センター試験から共通テストに変わる最初の入試が行われようとしています。共通テストの問題を解く上でのヒントをまとめます。
いよいよ、共通テストです。
基本的にはセンター試験と変わらないかもしれないし、もしかしたら、がらっと変わるのかもしれません。
実際に共通テストがどうなるのか?
わからない中で、今日は、共通テストをどう解いていくのかをまとめます。
おととしに書いた直前期のものがこれです。今日はもうちょっと前のイメージ、問題演習いっぱいやってくれるところでのアドバイスです。
※2021年の分析と解説はこちら。
- 共通テストは本当に傾向が変わるのか?
- 対策問題集はこちら。
- 教室の討論は「ヒント」になる確率が高い!
- 評論~文章構成の問題が出たら、そこをガイドにして読み進めていく。
- 表現の問題は「テーマ」「訳」をベースに。表現自体のチェックもしっかり。
- 選択肢が傍線部に比べて長くなったら、ほかの「根拠」がある。決して全体ではなく、どこが根拠か探す。
- 「歌」や「漢詩」の問題は、テーマも大事だが、訳の呼応がより重要!
- 消去法がいけないわけではないけど、残った選択肢を「照合」しよう!
- 選択肢を文として読もう!因果関係はつながっている?
- 漢字問題が苦手な人へ
共通テストは本当に傾向が変わるのか?
一番気になるのは、本当に問題傾向が変わるのかということです。
たとえば、平均点が本当に50%ぐらいになるのか?
問題形式は、模試がやっているみたいに複数の文章が出たりするのか?
教室の討論は本当にあるのか?
図や表、写真や資料を使う問題は出るのか?
そもそも評論文が、資料読み取りみたいになったり、小説が随想や詩になったりするのか?
わからないことばかりですね。
こんなことは予想しても仕方ありません。わからないんですから。
ただ、言えることがいくつかあります。
そもそも、ここ数年のセンター試験もずいぶん問題の傾向が変わってきていて、答えの選択肢が長くなってきたり、本文の内容を理解して具体例や日常の例で選んだり、文章の構成についての問題が出たり…。
小説なんかでは、全体のテーマを意識していないとできない問題も出ていますね。
ひとつひとつの問題傾向についてもいくつかまとめてきましたから、まずは、センター試験の問題の解き方をしっかりと身につけましょう。
大きく変わるわけではないんですから。
ということをおさえた上で、共通テストの問題に関して、少しまとめていきましょう。
対策問題集はこちら。
まずは対策問題集を紹介しておきます。個人的には、センターの過去問はちゃんとやった方がいいということと、あまり極端な問題、たとえば複数文とか、評論でなくて説明文みたいなものが出るのか、という懐疑はありますが、でも、対策問題集はやった方がいいと思います。
教室の討論は「ヒント」になる確率が高い!
共通テストのモデル問題や試行調査を受けて、各社の模擬試験では、教室での討論がまじる形が多くなっています。
討論もいろいろなパターンがあって、たとえば古文などでは別の文章を持ってきてそこで問題を作ったり、評論なんかでは古文同様、違う資料を持ってきたり、具体的な例で話し合うこともあれば、生徒たちが話し合って一部空白になって、あてはまるものを入れたりすることもあります。
共通していえることは、先生や生徒が正しいことを言っている場所がかなり長くなっていること。
たとえば、討論が続いたうえで、生徒たちの意見が並べられ正しいものを選ぶような問題の場合、まず、討論そのもの、たとえば先生の解説は正しいわけです。
あるいは、生徒たちが討論して、空白がある場合、空白以外の討論はすべて正しいわけです。
このように、古文であれ、現代文であれ、先にここを読むことで、どんな話か、どんなテーマか、何がキーワードかがわかる可能性が高いです。
したがって、いきなり本文を読むのではなく、まず、こうした討論シーンに目を通すことが重要です。
慣れてね。
評論~文章構成の問題が出たら、そこをガイドにして読み進めていく。
評論には、文章構成の問題と表現の問題を分けて出すことが多くなっているようです。まあ、これらはセンターから続いている傾向だとは思いますが。
大きくわけると、ふたつのタイプの構成問題があると思います。
ひとつは、①から④とかにしたがって、順番に話が展開していくパターン。①が最初のほうで④が最後のほうってことですね。
もうひとつは、①から④が、全部「最初は~、真ん中で~、最後に~」みたいになっているパターンです。このパターンは全部そろっているとは限らなくて、全部の選択肢がとにかく全体に関してふれているというパターンです。
これらの問題は、まず、「ある」ことを確認して、このページを見ながら本文を読んでいくことをおすすめします。
私の経験でいうと、前者の、順番に展開していく場合、段落の分かれ目が間違っていることはほとんどないです。それこそ、キーワードも間違っていないことが多い。間違うパターンは、他の人、同じ意見の人を使っているのに「対立」とか「批判」とかいれたりとか、そういう意見のあり方を変えるパターンがほとんど。
なので、この切れ目を意識しながら、段落要約していくと、すぐ答えがわかるし、本文も読みやすくなります。
ちなみに後者の、ひとつの選択肢が全部まとめていくパターンの場合、まず、最後の部分とか、テーマっぽい表現と、本文の最後を合わせるのがおススメです。まずは結論部分を照合するってことですね。
表現の問題は「テーマ」「訳」をベースに。表現自体のチェックもしっかり。
小説によく出ていた表現の問題は、評論、古文、漢文にも散見されるようになっています。
これらの解き方は前にも説明しましたが、半分は「テーマ」であることを理解しましょう。
小説なら「テーマ」。
評論なら「言いたいこと」。
古文、漢文なら「訳」の対応。
表現を聞いているっていう思い込みと、「表現を表す言葉の意味がよくわからない…」っていう苦手意識で混乱しているだけの人がほとんどで、実際には、「表現じゃない!」っていう開き直りがものすごくきくんです。
古文や漢文なら、まず「 」の中を訳して、選択肢と比べる。「 」がないなら、本文のどこかまず探す。
評論や小説なら、選択肢のテーマ的な部分を全部チェックして、それを本文の読みと比べて照合する。
この作業が大事ですよ。
選択肢が傍線部に比べて長くなったら、ほかの「根拠」がある。決して全体ではなく、どこが根拠か探す。
共通テストになって、より選択肢が長くなっている可能性が高いと思います。
基本的に、傍線部と選択肢を照合することが基本です。
内容的な照合、キーワード的な照合、つまり「わかること」とともに、「設問に答える」、つまり、「傍線部とはどういうことか」と聞かれれば、「傍線部と選択肢を照合する」ことですね。
これ、「選択肢と本文を照合する」ではないんですよ。先に答えを決めて、その答えを選択肢と照合するんです。その答えが、傍線部だってことです。
これ、結構大事なところで、「時間が足りない」という多くの人は、「選択肢ひとつずつを本文と照合する」ということをやっている可能性が高く、その結果、本文を合計6回読んでいる可能性が高い。
そうではなくて、「根拠をきめて選択肢と照合する」わけです。
ところが、共通テストを迎えて、より選択肢が長くなってくる率が高い。だから、傍線部と選択肢の照合でないように見えると思います。
しかし、そうではありません。問題が傍線部の説明である以上は、
- 短い傍線部も必ず、選択肢のどこかと照合する。
- それ以外の部分は、必ず本文にどこか根拠となるところがある。
ということなわけです。
苦手な人は、ここで、いきなり、「解釈」とか「全体」とか、ぼやんとしたイメージに頼りだしたりします。まあね、まだ、古文であればすらすらと全訳できていればいいんですけど、訳せてもいないのに、全体に頼る、なんとなくこんな感じなんていうのはおそろしい限りです。
ですから、こういう問題が多くなればなるほど、ちゃんと「本文のここ」を「選択肢がまとめている」みたいな対応をする必要があります。
「歌」や「漢詩」の問題は、テーマも大事だが、訳の呼応がより重要!
古文や漢文では、和歌、漢詩が出る「リスク」が高まっています。
本文に、和歌や漢詩がなかったとしても、お得意の教室討論シーンを作って、別のところからもとになる和歌や漢詩をもってくるという作戦が使えるようになったからです。
和歌や漢詩も苦手とする人が多いんですが、これもここまでとまったく同じ解き方です。
- 内容=わかる=和歌であれば、直前の本文を中心に展開、漢詩であれば、詩全体や本文の内容をもとにして選ぶ。
- 形式=設問に答える=要するに訳す。
これだけ。
特に大事なのが後者で、特に共通テストなら選択肢問題ですから「訳す」必要はなく、傍線部や歌、詩と、選択肢の「訳の呼応」をチェックすればいいだけ。「この訳がここ。この訳がここ。この訳がここ…」という繰り返し。
自信のある単語や文法の訳し間違いがあれば、切ってしまえばいいし、対応があまりにないものも無視していい。
たぶん、この作業だけで、うまくいけばろくに訳せなくても、ひとつに決まるし、運が悪くても2つか3つははじけるはずです。
消去法がいけないわけではないけど、残った選択肢を「照合」しよう!
さて、ここからは共通テスト、というより、センター試験、私大含めて、苦手な人の傾向です。
消去法は基本的にだめです。
というか、私だって、選択肢読みながら「ないな。ここが違う」と思えば、選択肢のある部分に線引いて×つけますから、消去法は使ってます。
そういうことじゃなくて、「これが×。これも×。これもダメ。」「だから残ったこれが〇」。というこれがダメなんです。
基本的に、正解には正解の根拠があります。だから、消去法は使うにしても、
「答えの根拠を決める→選択肢と照合する→合っているものを選ぶ」
というプロセスは欠かせません。
したがって、あなたが消去法をやったとするなら、必ず最後にやってほしいのは、残ったものが〇であるという確認です。
つまり、その選択肢がどうして〇なのか説明する作業、チェックをしてください。
よくあるのが、ちょっとした表現の相違に「キズ」を見つけて×をつけてしまい、残った選択肢に大きなキズがあるのにチェックしないで見過ごす…というパターンです。
たとえば、私のところに来る受験生のパターンでは、「どうして、この選択肢はだめなんですか?正解の選択肢にもこんなところにキズがあると思うんです。」みたいなものがあるんです。
こうした場合、たいてい「正解の選択肢のキズ」については説明ができるけれど、「自分が選んだ選択肢が〇である理由」は説明できないことが多い。正確に書くと、その選択肢を〇にしたい都合のいい部分を指摘するけれど、「×にされている理由」を含む部分については言及しないというのが特徴です。
つまり、ないことにしているんですね。そりゃ、キズを見ないことにすれば、小さなキズがある方が間違いになるでしょう。
なので、その「癖」を直さないと、最後の詰めができないことになるんですね。
選択肢を文として読もう!因果関係はつながっている?
こうなってくると、もうひとつのパターンが生まれてきます。
これは、「選択肢を文として読まない」という人たちのパターンです。
選択肢を要素に分解します。
そして、その選択肢のひとつひとつが本文にあるかないかチェックしていき、全部あれば〇…ということです。
「選択肢のここは、本文にある。ここは本文にある。ここも本文にある。全部あったから〇」ということですね。
これ、「つなげて読んで」というのが、よくある指導です。
たとえば、「不細工で」「性格悪くて」「もてない」とします。
「彼はもてないので不細工になったため、性格が悪い」
という文章は〇でしょうか。
「もてないので不細工になる」がおかしい。
「不細工になったからもてない」もおかしい。
日本語として意味不明です。
これ、「不細工なのでもてないから、性格が悪くなった」なら、日本語にはなってますが、やはり×ですよ。「もてないから性格が悪くなった」と「性格が悪いからもてない」は同じではないですから。
この作業をする人は、「選択肢と本文を照合する」人です。
傾向としては「時間が足りない」人。つまり、間違い探しをやり続けるから、時間が足りなくなり、そして、日本語として文を理解しない。さらには、文を理解しないから、少しでもキズのあるものを×つけていく…というサイクルにはまるわけですね。
こんなことも気をつけてください。
ここまでのものをもう一度まとめておくので、やり方のわからない人はぜひ読んでください。
漢字問題が苦手な人へ
前にまとめたページです。
漢字がだめな人はとにかくやるしかありません。問題集を買っていくしかないですね。
というわけで、ぜひやってみてください。