小論文の書き方は3回目です。ここからは具体的な書き方の注意やアドバイスを書いていきたいと思います。
ここまではこちら。
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今日は、ここまで書いてきたこともふくめて、実際に小論文を書くときに注意すべきこと、アドバイスを簡単にまとめてみたいと思います。
- 1 出題された形式で書く。
- 2 メモをとり、主張を選び、構成を考えてから原稿用紙に書く。
- 3 「立場」は意見ではない。
- 4 小論文には正解がある。「賛成」するなら「反対」する。
- 5 この文章で学ばない。学ぶのは、心の中で次の小論文に向けて。
- 6 具体的な小論文の準備は「ひとつのテーマで最低3回書き直し」
- 7 文体は「だ・である」。疑問形は使わない。「思う」も使わない。
1 出題された形式で書く。
すでに説明したことですが、一番重要。
本や先生の説明にだまされずに、とにかく、指示通りに書くこと。
「〇〇についてまとめ」「〇〇の問題点を指摘した上で」「その解決策を示しなさい」などという問題であれば、
1 〇〇について、この文章ではこのように書いている。
2 〇〇には、こういう問題点があると私は考える。
3 解決策は次のようなものである。
というのが、基本線になりますよね。
その上で、「なぜそれが問題なのか」「どうしてそれが解決策になるのか」「解決策に潜んでいる問題点は何か」「それをどうすべきか」などが付け加えられる形になるでしょう。
とにかく重要なのは、指示された形で書くことです。
2 メモをとり、主張を選び、構成を考えてから原稿用紙に書く。
前回も書きましたが、書ければいいわけではありません。
したがって、浮かんだから書く、のではなく、一番いいものを書く、一番深いものを書く、一番格好いいものを書く、ですね。
ですから、まずは、構想のメモをとり、その中から、何を書いたらいいか取捨選択をし、どの順番で書くかを決めましょう。
その過程で、新たな考えにたどり着くことが多いはず。
そうしたら、面倒くさがらずに、必ず最初の意見を書き直し、構成をやり直しましょう。
3 「立場」は意見ではない。
賛成・反対を書く小論文は必ずしも多くありません。
仮に、その賛成・反対という「立場」を書かなければいけないとしても、それは「意見」ではありません。
「意見」とは、自分独自の考えです。先ほどからいっているように、格好いいこと、他人とは違う独自性の部分です。
賛成・反対を書かなければいけないとしても、「どうして賛成・反対と考えるのか」というのが「意見」です。
この部分が、ありきたりだったり、当り前だったりするなら、意見としては陳腐だということです。
だから、賛成・反対決めて、「意見が決まった」なんて思わないようにしましょう。
4 小論文には正解がある。「賛成」するなら「反対」する。
この話は意外と重要です。
まず、小論文には正解があります。たとえば、
-
理工系に行くのに科学技術を否定する。理工系に行くのに、自然環境を破壊しても平気。
-
バイオテクノロジーや医療をやるのに、神の領域などと口走る。バイオをやるのに、クローン人間をどんどん作っていいと思う。
-
医療をやるのに、人間の命が長くなったり、病気を直したりすることを否定する。医療をやるのに、長生きだけしていればよいと思う。
-
教育をやるのに、生徒の個性や人権を尊重しない。教育をするのに、教育をしなくても生徒はよくなると思っている。
- 言語をやるのに、方言や生の言葉を否定する。言語をやるのに、正しい言葉はないと思っている。
- 文化を学ぶのに、伝統やその国らしさを否定する。文化を学ぶのに、新しい文化の誕生や文化変容を否定する。
- 法学をやるのに、法律をないがしろにする。法学をやるのに、時代に合わない法律を変えるつもりがない。
- 政治や法律を学ぶのに、個人の自由や権利をないがしろにする。政治や法律を学ぶのに、平等や義務の概念が欠落している。
なんていうラインは完全にNGですね。
となると、当たり前ですが、「中道」になります。でも、この真ん中っていうだけでは、どっちつかずで中途半端、具体性にとぼしい、みたいな小論文になるわけです。
たとえば、理工系小論文で考えてみましょう。
理工系である以上、どちらの立場を選ぶかといえば、それは理工系である以上、科学技術の肯定です。否定するなら理系にくるな、という話です。
だからこそ、主張のメインは、「自然環境にどのように配慮するか」ということになると思いませんか?その具体的な考えが「意見」になるわけです。
これが、賛成するなら反対する、です。
自分が賛成するからこそ、意見のメインはいかに反対派に配慮するかを書く。一番やってはいけないことは、「徹底的にたたきつぶす」ということです。
もちろん、テーマによっては、まずどちらかの立場に立つということも無理かもしれません。両方が必要ということですね。
5 この文章で学ばない。学ぶのは、心の中で次の小論文に向けて。
つづいて、特に高校受験レベルで死ぬほどあるのは、「与えられた文章を読んで学ぶ」という現象です。
もちろん、本音ではそうでしょう。
しかし、大学からすれば、ここで初めて知る生徒はほしくない。もともと知っていた生徒がほしい。もっといえば「そんなの当たり前じゃないですか。ぼくはここまで考えてますよ」という生徒がほしいわけです。
ところが、受験生は「知らなかった」という事実を「気づき」や「学び」として前向きに書くことが多い。
「私はこの文章を読んで〇〇ということに初めて気づきました」みたいなことを書いて謙虚さをアピールするわけです。
私はこれを「知らなかったアピール」といいます。自分が無知であったことを発表しているわけです。
ぐっとこらえて、さも当たり前であるように書いてほしい。場合によっては批判してほしい。レベルが低いと。もっと深いところがあると。
だからこそ、その小論文で学んだことがあるとすれば、それは、今ここで発表しないで、次回同じようなテーマが出たときに、今回の文章を知っていることとして書くことが必要なんですね。
そうやって、文章を読んで、書いて、知識を蓄えていくのです。
6 具体的な小論文の準備は「ひとつのテーマで最低3回書き直し」
というわけで、小論文は、一回書いて終わりでなく、深いところにたどりつくまで書き直すことが重要です。
私の経験でいうと、だめだめな小論文がスタートなら、最低3回は書き直しが必要です。ただし、自分ではそれに気づきませんから、賢い人に見てもらう必要があります。
前にも書きましたが、国語の先生にこだわらず、物知りな賢い先生に見てもらうことをおすすめします。
小論文は書き方ではなく、中身ですから。
7 文体は「だ・である」。疑問形は使わない。「思う」も使わない。
最後ですが、文体は「だ・である」という常体が普通です。
「と思う」のような表現は、弱く見えるので、避けたい。「だ・である」という言い切りにもっていきたい。せめて「と考える」ぐらいの方が、文に強さがでるでしょう。
逆に、強すぎるのが疑問の問いかけ。
「本当にそうなのだろうか」みたいな表現は非常に強いです。
これを、当たり前のことに使うと、読んでいる方は、「そりゃ、当然違うよね」みたいな感じになり、印象が悪くなります。
書いている方は、問題提起のつもりで使うようですが、当たり前すぎると、レベルが低く感じます。誰にとっても当たり前のことに疑問を感じているわけですから。
なので、疑問形は極力使わない。
使うとしてもパワーフレーズなので、回数と場所は工夫が必要。
個人的には「使わない」ぐらいがちょうどよいと思います。
というわけで、今回は具体的なことを書きました。次回以降はタイプ別にどのように評価をするか書いてみたいと思います。