国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

2024年度共通テスト国語設問分析速報!ノートや資料などの解釈でとにかく時間が…

さて、今年も共通テストが終わりました。終わってしまうと、毎年恒例の設問分析をあげなければいけません。というわけで2024年度共通テスト国語の設問分析です。

共通テストになって数年経ちましたが、だんだん傾向としていろんなことがわかるようになってきました。国語自体は、来年以降、資料的な問題が増やされ配点も変わるので、また変化が起こるわけですが、なんとなく傾向がつかめるようになってきました。

なので、まずはそんなことからまとめてみたいと思います。

基本的にすでに説明してきたことが多いので、大前提は以下のページを参照してください。

 

www.kokugo-manebi.tokyo

 

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共通テスト国語の全体傾向

だいぶ共通テスト自体をどうするつもりかが見えてきましたのでまとめておきます。センター試験と違うと言えば違うような部分になりますので、理解してください。

共通テストの大きな傾向をまとめてみると以下のようなことが言えると思います。

ノートや教室討論、あるいは複数文章などを組み合わせ思考力を問う

評論、小説、古文、漢文ともに、ノートや教室討論、複数文章などを用いて、その文章をどう解釈していくかということを作業としてしなければならなくなっています。今年の問題で言えば、評論はノート、小説は資料、教室討論、古文は資料、漢文は複数文章という形になっていて、これについては「必ずプラスアルファの文章を課す」ということで理解してよいのだと思います。

おそらく、自分自身で言うと、ノートや教室討論系の問題を必ず定期試験にいれなくちゃ…というようなことが必要になりますし、中学入試や高校入試でもこうした問題をより出題していく必要があると考えています。

となると、全国的にそういう傾向が強くなるんだろうな…という気がします。

ただ、これ自体はやや厄介な話で、おそらく文章量が増えて、より時間が足りなくなる可能性が高い。速読力が問われるようになるので、「選択肢すべてを本文と照合する」というようなやり方がより通用しなくなると予想します。私自身は、「答えの根拠と選択肢を照合する」と教えていますので、そもそもそういうやり方はいけないと思うのですが、おそらく塾、予備校、参考書などでは、選択肢のすべてを本文と照合するやり方を平気で教えていますので、そのあたりが大きな壁になる確率が高いと思います。

ノートや教室討論の問題では空所補充が出題され、その問題ではまずノートの文章自体が答えの根拠になる

さきほどの話の延長線上になりますが、ノートや教室討論では、今までなかった空所補充の問題が出題されています。これは結構変わったことで、今までは著作権配慮だと思いますが、漢詩の押韻の問題以外では空所が来ることはありませんでした。

しかし、ノートや資料は出題者が勝手に作っているわけで、したがってここを空所であけることはまったく問題がなく、こうした問題が頻出となっています。

そして、ここが大事なことですが、こうした問題はノートを作っている人、討論の中で発言している人がどういう流れ、どういう理屈で発言しているかが重要なので、答えの根拠は本文ではなく、このノートや資料、討論、そのものになります。答えを本文に探すのでなく、そのノートや資料の指示語や接続詞など、当たり前のことをしっかりつかむ必要が生じています。

評論は段落要約中心であるのはセンターからそのまま

評論では本文に関わる問題は原則3問になっています。このあたりは次年度資料問題が入ることによって変化する可能性もあるかもしれません。

センター試験…本文傍線部4問+内容把握1問(選ぶのは2つ)

共通テスト…本文傍線部3問+ノート、教室討論問題

というような形になっているようです。この前半の本文傍線部問題3問は、原則として段落要約問題で、センター同様、根拠が入り乱れることなく、本文に沿って段落要約的に問題が作られています。

小説の問一では意味が復活。漢字なのか意味なのかは固定されていない。

昨年の共通テストで2年連続漢字の意味問題(漢文で問われるようなタイプの漢字問題)が出題され、センター試験で定番だった意味問題が姿を消しました。昨年のところで、今後このパターンで行くのだという意思表示のように受け取りましたが、まさかの復活。

というわけで、小説の問一は漢字、意味などのこだわらず、さまざまな出題形式が考えられます。共通することとしては、言葉の意味や語源、漢字の意味など、そういう言葉に関わる問題であることは推測されます。

古文・漢文では知識問題はよりストレートな知識問題に

共通テストになって、ノート・討論・複数文章など解釈を問う問題が増えた関係で、単語や文法などの知識題はよりひねりなく、そのままの知識題になっている印象です。センター試験の頃は、古文の問一の単語の問題などでも、語源までわかっていないとその訳にたどりつかなかったり、そもそも単語の暗記ではなく、言葉の意味を解釈するような問題も入っていたりしました。その意味では、単語や文法、漢詩の理解などは非常に重要になっている印象です。

和歌や漢詩は出題確率が高くなっている

複数文章にした関係もあるのでしょうが、和歌や漢詩の出題頻度は明らかに上がっています。和歌の場合は解釈、つまり「訳」。漢詩の場合は、それに加えて押韻や形式、対句などの知識が必ず問われる形になっています。

古文では名作の頻度が増している

今年の出題は名作ではありませんが、背景に源氏物語があるというあたりまでふまえると、明らかに名作からの出題になっています。これは、複数文や解釈を問おうとすると、どうしても無名作品でやることはできないからです。無名作品であっても、その背後にある名作を持ち出して、解釈問題を作成するという形が続いていくと推測されます。となると、源氏物語や和歌、漢詩などの知識はやはりあるにこしたことはないということになっていくでしょう。

2024年度国語の概況

というわけで2024年度共通テスト国語の概況です。昨年に比べて易化傾向という分析が出ていますが、おそらくそれは知識問題がそのままの傾向で判断できることとノート、討論などの解釈問題が比較的迷う選択肢が少ないことによるのではないかと思います。

ただ、印象としてはとにかく文章が長い。今年に限ったことではないので、より難化するとか、文章が長くなったとか、そういうことではないのですが、少なくとも簡単だった、やりやすかった…というような印象からは程遠いのではないかと思います。

対策としては、とにかく時間を意識してやるとしかいいようがないのですが、まだ問題をやりこんでいくというだけの過去問題が量として存在しないのが困ったところだと思います。

というわけで、易化とはいえ、そんなに極端に平均点が上がるかといえばそうではないのかな…というような感じがしています。

評論 基本的には簡単…ノート問題は本文とは関係なく、独立して解いていくのがポイントかも。

比較的でやすいメディア、芸術系からの出題で、昔出た「聴衆のポストモダン?」に続く同一著者からの出題です。比較的受験生にとっては読みやすい印象だと思います。

問2。理由を問う問題なので、この場合の答えは直後、「たしかに…だが、」という情報逆接があって、次段落で「そして何よりも極めつけなのは…」といくので、6、7段落のまとめ問題のような印象。6段落だけで似ている言葉を探すと3。7段落だけで似ている言葉を探すと4、という間違い方をするはずだが、「極めつけ」にこだわれば、3はきれる感じ。ただ、4の選択肢は「CDを購入する人が増えたことで」という部分が理由として適切かというあたりが気になるはず。というわけで、ちゃんとそれをまとめている5が正解。

問3。「『芸術』全般にわたって進行しつつある状況」の説明で、端的にいえば「博物館化」の説明を求めている問題。9段落に傍線部Cが来るので、8までのまとめで大丈夫だろうという推測が成り立つ。8段落の冒頭とか最後の方とかが答えの根拠になってくるが、現実の時空が博物館にひきずりこまれる…というあたりの言い換えを探す形。つまり、8段落の冒頭とはどういうことか…という問題に変えてしまうと、「現実空間が」「博物館に」「ひきずりこまれる」という部分を選択肢と対象させればよい。1は「周囲の事物にむけられ、現実の空間まで」「鑑賞の対象に」「組み込まれてくる」でドンピシャ。他にあるとすれば2だが「生活空間」という言葉がずれていて、「博物館の空間より周辺の空間」というのもだいぶおかしいので、迷わないはず。

問4。まとめの部分。問3との関わりでいうなら、傍線部C以降、つまり9、10段落の要約問題。10段落の冒頭が「問題のポイントを簡単に言うなら…」とあり、ここが、答えの根拠を導き出すワード。「芸術は」「最初からあるのでなく」「なるものだ」ということ。「それがいつの間にか本質化されあるものだとすりかわってしまう」というあたり。さらに( )の中の「それ自体に価値があると錯覚する」というあたりもヒント。5がピタリと呼応する。逆に「本質化」が同じすぎて疑いたくなるぐらい。とはいえ、「選択肢の下の方を優先する」という考え方あたりからしても、1~4はずれすぎているので、5しかないですね。簡単だと思います。

問5。みなさんが苦手な段落構成問題。実はこの手の問題は、細かく正確に見ていくというよりは、「大きな間違い」があるという確率が高いので、そのあたりを中心に見ていきます。

大きな間違いのパターンとしては、

・構成ではなく、内容=言いたいことに大きな間違いがある。

・逆接やまとめの言葉(つまり、たとえば、要するに)などの解釈ミス

というあたりが想定されるので、まずはそういうところに着目する。

正解の3は、7段落は音楽と典礼の話から博物館化の話に変わるところであり、まず、「一般的な事例を通して検討し直す」というなら、「音楽と典礼」の話が残らないといけないはず。「新たに別の問題」はいいですね。話は変わるので。しかし、そのあとが「筆者の見解」となっていますが、ハウステンボスなどの同じような話をつけているだけなので、ここも無理があります。

正解選択肢ですが、1、前半の「背景」や「補足」あたりは真剣に考えると難しいですが、後半の「異なる二つの立場」は3段落冒頭の「それに対して」を見つければ簡単。2は、「具体的な情報」とあり、つまり「例」であること。5、6段落が例であるのは簡単にわかるからはずしにくい。4は「筆者の危惧」がポイントで、最後が「なりかねないのである」だからはずしにくい。

問6。ここからノート問題になっていきます。正直に言うと、本文とはあまり関係のない展開になっているともいえ、はっきり書いてしまうと、本文を忘れていいというか、本文を忘れてノートだけで考えた方が正解できるというか、そんな問題になっています。もっと書いちゃうと、本文を授業でやって、こういう文章を提出してきた時にこの生徒は果たしてこの本文をきちんと読んだのだろうかと疑問を持ってしまうような展開。もちろん、「作品鑑賞のあり方」についてレポートを出せ、といってこれを出してきたら素晴らしいと思うけれど、「本文を踏まえているか」というあたりは疑問。まあ、これがこれからよしとされる国語教育なんだろうなと思うと暗澹たる気持ちになってしまいます。

さて、それはさておき、問題の解き方としては、Sさんのレポート自体が答えの根拠になります。だって、本文は関係ないから。

というわけで問6。「別の見方」なので、直前の「ところが」に着目し、反対になるのが、その前の「何も感じることがない」。これが反対になるので1が正解。

問7。欠文挿入の問題は、①指示語②接続詞の二つについて、A欠文自体B空所の前後の二つについて検証し、あとは内容的なキーワードチェックをする。今回の場合、欠文に「それは」という指示語があり、また「~からだろう。」というので理由を示すことになります。bの後に「一方で」があって、内容が変わります。前半が「作品を通して現実を鑑賞する」、一方で「現実によって作品が変わる」と話が変わります。欠文はあきらかに後半なので、cかd。指示語から考えれば答えはc。

問8。自分の主張のまとめ、つまり、この文章の要約問題なので、見るのはレポートのみ。問7で見たように、「一方で」というように二つの考え方があります。これをふまえているのは形式的に「逆に」の2と「一方で」の3のみ。きちんと内容を踏まえているのは2だから、この時点で2。

小説 設問は傍線部の言い換えが多く、解き方をつかんでいればだいぶ簡単ですが…

基本的には従来の小説の問題と大きく変わりません。資料と教室討論があるものの、評論とはうってかわって、あくまでも本文解釈をしているので、本文を資料を使って理解するというような流れになっています。やりやすいという意味では易化傾向のさいたる問題です。

問1。おどろきの意味問題。昨年までの二年間で、漢字問題に変えたものだと思ったら、まさかの復活。今後は、こういう意味問題と昨年の漢字問題と、要するに慣用句とかも含めて、言葉の意味や語義、字義に関わる問題が出題されるとみる必要がありそう。

意味問題だとするなら、解き方のコツは「本文に入れない」。ひっかけ選択肢は、「本文に入るが辞書にない」か「本文に入らないけれど辞書にある」のどちらか。後者の選択肢を作るのは至難の業。というわけで、自然と前者のひっかけが多くなるわけです。となると、コツは「例文を作る」。本文を離れて、その表現を使った例文を作り、あてはめるのがよいです。

ア、うらぶれた=「うらぶれた街…」「うらぶれて異土の乞食となるとても…」みたいな感じで答えは4。

イ、もっともらしい=もっともらしいことを言う、というような感じで、答えは4。

ウ、やにわに。一番答えにくいかもしれないが、すぐに、突然の意味。

問2。「どういうことか」の問題。つまり、傍線部と選択肢との照合が重要です。傍線部は「おばがいる限り世界は崩れなかった」なので、1「おばに生み出された雰囲気によってその場が保たれていた」2「参加者全員を夢中にさせるほどの完成度に達していた」3「子どもたちを退屈させない劇になっていた」4「子どもたちも安心して劇の設定を受け入れた」5「子どもたちが楽しんで参加できる物語になっていた」で、1しかあり得ない。この感じが理解できていると大きいですよ。

問3。なぜかの問題。まず、答えの根拠の部分を直前直後から探す。基本的には「気安い声」を出すのは、それまでがそうでなかったから。つまり、直前の台詞を見る必要があります。特にその直前のイチナの「話すのは億劫?」に対する答えであるあたりがヒントになります。その上で、選択肢がすべて「そのうえで…」というように「気安い声」自体の説明になっていることも踏まえて選ぶ形。「億劫?」に対しての答えなので、「煩わしく感じているとイチナに思われることを避けようとして」、「気安い」なので「気楽に会話できる」と照合できる4が正解。

問4。このタイプの問題は、何カ所か描写があるので、まずそれを拾うことが大事。もちろん、二カ所以上の描写が同じ心理をあらわすこともあり得ますが、普通に考えれば変化をもたらすと見るのが妥当で、それぞれの動作の近くにどんな心理があるかを見ることになります。それがもし、異なるとするなら、そもそもひとつの説明しかない選択肢は×になるわけです。今回は二カ所で、最初は「狼狽」、次は友達のおばさん分析を受けて。というわけで、正解は2。まず「驚かされ」が「狼狽」と対応。これがない選択肢が多いというか他全部。友人の台詞が「自分の意識していなかったおばの一面」で、それに「揺さぶられる」でOK。後半については、「今度は…やめない」と書かれていて、ふたつ読み取れる。ひとつは意図的であること、もうひとつは先ほどと違うこと。(「は」は違うことをあらわす)このあたりからも答えは「さらに」と二つをしっかり分けていて自ら動揺をおさめるニュアンスのある2を選ぶのは容易。

問5。どういうことか、の問題なので、傍線部と選択肢の照合。「私はごまかされたくない」がそれぞれどうなっているか。1「迷惑なものとして追及し続けたい」2「自分だけはどうにかして見誤らずに捉えたい」3「記憶にとどめておきたい」4「本心を解き明かして理解したい」5「観察を通して明らかにしたい」となります。普通に見て2。ぎりぎり1とか4とか5もとれなくもないですが、おかしいのはわかるので、そのまま2になります。

問6。表現に関する問題。表現に関する問題は、

1 テーマ 物語の伝えたいこと、主張

2 表現そのもの

3 関係 本文と表現、表現とテーマなどのつながり

という3パターンで解いていきます。苦手意識が強い人が多いですが、テーマの問題であることを理解すると急に簡単になります。

1 テーマなし 表現「擬音語・擬態語」

2 テーマ「子どもたちの意識の変化」 表現「比喩」

3 テーマ「おばの異なる姿」 表現「交互に」

4 テーマ「対立・言い募る」 表現「発言だけ」

5 テーマ「うかがいしれなさ」 表現「比喩と倒置」

という感じ。これを見ても、2のテーマの「子どもたちの意識の変化」はそもそも的外れ。というわけでこれが×になります。

おもったよりテーマで決まることが多いんですね。

問7。ここから資料を用いた教室討論。評論ほど本文と無関係ではないものの、とにかく、資料や討論の流れがより重要になっていきます。特に空所補充問題は、討論の流れの中で考える必要があります。

(ⅰ)まずは先生の誘導がポイント。「私を枠づけたいという欲求」、特に「枠」について、本文で考えろと言っているわけです。そうするとXに入るのは、枠に関わる3か4。本文を踏まえれば4でいけます。Yは逆なので、枠がないというのがおばに見られない、つまり輪郭があらわになるという3か、普通枠づけるのに、それをしないで輪郭がない4かですね。これは物語を読めばわかるかな、と。

(ⅱ)生徒Nの台詞をよく読むのがポイント。Zとつながるのは、「様々な役になりきる」こと。で「自分であることから離れる」と。で、さらに先生のまとめから、普通は「自分でない何物かになりたい」というわけですから、それともずれないといけない。つまり、自分ではないんだけど、自分でない何物かになりたいわけではない、という感じ。1はなりたい何かがあるし、2は枠付けなのでやはりなりたい何かがある。3は、いろんなものがあって枠がないのでOK。4は自分になりたいだと逆になるのでダメですね。

古文 基本的な知識問題をしっかりとれれば簡単。

古文ですが、源氏をベースにした江戸時代の作品。源氏の知識を元に、本文を考えさせようという狙いで作られているようですね。作品は江戸時代ですが、擬古文的に書かれているので、基本、中古(平安時代)の文章のような感じ。つまり、単語や文法の知識が必要です。しかし、中世、近世の文章が多かったセンターの頃のように、単語の意味が現代に近くなったり、文法が現代よりになってきたりと注意することも必要に感じます。

問1 意味問題。より単語集通りに意味を聞いています。アの「あからさま」、イの「とみ」については、両方とも時間に関わる基本単語。ウの「をかし」は美に関わる単語で、しかも「かたち」ですが、これはルックス。

よければ、このサイトの単語を見てくださいね。

問2 文法問題。これも定着してきましたね。1、「し」は過去の助動詞。過去進行形ですね。2、「む」が連体形になった時は婉曲で「ような」。「も」だけでなく、「は・が・を・に・の」など、全部連体形をとります。現代語だと「遊ぶ」「の」「が」というように「の」が入りますよね?これが連体形の感じで、そうなると婉曲で「ような」と訳します。3、完了はまあいいでしょう。「り」は「りかちゃんさみしい」で「サ変の未然形と四段の已然形」ですから、文法的にはOK。ただし、主語は山と河原ですから、人々の顔色ではありません。4、二重尊敬の表現。5、大夫は敬意対象のはずがなく、尊敬語はつきません。「大夫がとりつたうのを」「見る」ので敬意対象は大夫ではありません。

問3 和歌の問題。和歌は1メッセージ、2直前の内容を詠む。2つ合わせると、直前の内容がメッセージになる、ということです。また、「解釈」という言葉は「訳」のこと。つまり、深いことを考える前に、単語的、文法的に、まずは正確に訳す、もっというと、意訳する前にちゃんと直訳する、ということが大事です。

1、本文冒頭を見ればわかりますが、普通は源少将などを誘うのに「とみのことなりければ」「ほのめかし給はず」となっているわけですね。ちなみに、それが普段と違うとわかるのは「まつはしたりし」という過去の助動詞の「し」です。回想で現在との対比。なので、恨んでいるのは源少将。2、恋愛の話にするのは無理がありますね。3、松と待つはいいでしょうし、返事を届けるのもいいでしょう。しかし、掛詞なら、歌の中でふたつの解釈が必要ですね。そうすると「松」の意味がつながりません。というわけで4。解釈があるので、それと歌を照合すればいいだけ。恨むのが源少将ですから、「来ればいいのに、待ってるから」って返したわけです。

問4は資料というか、別文章での説明で、問を構成していきます。

(ⅰ)空欄Ⅰですが、これは和歌の解釈。逆に言うと、本文を読むときに先にここを読んでおきたい感じ。解釈は訳。だから、「月の中なる里ならし」が「月の中の里だと思われる」に対応するのは見抜けるはず。つまり、空欄は「雪の光もよに似ざりけり」の訳。意訳ぽくはなるが、それがわかれば2。「よに似ざりけり」が「この世のものとは思えないほど」と対応します。

(ⅱ)同じように20行目から22行目の訳を探す。順番にみると

「天霧」→「晴れ渡り」→「月影はなやかに差し出で」→「雪の光いとどしく映え」→「白銀きらめきわたり」→「まばゆき夜」

となりますね。というわけで2。ただ順番に対応させるだけです。

(ⅲ)これも23~26行目の対応。ただし、資料に「源氏物語を意識して読むと」と書かれています。となると、源氏のイメージを考える観点からみると、1「律儀」2「温厚」3「風雅」4「悠々」となり、そもそも3が有力。また、選択肢は、「「げにも」と思はすものから、ここもなほ見過ぐしがたうて」という部分からどう読み取るかというつくりなので、ここを訳す。実は選択肢できれている「ものから」がわかるとすごく簡単。「ものから」は逆接をあらわすので、この二つは逆接でつながれますから、「実にその通りだと思うけれども、ここもやはり見過ごしがたくて」という感じですから、「その通りと思うけれど、そうはできない」という感じになります。だからこそ、全部の選択肢が「~人々とは異なり」となるわけです。で、そうなるとその直前の訳が「人々」ですから、答えはここからも3になります。

漢文 漢詩がまた出題。基本知識は必須です。

漢詩がベースとなりながら、複数文でおっていく問題。一見難しそうに見えますが、複数文とはいえ、直訳的な問題なので「照合」さえしてくれればさほど難しいことはないと思います。

問1。漢詩の形式。押韻と形式を聞いているだけ。原則、漢字を音読みして韻かどうか判断しないといけませんが、原則七言詩は、偶数句末に加えて初句末が入ります。というわけで、5。

問2 漢字の問題。

ア、和漢異義語の問題。シンプルに覚えましょう。過去には「城」が出たことがあります。

イ、故事成語。日本語の問題といってもいいでしょう。

ウ、ようやく漢字の読みの問題「よりて」ですね。

問3 基本的にこの手の問題は「訳→書き下し→構文」の順に見るのがよいと思います。書き下ししかくれない時は、それを日本語にして本文に入れていく、という感じです。とはいえ、受身や使役などのあからさまな句法が含まれていれば、そうなっていないものは除外。この問題の場合、「所」が下から戻る漢字だと知っているとこの瞬間に2か4になります。また、「有無多少難易」の6文字は下が主語ですので、そうなると答えは4で決まります。やはり知識は重要ですね。

問4 資料ⅠⅡをふまえるとなると、楊貴妃がライチをたしなんだ…というあたりですから、そこがポイントです。4ですね。

問5 資料Ⅲの説明はすべて「滞在した時期とライチが熟す時期の不一致」というところが統一されています。つまり、Ⅲはそう訳せということ。自分で考えなくても選択肢が注のような役割になっています。日本語がわかるなら、それが不一致なら、詩の事実は「間違い」となりますから、答えは345のどれか。資料Ⅳからは、明らかに音楽ぐらいが読めるでしょうから、3か5。Ⅳのラストは曲名がライチを献上したことに由来するわけですから、5になりますね。

問6 本文を理解するというよりは、ここまでの問を理解するという感じでしょうか。問3あたりで人々の命が奪われ、問4では玄宗が楊貴妃に献上すると描かれます。そもそも玄宗と楊貴妃の話って有名で授業でもやってたりしますよね?源氏の桐壺もそれをふまえて…みたいな。となると、「情愛に溺れた」2一択という感じです。

 

というわけで、2024年度の解説でした。意外と簡単だと思うのですが、とにかく分量が多く、パンクしたのではないかというのが私の危惧。共通テスト対策は時間を意識してやっていきましょう。