国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

源氏物語の内容をざっと理解する!すぐわかる源氏物語の話

今日は、大学入試に向けて源氏物語がどんなお話かまとめてみたいと思います。

古文を勉強していくと、「源氏物語」に出会います。長い割に「ここは有名だから知ってて当たり前」みたいなことを言われることもあるし、「「あさきゆめみし」(源氏の漫画)を読んでおくといいですよ」みたいなことも言われるし、一回ぐらいは、源氏を把握しようと頑張ったはず。

ところが、このあらすじがわかりにくい。というかあらすじのくせに長くて登場人物が多くてよくわからない。

というわけで、私なりに源氏の説明はすでにしました。

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まあ、このぐらいは必要なんですが、それでも長いと思う人もいるんじゃないかということで、もっと大胆に、短くしたバージョンを書いてみようと思いました。説明不足になるのは当たり前。それから、人の名前をあまり意識しないようにしてもらえると助かります。

これを読んでもう少しちゃんと把握しようかなと思ったら、上の3つを読んでください。

では行きましょう!

源氏物語は、恋愛と政治の両面で捉えていく!

源氏物語は、とても長い作品ですが、ざっくりと3つの場面でとらえていくといいと思います。

  1. 光源氏が権力を手中にするまで
  2. 光源氏が権力を手中にした後
  3. 宇治十帖(光なき後の物語)

こんな感じです。1がメインなのですが、それをひとくくりにして理解してしまえば、だいぶ楽になるんじゃないかと思います。

で、その部分を大きな二つの軸で捉えます。

ひとつは、光源氏の恋愛という立場から。母桐壺への思い、そして、母に似た父の再婚相手、もっといえば義理の母、藤壺への許されぬ恋。そして、それを満たす形での若紫

=紫上への思い。

もうひとつは権力の争い。帝は愛する桐壺の忘れ形見として、光源氏に権力を渡したいけれど、それが許されない。結果、左大臣家の葵と結婚することで、その身分の安定を図っていきます。葵のお兄さんの頭中将は、よき友達であり、仲間。ライバルとなるのは弘徽殿女御の右大臣家。この両家による権力争いというのが大きな見所です。リードしているのは右大臣家。だからこそ、光源氏が邪魔でしかたがないわけで、なんとか厄介払いをしようとします。しかし、終盤に向けて権力は逆転するのです。

それではこのふたつの軸に沿って、物語を見ていきましょう。

光源氏の恋愛~桐、藤、紫と続く紫の物語

源氏物語は「紫の物語」と呼ばれ、それを書いた作者は紫式部と呼ばれます。それは、源氏が愛する女性は紫にまつわる人たちだからです。

物語は源氏が生まれる前にさかのぼります。

桐壺というひとりの女性は帝に愛されます。身分も高くなく、後見もなく、それでも帝に愛される。この人が源氏の母です。周りから妬まれ、孤立し、そして源氏を産み落としてまもなく死んでゆきます。

源氏は愛する人の忘れ形見として、帝からも愛されます。

そして、源氏は見たことのない母への思慕を持つわけです。

そして、帝は愛する桐壺の面影を持つ藤壺という女性を宮中に迎え入れます。妻とするわけですね。しかし、この母の面影があるという藤壺に、源氏は憧れてしまうのです。もちろん、それは義理の母であり、父帝の妻である人。いつしか、その思慕は恋となっていきます。許されぬ禁断の恋です。

源氏は、妻として葵の上を迎えます。しかし、今ひとつ燃え上がるような恋愛というわけにはいきません。葵は左大臣家の娘で、後ろ盾のなかった源氏が彼女と結婚することで、権力の後ろ盾を作るためのものなのです。

その葵の兄の頭中将などから恋愛について学びながら、町を歩いて美しい女性を探すことを覚えていきます。本当に好きな藤壺が手の届かぬ女性である以上、そういう面影のある女性を探すということかもしれません。藤壺への思いがあるからこそ、それを断ち切るためにも別の女性が必要なのかもしれません。

ここでは重要な二人の女性に触れておきます。

一人目は夕顔。同じように花の名前を持ち、そして紫を想起させる女性です。この女性はかつて、親友とも言える頭中将が「こういう女性がいいんだ」といっていた、まさにその女性だったのですが、源氏がこの女性を探しあて、関係を持ったその時に、夕顔は、物の怪にとりつかれて死んでしまうのです。

二人目は若紫。こうやって、いろんなところを歩き回って女性を見つけるんだ…というその極限にあらわれる女性です。北山に病気の治療に行ったときのこと。あの藤壺のおもかげのある一人の少女をみつけます。それが若紫。母親がいない若紫をなんとか自分のものにしようと交渉しますが、後見の尼君(若紫のおばあちゃん)に断られてしまいます。

ここまで見てもらったように、源氏に藤壺の代わりとなる女性は手に入りません。夕顔は死に、若紫も手にいれられない。

そして、ついに源氏は藤壺への思いを遂げるチャンスを得ます。藤壺が里に下がったタイミングで、源氏は藤壺と関係を持ちます。一夜だけの禁断の恋。そして、この一夜で藤壺は源氏の子供を身ごもるのです。

もちろん、それは秘密。生まれてくる美しい子供は、建前として、そして二人以外はみな、帝の子供だと思っているのです。罪の意識のある藤壺は源氏との関係を絶とうとしていきます。

若紫の尼君が亡くなった時に、強引に自分の屋敷に連れて行き、自分好みの女性に仕立てていくのです。これが後の紫の上で、源氏の正妻となる女性です。藤壺に避けられる源氏にとって唯一の救いです。源氏は妻であるところの葵との関係がますます疎遠になっていくころ、葵は源氏の子供を身ごもります。

このころ、源氏が通っていたのが六条御息所。この女性のもとに源氏は通うのですが、徐々に源氏はこの女性を重く感じます。しかし、源氏が遠ざかれば遠ざかるほど、六条御息所はその思いを強くし、ついには生き霊となって、源氏の正妻葵を苦しめます。折しも葵は源氏の子を懐妊しているころ。だからこそ、源氏はより葵へと通い、その妬みは葵へ向けられます。源氏を一目見ようと祭りに出かければ、葵の家のものに車を壊される嫌がらせをうける羽目に。そして、ついに御息所は葵を取り殺してしまうのです。

源氏は妻を失った悲しみのうちにいます。そして、その後、美しく成長した若紫と枕をともにします。

このあたりから源氏は徐々に悪い流れに。

右大臣家が帝の妃にしようとした女性と関係を持ち、源氏ははげしく攻撃されます。

父帝は崩御。一の御子が帝となり、右大臣家の権力は強まります。

そして藤壺は悩んだ末に出家。源氏の手の届かぬ人になります。

右大臣家から攻撃される源氏は須磨に流れていきます。

その不遇の時を経て、再び京へ戻る源氏は、権勢を自分のものにすることになります。彼と縁のある女性たちをその宮に集め、ついに絶頂の中にいます。

しかし、紫の上の立場で考えると、一番愛されるべき時に源氏は須磨、明石へと流れ、戻ってくれば、多くの女性とともに過ごすという酷な立場になるのです。

源氏との子供は生まれず、明石の上と源氏の子供を、明石の上を呼び寄せておきながら育てることに。

桐壺、藤壺の後、紫の上がその愛情を受けるはずでしたが、現実はそれがかなわないように物語は進んでいくのです。

左大臣家(源氏)と右大臣家(一の御子)の権力争いは、源氏の勝利に。

今の恋愛の流れに権力の話を重ねていきます。

右大臣家、弘徽殿の女御と呼ばれる皇后と、その息子一の御子は、時期帝とその母として権力を持つはずでした。しかし、そこに現れたのが桐壺とその息子、光源氏。

自分の息子が帝の座につくと信じながらも、桐壺やその息子光源氏の、帝のかわいがり方を見ると、どうにも平静でいられません。

だからこそ、桐壺をおいやってゆくのです。

帝からすれば、桐壺の忘れ形見の源氏を帝にしたいのはやまやまです。しかし、占いで、源氏を帝にしてはならぬ、帝にしないでおけば、この子に権力がやってくるといわれ、泣く泣くあきらめます。

こうして、光源氏は姓をたまわり、つまり、帝の血を引きながらも権力闘争からは降りた形になります。右大臣家、弘徽殿の女御や一の御子からすれば、気が気ではないわけです。しかも、妻はライバル左大臣家の葵。その兄、頭中将が源氏と連携しながら、虎視眈々と権力の座を狙っているように感じるのです。

そんな時、光源氏は、右大臣家が一の御子の妻にしようと準備していた朧月夜という女性と関係を持ってしまいます。結局それがばれてしまい、朧月夜の入内は白紙に。右大臣家の怒りはすさまじいものです。

そして、父、桐壺帝が崩御。

右大臣家の権勢が強まり、そして源氏への攻撃が激しくなっていく中、源氏は京都にいることができず、須磨に流れていくのです。

これが源氏不遇の時。源氏はきらびやかな京を離れ、ひたすらじっとしているしかありません。

しかし、ある嵐の夜。

源氏の枕に、故父帝が立ちます。夢の中にお父さんの帝があらわれるのです。

父帝は、源氏のこの状態をなんとかするために京にいくとのこと。そして、源氏には明石へ行くことを告げるのです。夢の通り、明石の入道が源氏を迎えにあらわれ、明石の地で、その娘明石の上と関係を持つ光源氏。

一方、京では、さまざまな凶事が起こっています。帝にも眼の病がふりかかります。帝は、これは源氏の不遇によるものだと考え、ついに源氏は赦され、都に戻ることになるのです。

そして、権力は源氏のものに。しかも、一の御子=朱雀帝の後には、源氏の子供、もちろん周りは桐壺帝の子と思っている冷泉帝が即位し、盤石の体制になっていきます。

源氏は彼に真相を告白し、冷泉帝は父源氏が帝になるようにいいますが、源氏は固辞。こうして、占いの通り、源氏は権力を手にするのです。

源氏の権勢の中~内大臣(頭中将)との権力争い

以上が、源氏が権力を手にするまでの物語です。ここから権力を手にした左大臣家の中での争いへと、そして源氏の子供たちを登場人物とした物語へと少しずつ色合いが変化します。

仲の良かった頭中将と源氏ですが、権力を手にして二人の関係も徐々に変化。頭中将は内大臣となり、源氏がライバルのような形になっていきます。そして、二人の関係も徐々にくずれます。

基本的に何をやっても源氏が有利に。たとえば帝に入内させようと用意する女性も、無教養な女性で笑われるのが内大臣方。内大臣からすると何をやってもうまくいく源氏がおもしろくありません。

ここに源氏の子供たちの物語が加わります。内大臣の娘、雲居雁。源氏の息子、夕霧。この二人は幼なじみで、お互い思い合います。もともとお父さん同士は同じ左大臣家ですから、同じ場所で暮らして一緒に育てられたのです。

しかし、今はライバル関係。特に雲居雁の父、内大臣がこの恋愛をゆるしません。

まるでロミオとジュリエットです。対立する家同士ですからお父さんが許してくれないわけです。

一方、内大臣の息子に柏木がいます。この柏木は、源氏が連れてきた養女の玉鬘という女性に恋をします。実は、この玉鬘は、源氏が愛した夕顔の娘です。しかも父は内大臣。玉鬘本人も、源氏もそのことを知っています。しかし、内大臣も柏木もこのことを知りません。だから姉であることを知らず、柏木は恋をし、いいよります。玉鬘は弟だと知っていますから、なぜこんなことを…と思うわけです。

夕顔と自分の子供がいると知り、探し始めた内大臣ですが、結局、玉鬘がそれであることを源氏から告げられます。ここで和解。

雲居雁と夕霧の恋を認め、玉鬘は入内させようと準備をしていると、髭黒大将という訳のわからない男が玉鬘の家に入り込み、関係を持ちます。

その後、光源氏は朱雀院(一の御子)から彼の娘、女三の宮を託されます。源氏は女三の宮を妻とするわけです。しかし、源氏は女三の宮をあまりかわいがりません。それをあわれと思い、心寄せるのが柏木。

彼は女三の宮と関係を持ち、そして、女三の宮は柏木の子を懐妊します。もちろん世間的には源氏の子です。源氏はまさに過去自分がしたことを、されるという運命の中におかれるのです。

源氏は女三の宮のところにある手紙から、その事実を知ります。そして、その相手が柏木であることを知ります。柏木は源氏にその事実を知られていることを知ります。女三の宮は出家。

そして、そのことを気に病んだ柏木は病に倒れ、この世を去ってしまうのです。

柏木の妻は女二の宮。柏木は死にのぞんで、女二宮に託します。あろうことか、幼なじみと大恋愛を成就させた夕霧は、雲居雁がいながら、女二宮に心引かれ、一線はこえないものの、彼女を迎え入れ、怒った雲居雁は実家に帰ってしまうのです。

宇治十帖~源氏の血をひくものの物語

宇治十帖は、源氏がいなくなった後の物語。

先ほど書いた柏木と女三の宮の子供、薫。

世間的には源氏の子と思われていますが、実は源氏の血を引いていません。なので、顔はイケメンですが、まじめ。何かあれば出家したいと考えています。

薫とならぶイケメンと世間で称されるのが匂宮。遠いところで源氏の血をちゃんと引いた遊び人です。

まずは、薫が、出家はしていないけれど、半分出家のような生活を送っている八の宮を訪れるところから始まります。世捨て人のような八の宮の暮らしに薫は憧れます。そして、この八の宮のもとには大君と中君という美しい姉妹がいます。八の宮が病に倒れたとき、後のことを薫に託すのです。

八の宮亡き後、二人の姉妹に薫以外に頼るものはありません。その薫は姉、大君に心をよせます。しかし、姉大君は自分ではなく妹、中君を面倒みてほしいと関係を拒絶します。それでもなんとかしようと企んだ薫はあろうことか匂宮に声をかけ、妹中君と薫のデートの約束に、薫の代わりに匂宮を送り込み、自分は姉、大君とくっつこうという作戦に出ます。しかし、薫は大君の拒まれる。一方、薫の振りをした匂宮はまんまと屋敷にはいりこみ中君と関係を結びます。翌朝、相手が匂宮だったことで屋敷は大騒ぎ。それでも、中君と匂宮は結婚することになります。大君は嘆き悲しみ、そのこともあって病に倒れ、亡くなります。

その後、愛する人を失った薫は匂宮に放っておかれる中君に言い寄りますが、中君は拒絶。代わりというわけではありませんが、姉大君の面影を残す女性、浮舟を紹介します。

同じように後見のない浮舟は、薫の申し出を受け入れるしかありません。薫は前回のことがあるので、匂宮には決して教えませんが、匂宮は薫の様子がおかしいことに気づき、浮舟に会っていることをつきとめます。そして、匂宮は同じように薫のふりをして入り込み、しかし、何日も浮舟と二人きりで過ごすのです。

浮舟は、誠実な薫を愛しています。しかし、心のどこかで匂宮に惹かれている自分がいることを知っています。浮舟はいけないことと思いながら、二人と会い続けるのです。

そして、薫が二人の関係に気づき、それを確かめる和歌を浮舟に送ったことで、浮舟はついに、川に身投げをしてしまうのです。

みなが死んだと思っていますが、実は浮舟は助けられました。尼君に助けられ、僧都のもとで暮らします。浮舟は薫だけには生きていることを知られたくないと思っているのですが、ついに薫の知るところとなり、薫は浮舟に会いに行きます。

しかし、浮舟はそれを拒絶。

こんなところで、やや唐突な感も残しながら、物語は終わるのです。

 

いかがでしたか。

もともともう少し要約的に、入試で問われた時に、内容がわかるように、少し長めにまとめたものを、さらに短くしてみました。

大きな筋だけわかればいいよ、という人は、今日まとめたものの方がいいと思います。

もう少し詳しく…という方は、以下のものをどうぞ。

 

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で、もっと細かく…という方はネットにもっと細かいのがたくさんありますので、探してみてくださいね。