国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

近代文学史 小説 大正時代以降は、多様な作品が出て来る!作家同士の人間関係で時代をおさえよう!

近代文学史の小説は白樺派までおさえました。ここからは、浪漫、自然主義、白樺派などの「~派」では説明しにくくなっていきます。有名作家と作品を整理していきましょう。

前回が白樺派まで、でした。

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というわけで、そのあとの小説を一気にまとめます。でも、白樺派が登場した段階で、いわゆる「~派」というようなくくりがしにくくなります。なぜかというと、超強力な、自然主義の力がだいぶ弱っていくからですね。

小説はかくあらねばならぬ、というのがなくなれば多様なありようが許されるようになっていきます。逆に、こういう文学史ではまとめにくくなってしまいます。なので、まとまらないかもしれないので、エピソードで、なんとかつなぎたいと思います。「~派」でまとめにくいのは、作家が長生きするからでもあります。戦争をまたいで現代まで

 

「新思潮」の流れと「奇蹟」の流れ

大正時代の終わりのころには、今まで書いてきた文学とは違う流れも起こってきます。でも、このあたりになってくると、文学の多様性が認められているともいえて、同じ雑誌、同人だからといって、同じ文学を志向しているとはいえないような状況になっていると私は思います。でも、とりあえずは雑誌でくくっていきましょう。

「新思潮」

雑誌「新思潮」につどった代表格は、なんといっても芥川龍之介でしょう。基本的には夏目漱石に見出されたといってもいいと思います。「鼻」「羅生門」「芋粥」「地獄変」「藪の中」などの古典に原作を求めたものから、「蜘蛛の糸」や「杜子春」などの中国・インドの話をもとにしたもの、「トロッコ」などの現代小説など、短編であることもあって、作品名は山ほどでてきます。「河童」「歯車」「或阿呆の一生」など晩年の作品になってくると、苦しい胸の内が描かれます。この人も自ら命を絶ってしまうんですが、ここからあとになると、結局、こうした問題にぶつかっていくのかもしれません。


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「新思潮」で覚えておいた方がいいのは、菊池寛「恩讐の彼方に」「父帰る」と山本有三「真実一路」「路傍の石」あたりでしょうか。

「奇蹟」

「奇蹟」は自然主義の流れです。つまり、私小説。新早稲田派という名前もありますが、その流れです。広津和郎、宇野浩二などです。

プロレタリア文学

この時代大きな力を持って、ひとつのうねりとなり、また、入試でもよく出るのがプロレタリア文学。ある種の社会主義的なうねり、労働者の権利を描こうとする文学です。社会主義というと、いまやなんだか嫌がられそうですが、労働者の権利が確立しない中では、ものすごく重要な動きです。

この中でもっともテストに出るのは小林多喜二ですね。「蟹工船」「党生活者」など。彼自身も戦争が近づく中、思想弾圧の中で拷問受けて死んでしまいますから、そういった状況も日本文学の歴史の中で重要な意味があります。


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もうひとりあげるなら、葉山嘉樹ですね。「セメント樽の中の手紙」「海に生くる人々」です。

多喜二の作品はやはり読んでほしいですね。日本の歴史でこういうことがあった、というのは語り継がなければいけないし、政治的な動きの中で文学の役割というものをこういうところで見ることも大事だと思います。

 

大正末期から昭和にかけて

大正末期かた昭和にかけては、プロレタリア文学以外にもさまざまな作家がでてきます。このあたりからは、当然雑誌、たとえば「文芸時代」とかになるんですが、こうしたものに発表していく、というだけでなく、人気作家が単行本を書きおろして発表するという形もできあがってきますので、くくりにくくなっていきます。文学史の教科書だと「新感覚派」とか「新興芸術派」とか「新心理主義」とか、そんな言葉になっていきます。

文学史の問題としては、だいたい大正から昭和という時代感覚と作家と作品名を結びつけておけば大丈夫だと思いますので、「~派」というのもおぼえなくて平気だと思うんですが…

横光利一「蠅」「日輪」

川端康成

川端康成はノーベル文学賞ですね。「伊豆の踊子」が初期の代表作で「浅草紅団」「禽獣」などを経て名作「雪国」へとつながります。ノーベル文学賞をとったのは昭和43年です。長生きもしてますから、作風の変化、多様性もあるので、一概に語れません。ちなみにこの人も最後は自ら命を絶っております。


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井伏鱒二

井伏鱒二もまずはこのころの作家として覚えておきましょう。「山椒魚」で登場しますが原爆を描いた「黒い雨」でも有名ですね。

梶井基次郎

教科書でよく見るのは梶井基次郎でしょう。「檸檬」や「城のある町にて」などです。非常に芸術性の高い、特殊な感性で描かれた作品です。


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堀辰雄

 新心理主義なんて言葉でくくられるのがこの人です。「風立ちぬ」はジブリ映画でもとりあげられましたね。「聖家族」「美しい村」などです。

 

昭和前半の動き

昭和前半というのは、戦争がどんどん近づいてきて、極端なことをいえば弾圧が近づいているときです。この直前から戦中にかけては文学としてはかなり厳しい状況になっていきます。実際に、「戦争文学」なんて言葉もあって、戦争に協力するような文学でないと発表できない時期もあるわけです。

昭和初期、戦争直前、戦中、そして戦後と、戦争を前後して、文学にもこうした色合いが強く出るんですね。

転向文学

プロレタリア文学、もっというと共産主義、社会主義の作家たちが弾圧やその他の理由によって、思想を「転向」することをいいます。あまりいい意味では使われていないかもしれません。その苦しみを描いたのが、転向文学ですね。中野重治あたりをおさえておけば大丈夫じゃないかな。

中島敦

教科書ではおなじみですね。「山月記」の人です。「李陵」をおさえておきましょう。

評論

すぐれた評論もたくさんでてきます。小林秀雄、三木清、和辻哲郎などなどです。

ここまで出てきた作家たち

明治期のところで説明した作家たちも、大正期に書いた作家たちも、このあたりまで作品を発表しています。

永井荷風、谷崎潤一郎、島崎藤村、室生犀星、志賀直哉などです。

 

太平洋戦争と文学

戦争文学とか国策文学とか言われます。昭和十二年に日中戦争が始まります。このころになるといわゆる検閲が始まり、自由な作品発表ができなくなります。作家は戦争批判のものも書くわけですが、それが「発禁」にされてしまう。

若い作家もたくさん出ているのですが、戦争が終わるのが待たなければいけない状況が続きます。

戦後の文学

こういう時期でも作品がなかったわけではありません。戦後でも、永井荷風や谷崎潤一郎はまた作品を発表していきます。若い作家もさまざまな作品を残します。戦争をはさんで活躍した有名作家をまずおさえるなら、太宰治と坂口安吾でしょう。

太宰治と坂口安吾

太宰治は「人間失格」の太宰さんです。心中して自分だけ助かるところからはじまり、そういう屈折した感情が作品を貫きます。薬の手出したりとかね。そういうところから復活して書いたのが「富嶽百景」なんかです。井伏鱒二がこのあたりはかなり手を貸して助けようとしてます。「走れメロス」なんかもこの時期ですね。「晩年」「斜陽」「ヴィヨンの妻」とか。かなり破滅的な雰囲気と自伝的な内容が入ってきたりもします。文学的には語りも大きなポイントで、「駆け込み訴へ」なんていうのもぜひ読んでほしいですね。


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ここに対抗馬を出すなら坂口安吾でしょう。「白痴」「桜の森の満開の下」などですが、評論も結構おもしろい。「日本文化私観」とか「堕落論」とか。「生きよ、堕ちよ」なんてフレーズ、どっかで聞いたことがないですか?早稲田の政経あたりだと、こういう評論が出る可能性がありますから、安吾の作品はながめておいた方がいいですよね。

戦後の小説

このあたりの作品になってくると、野間宏とか、安部公房とか大岡昇平とかです。その中でも最も評価が高いのは三島由紀夫ですね。

三島由紀夫

 三島由紀夫は、「仮面の告白」「金閣寺」などですね。「近代能楽集」あたりで古典的な方に傾きます。タイトルの通り、演劇にも関心を示して戯曲も作っています。で、「憂国」「豊饒の海」を発表しますが、昭和45年に、憲法改正を唱え、自衛隊に決起を促すいわゆるクーデターのようなものを狙う立てこもりをするんですが、かなわず割腹自殺をするという衝撃的な事件を起こします。

背後にはノーベル賞を川端康成にとられた、という文学的な挫折があった、なんて話もありますが、作品とともに、その最後も壮絶なものでした。

 

第三の新人

安岡章太郎、吉行淳之介、遠藤周作、阿川弘之、曾野綾子といったところが「第三の新人」と呼ばれる作家たちです。日常とか家庭とか、ありふれたものを題材にしながらも、その中に潜む思いテーマを扱うようになっていきます。

ここから現代までとりあげなければいけない作家はたくさんいますが、このあたりになってくると試験には出なくなってくるので、割愛します。

というわけで次回は、また明治に戻って、詩歌の説明をしていきます。