ようやく、とりあえず品詞分解ができるところまで説明が終わりました。先に進みたいのですが、何ができるか、ということをここまでで示しつつ、復習してみたいと思います。
もし、不安があるなら、最低限次のものを復習しておいてください。
特に「意味」の部分については、あまりこういう整理をしていないはずなので、読んでおかないと何を言っているかわからないかもしれません。
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では、品詞分解を実践練習してみましょう。
品詞分解の仕方
わからないときには品詞分解をする。
品詞分解の仕方は以下の通り。
- 動詞を探して、活用させる。
- 活用形から、助動詞の接続の分類をもとにして、助動詞の「アタリ」をつける。
- 助動詞がわかったら、その意味=訳が言える
ということでした。
というわけで使うのは、
- 動詞の活用 「ず・て・。・こと・ど・命令!」
- 助動詞の接続リスト「未然形:む・ず・むず・す・る・じ・まし・まほし・り、連用形:き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり、終止形:らむ・まじ・めり・なり・べし、連体形:なり・たり・ごとし、已然形:り・サ未四已」
- 助動詞の意味のリスト「当たり前の打消:ず、断定:なり・たり、現代語の受身:る・らる、使役:す・さす、時制のグループ、最初は過去:き・けり、未来:む・べし、次が進行:たり・りと完了つ・ぬ」「未来の輪、む、横に強めのべし、下に現在過去のらむ・けむ、目と音のめり・なり、反対の横はべしに似て、まし、頭は3つ、まほし・らし・たし、最後に反対のじ・まじ」
ですね。準備はよろしいでしょうか。では練習してみましょう。
実践練習
- 咲きにき。
- 咲きにけり。
- 咲きたりき。
- 咲けりけり。
- 捨ててむ。
- 食べてき。
- 落ちてけり。
- 咲きなむ。
- 咲けるべし。
- 咲きぬべし。
- 咲きたらむ。
- 咲きにたり。
- 投げつらむ。
さあ、いかがでしょうか。これらの訳を考えてみてください。
答え合わせ
さて、やることはわかるでしょうか?
- 動詞を現代語でみつけ活用させる。
- 活用形から接続を使って、あたりをつける。
- あたりがついたら意味を見つける。
の順番です。
もし、できなかったら、1とかを読んで、自分で2をやってみる。それもだめなら2も読んで、自分で3をやってみる…というように少しでも自分でやりましょう。
咲きにき。
- 動詞は咲くですね。活用させると「咲かず・咲きて・咲く。・咲くこと・咲けど・咲け」です。したがって連用形。
- 連用形ということは続く「にき」が連用形接続の何かです。「未然形:む・ず・むず・す・る・じ・まし・まほし・り、連用形:き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり、終止形:らむ・まじ・めり・なり・べし、連体形:なり・たり・ごとし、已然形:り・サ未四已」ですね。つまり、「き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり」のどれかです。「にき」になりそうなイメージは「ぬ」。「ぬ」は「に」だけですね。「にき」は無理でしょう。というわけで、下には「き」
- 意味の箱をあけます。「当たり前の打消:ず、断定:なり・たり、現代語の受身:る・らる、使役:す・さす、時制のグループ、最初は過去:き・けり、未来:む・べし、次が進行:たり・りと完了つ・ぬ」「未来の輪、む、横に強めのべし、下に現在過去のらむ・けむ、目と音のめり・なり、反対の横はべしに似て、まし、頭は3つ、まほし・らし・たし、最後に反対のじ・まじ」です。したがって、最初が「つ・ぬ」「完了=てしまう」、次の「き・けり」は過去=た
- ということで、「咲いてしまった」
- ちなみに「に」は何形?まだ活用やってないけど、連用形です。だって、「き」は連用形接続ですから。なので活用は覚えてなくてもなんとかなります。
いかがですか?わからなければ、覚えた箱を全部あけてどこに入っているか探すイメージです。
では、続いて練習です。
咲きにけり。
- 動詞を探します。「咲く」活用させましょう。さっきと同じです。「咲かず・咲きて・咲く。・咲くこと・咲けど・咲け」です。したがって連用形。
- 連用形接続の助動詞です。順番に箱をあけると、「未然形:む・ず・むず・す・る・じ・まし・まほし・り、連用形:き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり、終止形:らむ・まじ・めり・なり・べし、連体形:なり・たり・ごとし、已然形:り・サ未四已」ですね。つまり、「き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり」のどれかです。あれ、やっぱり「ぬ」ですね。
- ということは、同じなんですけど、不安なら箱をあけましょう。「当たり前の打消:ず、断定:なり・たり、現代語の受身:る・らる、使役:す・さす、時制のグループ、最初は過去:き・けり、未来:む・べし、次が進行:たり・りと完了つ・ぬ」というわけで、「つ・ぬ」は完了で「てしまう」、「き・けり」は過去で「た」
- というわけで、「咲いてしまった」
- 「に」は「けり」の上だから連用形ですね。
大丈夫ですか?やることはひたすら同じです。
咲きたりき。
- 動詞を探します。「咲く」活用させましょう。さっきと同じです。「咲かず・咲きて・咲く。・咲くこと・咲けど・咲け」です。ありゃりゃ、またまた連用形。
- だから、連用形接続です。いきなり連用形にいってもいいですよ。だめなら最初からね。「未然形:む・ず・むず・す・る・じ・まし・まほし・り、連用形:き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり、終止形:らむ・まじ・めり・なり・べし、連体形:なり・たり・ごとし、已然形:り・サ未四已」ですね。つまり、「き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり」のどれかです。でも、今度はたぶん「たり」でしょうね。
- ようやく違う助動詞がきました!でもわからないならやることは一緒。箱をあけていきますよ。「当たり前の打消:ず、断定:なり・たり、現代語の受身:る・らる、使役:す・さす、時制のグループ、最初は過去:き・けり、未来:む・べし、次が進行:たり・りと完了つ・ぬ」というわけで、「たり・り」は進行形でしたね。「ている」。「き・けり」は過去です。
- 咲いていた。
- 「たり」は「けり」の上だから連用形。
どうですか?いやでも、グループ分けが頭の中に入ってくるでしょ?使い続けているからです。できないほど使う。だから、できない人ほど忘れられません。
では、しつこくいきますよ。
咲けりけり。
咲けりけり、って、なんだか変な感じです。でもやることは同じ。
- 動詞を探します。「咲く」活用させましょう。さっきと同じです。「咲かず・咲きて・咲く。・咲くこと・咲けど・咲け」です。というわけで初の已然形。
- とはいえ、さっと出てこないなら、最初から同じように探します。「未然形:む・ず・むず・す・る・じ・まし・まほし・り、連用形:き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり、終止形:らむ・まじ・めり・なり・べし、連体形:なり・たり・ごとし、已然形:り・サ未四已」というわけで、已然形ですから「り」ですね。
- 「り」って何じゃ?と思うなら、意味の箱をあけます。「当たり前の打消:ず、断定:なり・たり、現代語の受身:る・らる、使役:す・さす、時制のグループ、最初は過去:き・けり、未来:む・べし、次が進行:たり・りと完了つ・ぬ」ですね。「たり・り」ですから、進行形存続で「ている」。「き・けり」は、「過去=た」。
- ということで、「咲いていた」
- 「り」は「けり」の上ですから、連用形。
捨ててむ。
さあ、動詞を変えてみました。でも、やることは一緒ですよ。
- 動詞は現代語で、「捨てる」ですね。「る」で終わるパターンは古文では「る」をとってuに変える感じ。活用させてしまいましょう。「捨てず、捨てて、捨てつ。、捨つること、捨つれど、捨てよ」です。というわけで、「捨て」までが動詞で、今回は未然形か連用形。もちろん、どっちかなのですが、この段階では決められないですよね。
- 残ったのは「てむ」。というわけで、接続はふたつの箱をみることになります。「未然形:む・ず・むず・す・る・じ・まし・まほし・り、連用形:き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり、終止形:らむ・まじ・めり・なり・べし、連体形:なり・たり・ごとし、已然形:り・サ未四已」未然形か連用形ですから、「未然形:む・ず・むず・す・る・じ・まし・まほし・り、連用形:き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり」の中で「てむ」とくれば、「つ」でしょう。で「む」が残る。だから、動詞「捨て」は連用形ですね。
- 意味の箱は同じ。「当たり前の打消:ず、断定:なり・たり、現代語の受身:る・らる、使役:す・さす、時制のグループ、最初は過去:き・けり、未来:む・べし、次が進行:たり・りと完了つ・ぬ」で「つ・ぬ」は完了、「む」は推量です。
- というわけで、「捨ててしまうだろう」、もしくは「捨ててしまおう」です。これは主語が何かによるんでしたね。前が推量、後が意志。
- 「て」は未然形。「む」の上だから。
- で終わりたいところですが、推量の助動詞の上に来た完了は「強意」です。だから、「きっと捨てるだろう」でもいいのですが、「きっと捨てよう」は今一つですね。だから強意でも訳としては「てしまう」は頭に残しておきましょう。
食べてき。
さあ、また違う動詞で練習。
- 食べる、ですね。「る」で終わってますよ。なので「食べず・食べて・食ぶ・食ぶること・食ぶれど、食べよ」です。というわけで、また未然形か連用形。
- さっきと同じ。そろそろ書きませんよ。「て」ですから、もう大丈夫ですね。「つ」でしょう。
- 「つ」とくれば、もう大丈夫かな?「つ・ぬ」で完了ですね。「き・けり」は過去。
- というわけで、「食べてしまった」
- 「て」は連用形ですね。
落ちてけり。
- 落ちる、です。「る」パターン。「落ちず・落ちて・落つ。落つること・落つれど、落ちよ」ですから、また、未然形か連用です。
- 「て」は未然形、連用形接続から探せば、やっぱり「つ」ですよね?
- 「つ」とくれば、いい加減大丈夫ですよね?「つ・ぬ」で完了、「き・けり」は過去。
- 落ちてしまった。
- 「て」はやっぱり連用形。
咲きなむ。
「咲く」に戻りました。
- 咲き、ですから、連用形。
- ということは「ぬ」
- 「つ・ぬ」は完了、「む・べし」は推量
- 咲いてしまうだろう
- 「な」は未然形、「む」の上だから。
- 完了じゃなくて強意。きっと咲くだろう、でもOK。
咲けるべし。
- 咲く、ですね。已然形です。
- りかちゃん、さみしいです。「り」
- 「たり・り」は存続、「む・べし」は推量
- 咲いているだろう、です。
- べし、の上は終止形、といきたいところですが、連体形ですね。「り」は終止形が「i」ですから、「u」につくために連体形をとります。
咲きぬべし。
- 咲く、です。連用形。
- 連用形とくれば…「ぬ」でしょうね。
- 「つ・ぬ」は完了
- 咲いてしまうだろう。
- ぬ、は終止形。べし、の上ですから。
- でも、完了じゃなくて強意。きっと咲くだろう、でもいいんですよね。
咲きたらむ。
- まずは咲く。しつこい。連用形ですね。
- 連用形なので、「たり」でしょうね。
- 「たり・り」は存続=進行形、です。「む・べし」は「だろう」ですね。
- というわけで、咲いているだろう、です。
- 終止形、と言いたいところですが、「たる」ですから連体形です。
咲きにたり。
- 咲く、です。連用形です。
- とくれば、「ぬ」でしょう。
- というわけで、「つ・ぬ」は完了、「たり・り」は存続=進行形
- とすると、咲いてしまっている、ですね。
- たり、の上ですから、連用形です。
投げつらむ。
最後です。動詞を変えましたよ。
- 投げる、ですね。「る」ですから古文は「投ぐ」です。「投げず・投げて・投ぐ・投ぐること・投ぐれど・投げよ」という形。未然形か連用形。
- つらむ、をイメージすると、やはり、「つ」でしょう。とすると、切れるのは「つ」「らむ」ですね。
- 「つ・ぬ」は完了、「らむ」は?「当たり前の打消:ず、断定:なり・たり、現代語の受身:る・らる、使役:す・さす、時制のグループ、最初は過去:き・けり、未来:む・べし、次が進行:たり・りと完了つ・ぬ」あれ?入ってないですね。ということは未来の輪です。「未来の輪、む、横に強めのべし、下に現在過去のらむ・けむ、目と音のめり・なり、反対の横はべしに似て、まし、頭は3つ、まほし・らし・たし、最後に反対のじ・まじ」…ありました。+現在だから、「ているだろう」ですね。
- したがって、投げってしまっているだろう、もしくは、投げてしまっていよう、という感じ。推量か意志か。
- つ、は終止形ですね。らむ、の上だから。
- と待ってください。推量の上は強意、です。したがって、「きっと投げているだろう」もあり。現在意志ととると、「きっと」はいれにくいですね。
さっきから、完了の「つ・ぬ」と存続の「たり・り」ばかりなんですけど…
以上です。なんだか同じことばっかりでしたね。そもそも、最初の動詞がほぼ連用形。それもそのはずで、「つ・ぬ・たり」が連用形接続だからです。たまに「り」ですね。
ほかの助動詞やらないと意味なくないですか?
なんて声が聞こえてきそうですが、これでいいんです。
なぜかというと、助動詞にはつく順番というものがありまして、上にくるやつと下にくるやつがいるんですね。
現代語で
咲いた
咲かない
咲いている
を全部つないでください。
咲いていなかった
ですね。
そうなんです。「咲いたないっている」なんてつなげないんです。
上にくる助動詞は下にくる助動詞に接続する必要がある。
だから、未然形や連用形が必要なんですね。
それに対して下にばかりくる助動詞は、独自で活用する部分、終止形、連体形、已然形(係り結び、ですよね。)だけもっていればこと足りる。
活用表の〇は「活用がない」「活用しない」ということですが、これは下にくる助動詞なんです。
けりをつける
という表現は、蹴飛ばすんではなく、「助動詞のけりをつけたら、もう終わりだよ」ということで、「ピリオドを打つ・終止符をうつ」と同じ表現。
では、未然形・連用形を持っている助動詞は…
る・らる・す・さす・しむ
これらは、私が現代語グループと呼ぶもの
つまり、現代語で理解できるので、絶対本文で見つけられるし、無意識に訳せます。(自発とかは理解しないとだめだけど…)活用も余裕。
遊ばせる。食べさせる。読まれる。投げられる…など、これをひとつの動詞と思って活用させれば、絶対できます。だから大丈夫。
ず・なり・たり
これは打消しと断定の「当たり前グループ」。日本人なら知っていて当たり前グループ。だからあまり違和感がないはず。打消しは活用するとき、特に助動詞に続くときには「あり」を借りて「ず・あり」みたいになって「ざり」と動きますね。でも絶対わかると思う。
となると、
残りは…
べし・まじ
まし
まほし・たし
で、全部形容詞グループ。(まし、は正確にいうと違いますが、これもまた今度)
これらは、ほかの助動詞が下にくるわけではなく、助詞とかにくっつくために持っているので、品詞分解としては覚えなくても大丈夫。
というわけで、実際に品詞分解で紛れ込むのは
完了つ・ぬ、存続たり・り
だけなんですね。
と考えてみると今日の練習ってやっておけば、ほぼ終わり、ってことですよね。
なので、がんばって復習しましょう。
では。
次回は今日の話を系統だてて整理しておきます。