて、自分のことを書けばよい。考え方を変えれば、一番書きやすいかもしれません。
反省だっていいんです。
「自分のこういうところを直したい」
毒づいてもいいかもしれません。
「社会なんてどうせ変わりはしない」
「自分は変わりたいけど変われない」
不思議なもので、テーマがきちんと捉えられていると、「できない」と書くだけでも「本当は何とかしたいのに…」というように伝わるんですね。
これが最後の三分間作文です。
ステップ5 書いた物を並べ替えて、形を整える。
ここまでで、四つの三分間作文が手元にあります。これをならべかえるわけですね。
パターン1 無難に。
無難に行きたい人は順番通りに
- あらすじ
- きづいたこと
- 自分の体験
- これからの自分
「この話はこういう話です。」
「特にこういうところがすごかったです。」
「私にも同じような体験がありました。」
「この本で学んだようにこうしていきたいです」
というような感じになります。
パターン2 やや格好よく
- あらすじ
- 自分の体験
- きづいたこと
- これからの自分
「この話はこういう話です」
ぷつんと切れて「私にはこういうことがある」
「この本では、こういうことをこういう風にやっていた」
「この本で学んだようにしていきたいです」
1と2のところで切れるのが、やや格好つけてる感じです。話が交互になるのがなかなかおしゃれ。
パターン3 格好よくいきたい
- 自分の体験
- あらすじ
- きづいたこと
- これからの自分
「自分にはこういうことがある」
「この話はこんな話だ」
「この話で主人公はこうして乗り越えていた」
「自分も同じようにしていきたい」
自分の経験から入るのが、かなり格好よくなります。そして、最後に自分に戻ってくるわけです。
パターン4 意表をついていくパターン
- 自分の体験
- あらすじ
- 自分のこれから
- 気づいたこと
「自分にはこういう経験がある」
「あらすじ」
「自分のこれから」
「だから、こういうところがすごいんだ」
交互に話をつけていきつつ、最後を本の話でしめるので、以外と感想文らしく仕上がります。
いかがでしょうか。感想文に苦労する方は、三分間作文×4セット方式を是非お試しください。
では。