国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

大学入試「国語」文学史の出題レベルを知るために。早稲田大学政治経済学部の文学史問題リスト

入試に向けて、文学史をまとめ中ですが、学習の目安とするために、まず、早稲田大学政治経済学部の最近の文学史問題をまとめました。

国語の文学史を勉強するにしても、何をどう覚えればいいのかわからないという人もいると思います。そこで、文学史を学習する目安、どこに重きを置くかを理解してもらうために、現代文・古典と両方で文学史を出題する可能性が高い早稲田大学政治経済学部の文学史の問題をリストアップします。

※早稲田大学政治経済学部は、2021年度入試より形式を大きく変更します。したがって、この出題傾向であるのは、2020年度入試までです。しかし、大学入試全体では、文学史の出題は継続されると思いますので、2021年度入試以降もこのページは残していく予定です。

※早稲田政経2021年度以降の入試についてはこちら。

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早稲田・政経の国語の傾向

早稲田大学の政治経済学部の国語の傾向は非常に鮮明です。

まず一番で、近代から昭和にかけての、文学者、作家、知識人などの文章が出て、これまでの日本が当たってきた問題を、ダイレクトに問いかけてきます。

2番は、政治経済らしい出題。文章が国家や権利や自由や平等など、国家の成立に関わるような内容で聞いてくることが多いですね。もちろん、言語や歴史などの可能性もありますが、これも国家の成立とだいぶ関係していると思います。古い問題になるとエッセイ的なものも出ていましたが、原則はこれでいいと思います。

3番からは古文・漢文です。甲乙というような形で、古文と関係する漢文が聞かれることが多いですね。漢文を出し続けるというのも、やはり、日本の国の成立に関わってくるからでしょう。

で、文学史ですが、1番の作者が文学にからむこともあり、現代文分野でも、そして古典分野でも聞いてきます。

また、問題の中には、慣用句やことわざ、四字熟語など、一般教養に近い、「政経くるなら日本人としてそのぐらい知っているよね」とでもいうような出題が含まれます。このあたりは、他大学でいうと法学部の出題に近いような気がしますね。

というわけで、そのあたりを踏まえて、文学史の出題です。

 

古典分野の文学史の問題一覧

2002
雨月物語の作者は誰か漢字で答えよ

2003
夕霧は源氏物語の最古の注釈書である藤原伊行との間に娘をもうける。この娘は家集を残すほどの歌人となり、平家物語に登場する平資盛との恋愛で有名だが、はじめ高倉天皇の中宮に仕え、後に後鳥羽上皇にも使えている。この人物は誰か。
イ和泉式部 ロ右大臣道綱母 ハ建礼門院右京大夫 ニ後深草院二条 ホ菅原孝標女

2004

なし

2005
「家の集」に分類される和歌集を次の中から一つ選べ
イ金塊和歌集 ロ抒情小曲集 ハ風雅和歌集 ニ文雅秀麗集 ホ和漢朗詠集

2006
横井也有(1707~1783)の作品であるが、これより前に成立した作品を選べ
イ浮世風呂 ロおらが春 ハ春色梅児誉美 ニ日本永代蔵 ホ南総里見八犬伝

2007
18世紀に成立した作品を選べ
イ雨月物語 ロ閑吟集 ハ好色一代男 ニ太平記 ホ風姿花伝

2008
二条良基が成立に深く関わった作品を選べ
イ今鏡 ロ愚管抄 ハ神皇正統記 ニ菟玖波集 ホとはずがたり

2009
十七世紀に成立した作品を選べ
イ浮世風呂 ロ閑吟集 ハ好色一代男 ニ十訓抄 ホ南総里見八犬伝

2010
鎌倉時代の作品との関係が論議されている。その作品は後深草院に仕えた女性によって書かれ、宮中の生活と尼になった後の生活が描かれる。その作品を選べ
イ十六夜日記 ロ栄花物語 ハ愚管抄 ニ更級日記 ホとはずがたり

2011
12世紀に活躍した歌人で、勅撰和歌集の撰者となり、源氏物語を学ぶべき古典と位置づけた人物は誰か
イ紀貫之 ロ宗祇 ハ二条良基 ニ藤原俊成 ホ源実朝

2012
小野僧正仁海(954~1046)が生存していた時代に成立した作品を選べ
イ宇治拾遺物語 ロ源氏物語 ハ太平記 ニとはずがたり ホ日本霊異記

2013
なし

2014
問題文の後半では6人の人物をあげて批評している。その序文でこれと同形式の批評が見いだされる作品を選べ。
イ十六夜日記 ロ源氏物語 ハ古今和歌集 ニ方丈記 ホ梁塵秘抄

2015
なし

2016
菅原道真の作品が全く載っていない作品を一つ選べ。(現代文での出題)
イ大鏡 ロ懐風藻 ハ古今和歌集 ニ百人一首 ホ本朝文粋

2017
「太郎冠者」「山伏」はいずれも能楽とともに室町時代に発達した軽妙・滑稽な芸能の登場人物である。その芸能の名称を記せ。(現代文での出題)

兼好に関する説明として正しいものをひとつ選べ。(古典)
イ 座の文芸である連歌を好み、「新撰菟玖波集」の編集を補助した。
ロ 吉田神社の神職の家に生まれ、後鳥羽院に厚く新任された。
ハ 「万葉集」を深く研究し「古来風体抄」ではじめて全歌に訓を施した。
ニ 足利尊氏の執事・高師直に仕え、「太平記」をきびしく批判した。
ホ 定家の子孫である二条家門下の歌人として、高く評価された。

2018
「とはずがたり」に最も成立が近い作品を次の中から選べ。
イ栄花物語 ロ懐風藻 ハ去来抄 ニ徒然草 ホ風姿花伝

2019

上田秋成の著作を次の中から選べ

イおらが春 ロ猿蓑 ハ世間胸算用 ニ偐紫田舎源氏 ホ春雨物語

 

古典分野の文学史の傾向

こうやって見てみると、メジャーな作品どころよりも、中世から近世にかけての作品が多いことと、成立した時代をかなり正確に聞いていることがわかります。その意味では、本文がある時代だったとしても、選択肢にあるものが、「これはこの時代だから…」とどれだけきれるかで決まると思うんですね。

まず、2017年の問題ですが、兼好法師を聞いていますが、イとハは作品名で違う人が浮かんでくれないと困ります。問題はロとニです。ロは「吉田神社」というのがひっかけの部分ですね。吉田兼好ですから。でも、「後鳥羽院」は新古今ですよね。ニは足利尊氏で、南北朝ですから違う。このように人名とそれにまつわる文学史、歴史知識が答えを決めていくわけです。

成立年を聞く問題でいうと、近世=江戸時代は、明らかに前期か後期か聞いてきています。このあたりは作者と作品名だけでなく、流れをおさえる必要がありそうですね。

あとは中世の、女流の日記に関わる知識がしつこく聞かれています。これも時代が絡む問題がありますから、しっかり意識する必要があります。中世はほかにも歌集が効かれていたり、能・狂言が聞かれたり…。選択肢までみれば、連歌もきちんと聞かれていますね。

あとは、上代=奈良時代の作品として、しつこく「日本霊異記」と「懐風藻」があげられています。「ああ、これは奈良時代ね」という感じです。古事記、日本書紀、風土記あたりだと簡単すぎるんでしょうかね。道真の作品が載っていないものはどれ?って超マニアックな問題に見えますし、聞いたことのないような作品もあってびびりますが、これを知っていれば余裕ですね。

 

現代文分野の文学史の問題一覧

2001
次の中から明治以外のものを選べ
イ 有島武郎「宣言一つ」
ロ 石川啄木「時代閉塞の現状」
ハ 北村透谷「漫罵」
ニ 坪内逍遙「小説神髄」
ホ 正岡子規「歌よみに与ふる書」

2002
森鴎外の作品を3つ選び成立順に並べよ
イ浮雲 ロ雁 ハ三四郎 ニ渋江抽斎 ホ舞姫 ヘ李陵

2003
問題文は俳句・短歌の革新者として知られる明治期の文学者である。漢字で答えよ。
この作者の作品を選べ
イ赤光 ロ墨汁一滴 ハみだれ髪 ニ海潮音 ホ若菜集

2004
問題文の筆者は彫刻家・詩人で、詩集には「智恵子抄」「道程」がある。漢字で答えよ

2005
明治43年に武者小路実篤・志賀直哉とともに同人雑誌を創刊し、人道主義の立場から芸術活動に携わった。その雑誌の名を答えよ。

2006
問題文の作者は自然主義文学運動の理解者として知られた批評家である。日本の自然主義文学の代表者を次から選べ。
イ尾崎紅葉 ロ志賀直哉 ハ田山花袋 ニ永井荷風 ホ横光利一

2007
「荷風集」「隅田川」は永井荷風の作品である。永井荷風の作品を選べ。
イ暗夜行路 ロ細雪 ハ濹東奇譚 ニ夜明け前 ホ李陵

2008
夏目漱石は修善寺の大患と呼ばれる大病を経験している。この経験より後に書かれた作品をひとつ選べ
イ虞美人草 ロ三四郎 ハ坊っちゃん ニ明暗 ホ我輩は猫である

2009
文学史の出題なし

2010
武者小路実篤が活動した文学グループは一般に何と呼ばれるか。
イ自然派 ロ白樺派 ハ明星派 ニ新感覚派 ホ新理知派

2011
この作品は夏目漱石の晩年の作品だが、同じく大正期に入ってから書かれた漱石の小説を選べ
イ三四郎 ロ坊っちゃん ハ道草 ニ明暗 ホ吾輩は猫である

2012
石川啄木は「あこがれ」を発表したが、この詩集は与謝野鉄幹、晶子の新詩社に集まった文学者から影響を受けた。この文学結社は発行していた雑誌の名で呼ばれるが、その雑誌名を答えよ。
イほととぎす ロ心の花 ハ明星 ニ新思潮 ホ文学界

2013
次の中から徳富蘆花の作品を選べ
イ細雪 ロ檸檬 ハ不如帰 ニ虞美人草 ホ金色夜叉

2014
谷崎潤一郎の作品を選べ
イ刺青 ロ草枕 ハ或る女 ニ夜明け前 ホ暗夜行路

2015
なし

2016
永井荷風の随筆作品を選べ
イ一年有半 ロ近代の超克 ハ仰臥漫録 ニ時代閉塞の現状 ホ日和下駄

2017
井伏鱒二の小説を選べ
イ浅草紅団 ロ風立ちぬ ハ蟹工船 ニ山椒魚 ホ夜明け前

2018
近代・現代の代表的な戯曲・戯曲集である。この中から木下順二の作品をひとつ選べ。
イ女の一生 ロ近代能楽集 ハ出家とその弟子 ニ修善寺物語 ホ父帰る ヘ夕鶴

2019

次の作品の中から『三酔人経論問答』と同じく1880年代(明治13年~22年)に発表されたものを選べ。

イ安愚楽鍋 ロ学問のすゝめ ハ小説神髄 ニたけくらべ ホ日本之下層社会 ヘ吾輩は猫である

 

現代文分野の文学史の傾向

現代文分野はまずは、本文の時代に左右されます。全体的な傾向でいえば、もともとは明治時代中心であったものが、徐々に昭和中心になってきているのがわかります。とはいえ、この類いのものにネタ切れはありませんから、またいつ明治、大正に戻るともかぎりません。

問題傾向をみると、まずは「白樺派」が結構出ていることに気がつきます。早稲田としてはおもしろい傾向ですよね。

早稲田文学、たとえば島村抱月とか、あるいは自然主義とかは田山花袋の一回で、むしろ、ライバル三田文学の永井荷風は二回出てるんですよね。で、白樺派ですからね。三田文学のロマンでも、早稲田の自然主義でもなく、まっとうに人間を描こうという白樺派が出る。

おもしろいですよね。政経は結構引いた目で、早稲田文学を見ているのかな、なんて勘ぐりたくなります。

漱石に関しては、作品の成立時期まで覚えてないとだめですね。とはいえ、明暗が絶筆だとか、前期三部作、後期三部作とか、ネコとか坊っちゃんとかが最初とわかっていれば大丈夫。ならびたつ鴎外もきちんと出ています。

啄木とか含めて、明治大正の国作りという観点、批評的な観点はありそう。石川啄木の「時代閉塞の現状」は文学部の先生、好きでしたね。北村透谷は、私もそうですが、知らなかったら明治じゃないですよ。「小説神髄」の坪内逍遙知らなければお話にはならないです。啄木に関しては、その他、子規の作品や「明星」など結構細かく聞いていますね。詩は高村光太郎ぐらいですが、これはたまたま本文の作者の関わりですね。だから、木下順二が出れば、演劇になります。歌とか詩とかだと、今後も、斎藤茂吉、朔太郎の序とか、草野心平あたりも危ないですね。心平だと彼が発掘した宮沢賢治が出るでしょう。

2018年の木下順二はかなりマニアックに見えて、答えは夕鶴です。教科書のってましたよね?だから、きちんとまじめに学校で勉強してれば「常識」だよねっていう教養が問われているだけです。これは、一般教養重視の政経という傾向がはっきり見えますね。

2019年は明治期の中でもかなり細分化された時代を聞いていますし、選択肢もほぼほぼ前期のものばかり。かなり難易度が高いと思います。「舞姫」は、鴎外の処女作で、「明治21年の冬」が出てきますよね?このあたりを覚えていると、小説の草創期ではないかという推測が立ちますが、他を切る勇気はなかなかないかもしれないですね。

 

ここから学ぶ文学史学習のポイント

 というわけで、早稲田の政経を見てきただけですが、作者と作品を合わせるだけでなく、比較的「常識」にされてしまう教養が必要になっていることがわかります。

文学史そのものということになると、出されたのがひとつの時代であっても、選択肢の中に、多岐にわたる時代があるので、しっかり勉強していないといけないことがわかります。

また、古典に関しては、マイナーに見えがちな中世、近世の細かい時代設定や、マイナーに見えがちな部分がむしろ出ることがわかりますね。

こうしたことを理解しつつ、文学史の勉強をしましょう!

 

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