夏休みになると、国語ならではの宿題が出てきます。作文や読書感想文、そして他教科も含めて、課題読書などの宿題です。今日は、そんなことを書いていきます。
「夏休み」といえば、宿題です。季節の風物詩のようにとらえれば、情緒も感じますが、基本的にはあまり意味のないことのように感じています。
もちろん、これは「宿題に意味がない」といっているのであって、「作文や読書や読書感想文に意味がない」といっているのではありません。私が思うのは、「強制」っていうのはあまりいいものでなく、せめて強制するにしても、やることが選べたり、読むものが選べたりすることが大事だし、自分で意味を考えてやることが大事だよねっていうことです。
というわけで、今日は夏休みの課題を考えてみましょう。
読書感想文は、とても高度な作業!~コツが必要!
夏の国語の課題といえば、読書感想文です。しかし、この読書感想文というのはとても難しい作業です。こんなの得意なやつの方がおかしい。
- 本を読まなくちゃいけない。
- そこで、本を前向きにとらえて何かを学ばなくてはいけない。
- 「学ぶ」ということは、それなりに考えた生活を送っていなくちゃいけない。
- それを人に伝えなくちゃいけない。
- しかも、それを「なるほど」とか「おや?」とか思わせないといけない。
- つまり、「この本を読んだら、普通こういうこと考えるよね。普通こうだし。でもね…」っていう感じがないと書けない。
というわけで、感想文なんてそう簡単にできないですよ。
最近流行りのビブリオバトルだってそうだと思いますけど、みんなが知ってるじゃだめだし、かといって、みんなに受けないのもだめですよね。
じゃあ、その感覚ってどうやってつけるの?っていったら、圧倒的な読書量になりますよね。
それをね、国語の先生が感想文書かせるのは、「そうでもしないと夏休み一冊も本読まないでしょ」っていう感覚なわけだから、本読んでいない生徒にやらせるなんていうのは無理があるわけです。
というわけで、文句はこのぐらいにして、書き方は昨年まとめました。
これは、3分間作文のテクニックで、一気に書き上げてしまうという作戦です。3分間作文は、さまざまなことに使えますので、是非覚えておきたい手法。
これをテーマを決めて数回繰り返し、書く順番をいれかえて、かっこよく仕上げるというもの。
苦手な子が形だけ整えるのもOKだし、得意な子がよりかっこよく作ることもできると思います。
最近の読書感想文の書き方指導だと、箱作ってキーワード入れるだけ、みたいになるんですけど、それだとどうしても同じパターンになっちゃって、いいものにはなりきらないんですよね。クリエイティビティって「ずれ」だから。
というわけで、是非、使ってみてください。
課題読書の「苦痛」を乗り切っていくために
つづいて、社会とか歴史とか公民とかで出そうな、課題読書についてです。ありがちなパターンとしては、「新書」から何か選んで読んで、レポート書け!みたいなパターンですね。
こうした課題がどうして難しくなるかというと、それは「読書」だと思うからです。
この読書は小説ではない!
じゃあ、「読書」って何かって話です。これはきっと「小説」以外読んできてないことを考えると、「小説」をイメージして読書してると思うんですね。これは、そもそもの読書のイメージとして間違っている、というか、読んでいて苦痛になると思います。
「小説」の読み方って何?ということがわかれば、それは逆にこの読書をどうすればいいかが見えてきます。
小説の読み方っていうのは、
- ラストが読めない。というか、裏切りとか意外性こそが小説の神髄。
- ラストだけでなく、展開も読めない。展開さえも意外性が小説の神髄。
- どうなるかわからないドキドキが小説のポイント。どうなるかわからないけど、「どうなるの?」って思いながら読むのが小説。
- そして、表現の美しさを味わうのも小説。比喩であったり、描写であったり、それ自体が楽しい。
まあ、他にもいろいろあるかもしれませんけど、こういうものなんですね。
でもね、こういう課題で出てくる本て、こういう目的に合致するんでしょうか。ドキドキなんてあるわけないし、というかそもそも何のために、本を読むのかという話です。
そもそも、これらの本を手にとるときはどういう時か?それは、何かについて、知りたいときです。「何か」って?それは、あなたがあらかじめ決めた「何か」です。
中世ヨーロッパの文化を学びたいのか?
戦後日本の経済復興を学びたいのか?
日本国憲法の運用の変遷を知りたいのか?
要は、先にテーマを決めている。場合によっては、欲しい内容も決まっていて、下手すれば「なんだ、この本じゃだめだ」みたいなこともあるわけですね。
それなのに、小説風の読み方をしているとすれば、大変なことです。
- テーマが決まっていないし、欲しい内容も自分でわかっていない。だから、読んでもよくわからない。
- 次にどうなるかわからないドキドキを求めているとするなら、そもそもお門違い。
- 内容以外の表現で、驚きや感動がもたらされるはずがない。
- というか、こういう本のおもしろさは、知的好奇心あってのもので、そもそもテーマを決めていないなら、どうしようもない。
というようなことですね。
つまり、「課題読書」のコツは、「テーマ選び」にかかっているんです。
「課題読書」で大事なことは、本選び。
まずは、適当に本を選ぶのをやめましょう。まずは、興味のあるテーマを選ぶこと。そして、それについての結論や期待する意見を決めること。
それがわかれば、次は本選び。本を選ぶとすれば、次のようなことをします。
まずは、目次をざっと読むこと。目次が「見出し」で要約ですから、そこで言葉が難しかったり、その流れについていけないとすれば、おそらくその本はあなたには難しすぎるか、あなたの期待するものではないということです。
逆に、目次を読んで、「おもしろそうだな」と思えれば、その内容を理解できる可能性が出て来ます。
次にやることは、結論部分を読んでみること。最終的にどんなことを言いたいのかを読んで、理解でき、しかもおもしろいな、と思えれば、たぶん何とか読めます。
逆に、「何が言いたいの?」とか「えっ、結局これだけ?」みたいな話だと、前者は、あなたには難しすぎ、後者はあなたの期待する答えがないという意味で、かなりきついですね。
というわけで、本選びをしっかりやりましょう。
まとめます。
- まず、自分の興味のある分野、知りたいことをしっかり検討する。おもしろいと思う「講演会」じゃなければ、行く価値はない。
- 次に、目次を読んで、自分の期待する内容かチェック。興味がそそられなければ、書名以外にあなたがおもしろいと思う場所はない。
- 結論部分を読んで、あなたが得られる内容をチェック。期待するものでなければ、その本はあなたに何かをもたらさない。
というわけで、読書に入ります。
読書の仕方とレポートのまとめ方のコツ
ここまでちゃんとやっていれば、読書自体はかなり楽勝です。
まず、自分が決めたテーマがあり、期待する結論がわかる。
さらに、目次によって、そのテーマがその結論にいくまで、どういう流れになるかわかる。
だとすれば、あとはそのフレームの中に、その本が示してくれた具体例をはめこんで、理解していくだけ。言いたいことはわかってる。でも、その理由を具体例を使って頭にインプットしていく。
結論だけなら見出しと目次で終わりですが、この具体例を読むのがこうした本のポイント。だって、抽象的な表現だけだとわからないから。こういう例を頭の中にインプットしていくことがすることが、こうした本を読む目的ですね。
「見出し」と「例」はイコールの関係。
だから、見出しから伝えたいことを頭の中に入れて、具体例をインプットしていくわけです。
レポートの書き方~小論文の書き方と同じ。
こうなってくると、あとはレポートを書くだけ。
でも、ここまでやっているなら、実は、ほぼ書く方向もきまっています。
なぜなら、こうしたレポートは、
- 本の内容、言いたいことをまとめること。
- それについて、自分が考えたことを書くこと。
だけだからです。
しかも、最初の「内容」「言いたいこと」は、読む前からつかんでいるし、後の自分の考えは、「本を選ぶ」段階である程度決まっていなければおかしい。
というわけで、こうなってくると「小論文」ですね。
自分の意見というのは、本の内容をはなれてはいけない。離れるなら本を読んだ意味がないからです。本の内容をふまえて、それなりに自分で深めていかなければいけない。
深められない?
難しすぎる?意見なんて思いつかない?
じゃあ、あなたにテーマが向いていないんです。そんなテーマを選んではだめです。だからそこまで考えて、本を選ぶんです。
小論文の書き方はこちら。
書き方についてわからなけらば参考にしてください。
作文の書き方のコツ~「感じたこと」を書かずに、「あったこと」を書く。目指せ!小説家!お笑い芸人!
さて、最後に「作文」です。遠足とか、行事があったりすると、作文の課題が出ますよね?これはどうして苦手になるのでしょうか?
それは、「感じたこと」を書く、と思っているからです。
これ、とても大事。感じたことは書いちゃいけないっていうのが作文の最大のルールなんです。
感じたことを書くから、「〇〇をしました。おもしろかったです。」みたいな文章の連続になるんですね。これも完全に指導のミス。
出来事を書いて、感想を書く。
これはやっちゃだめです。
なぜなら、作文というのは、読み手に感じてもらうものだからです。そこを書き手の感想を書いちゃったら興ざめです。
書き手の感想を書いて、感動があるとしたら、一人称小説ですね。でも、それだって、全部は書かない。比喩にしたり、情景描写にしたりして工夫するわけです。
たとえば、遠足がすごく楽しかったとして、その楽しさ、笑いを書くとするなら、「笑わせる小説」といえます。こういう小説を書くときに「〇〇して楽しかった」「〇〇しておもしろかった」って書いちゃったらだめですよね。お笑い芸人が「〇〇でね、〇〇〇で、おもしろいでしょ?」なんて言わないですよね。
つまり、泣かせるにしても、感動させるにしても、笑わせるにしても、書いちゃだめなんです。
だから、心構えは、出来事だけを書いて感想を書かない、ということになります。これでいけるなら、小説を書く、あるいは笑わせる小話を書く、という感じ。これだけでも、意外とおちゃらけた小学生は結構、筆がすすみます。
女子は、一人称小説を書くつもりでいくと、結構進みます。自分や友達を登場人物や主人公に見立てて小説を書く。結構行けますよ。
で、どうしても苦手だとします。
で、コツはあったことを感想抜きにたんたんと書き進めましょう。という感じ。これでふざけるやつがいたとして、実際にやってみましょう。
テーマは遠足です。
「あったことを書くんだよ。」
「何にもないよ。」
「じゃあ、朝起きてからあったことを順番に書いてごらん。まず、何をした?」
「朝起きた。」
「それから?」
「顔を洗った。」
「で?」
「歯を磨いた。」
「で?」
「荷物を確認した。」
「で?」
「靴を履いた。玄関のドアをあけた。」
それでは書いてみます。
「朝起きた。顔を洗った。歯を磨いた。荷物を確認した。靴を履いて、玄関のドアをあけた。空は晴れていた。今日は遠足だ」
どうでしょう?結構格好いい書き出しになりません?
バスから見えた風景。どんな風に見えたか、どう思ったかなんて書かなくていい。正確に描写すること。
「ローソンが見える。TSUTAYAの青い看板が見える。サイゼリヤが見える。次から次へと看板が流れていき、気がついたら、田んぼが広がりはじめた。」
こうやって、見えたものを書けば、リアリティが増していくんです。特に理系型の子は、よく見ていることが多く、感じたことは書けなくても、正確に細かく描写すると、結構いい表現になることが多いです。
感想は無駄。
台詞も小説のように、書いて、思ったことは一人称小説のように書いていけばいいんです。
「と言った。」「と返事した。」
その程度でいいので、書けばいいんです。
というわけで、夏休みの宿題、がんばりましょう。
今日のまとめです。
感想文は「3分間作文」
課題読書は、評論。先にテーマと書くことを決めて本を探す。
作文は、小説。感想を書かずに出来事を書く。
がんばりましょう。