国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

共通テスト試行調査「国語」問題の分析!どう変わる?何が違う?

共通テストの試行調査が昨年に続いて行われました。さっそく、どんなことが起こっているのかを分析してみたいと思います。

まずは今日、この段階での分析はざっくりとしたものであることをご容赦ください。正確な分析は正答率や平均点などの情報が出てからの方がより意味のあることでしょうから、とりあえず、ざっと目を通して気が付いたことを書いていきたいと思います。

共通テストで国語は何が変わるのか?

まず、センター試験が共通テストに変わることでどんな変更があるのか、ということをまとめます。

記述問題が出題される

まずは、これが一番のトピックで、記述問題が出題されます。この問題は当初、この部分だけが見えていましたので、国語全体としてどうなるのか不安な部分ではありましたが、前回の試行調査で「200点+記述部分」と表紙に明記されました。もちろん、まだ検討段階ですから、このパターンとは限りませんが、今回もこれが踏襲されています。ただし、記述問題の出題の仕方は、前回の試行調査から大きく変更されました。

複数解選択の問題が出題される

次に、これが当初、二つ目の大きな変更でした。複数解選択(答えがいくつあるかわからないもの)や、答えを段階を追って、組み合わせで採点するもの(たとえば、最初に1を選んだら、理由としては次で3を選ぶ、そうでない組み合わせもありうる、とかです。)などがあげられていました。こうした問題は、試行調査前の実験的な調査では正答率が極端に低く(数パーセント)なっていました。

ふたをあけてみれば、前回の試行調査ですでに、解答数がわからに問題は姿を消し、今回の問題ではそういった問題は一切なくなりました。

ただ、今後ともないとは言い切れません。

その他の「書かれている」けど具体的でない変更

それ以上に、大きな変更としては、「実用的な文章」や「写真や表」が多く用いられていることがあげられます。

また「言語活動」の領域に配慮してか、複数の文章を比較して考えたり、討論をするような中で、「テクストの精査・解釈に基づく」自分の考えを解答する問題も、意図して出題されています。

平均点は50%

もともと共通テストは「学びの基礎診断」との2本立てだったこともあり(と私は思っているのですが)、平均点は下げることを意図していたようです。これ、たまに簡単にするって書いている記事がありますが、とりあえずは間違いです。前回の試行調査は、平均点が全部50%程度でしたから、難関大はいいけど、そうでない大学大丈夫?というのが正しい認識です。

ただし、このままいくかどうかはわかりません。今回の結果も50%なら反省してない、ということなのでそういうことなんでしょう。

私は、下のレベルの試験が実質消えっちゃったけど、上のレベルはそのまま残してます、結果としてセンターのレベルは上がっちゃいます、ということのように思うんですけど…

この試行調査までにどんな流れがあったのか?

ここまでは、

  1. センターから、検討しているモデル問題例が公表される。記述問題として、駐車場の契約と街並み条例の2題が問題例としてあげられる。

    www.dnc.ac.jp

  2. 続いて、マーク式部分のモデル問題例も公表。ここについては実施の正答率なども発表される。短歌の解釈評論が一題、古文の問題は、本文とそこをもとにした対談。この段階では、それこそ「何問構成か」さえ、よくわかりませんでした。今から見返すとだいぶヒントはありましたが…。問題と結果は、上のリンクから見てください。
  3. 2017年秋に試行調査が実施される。この段階で、記述+4問構成200点というのが方向性として見えてくる。生徒会の討論、評論では写真がとりいれられていた。小説や古文、漢文は結局、当初の大きな変更ではないような無難な問題に落ち着いた気がする。

    www.dnc.ac.jp

  4. で今回。

    www.dnc.ac.jp

今回の試行調査の特徴

今回の試行調査について考えてみます。ねらいはこんな感じ。

2.試行調査における工夫・改善のポイント
(1)主な工夫・改善点
<記述式問題>
○ 国語については、記述式問題の出題範囲となる主たる題材が、論理的な文章、実用的な文章、又はそれらの組み合わせとなる予定であることを踏まえ、これまで出題イメージを提示していない論理的な文章から出題することとした。
特に、80~120字程度と最も多い文字数での解答となる問3については、解答として求める要素の整理など、言語活動の場面や正答の条件等に関する更なる精査を行った。あわせて、採点作業には多くの人数が関わることになることから、判断のブレが生じないような採点基準の工夫を更に行った。
なお、国語の問題全体として、文学的な文章や古典を題材とした問題を引き続き重視し、主たる題材としてこれまで扱われにくかった詩からの出題など、マーク式問題についても新たな工夫を行った。

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趣旨・概要のところにいくと他教科ふくめて、こうした向こうのねらいがわかります。教科別のイメージ図や、設問ごとにどういう力を狙ったかも書いてあります。

とりあえず、この文章を頭に入れてもらって実際の説明に行きたいと思います。

記述問題と評論

ここは自分にとっては激震。

さらっと、

国語については、記述式問題の出題範囲となる主たる題材が、論理的な文章、実用的な文章、又はそれらの組み合わせとなる予定であることを踏まえ、これまで出題イメージを提示していない論理的な文章から出題することとした。

なんて書いていますが、今までが、

  • 駐車場の契約書の問題点
  • 街並み条例の問題点
  • 生徒会の議案について

だったわけですよね?

前回は、その上で、「一応、今まで通り、評論ぽいやつが200点中50点ですよ(なんて言ってないけど、たぶんそうだろうなと)。だから、記述はオプションですからね」なんて感じだったはずなのに、

いきなり「論理的な文章から出題する」ですよ?もちろん、今回も「論理的な文章から出すとはいってないよ。今まで通りの実用的な文章かもしれないし、論理的な文章かもしれないし、組み合わせかもしれない。それはわからないからね」と保険をかけている文章で、「おい、このままわからないまま、入試はじめる気じゃないだろうな」と文句のひとつもいいたくなります。

いいんです。記述がどっちで出ようが。

そのあおりをくって、第二問で、マーク式が「著作権」という実用的な文章になりました。たぶん、両方やるぞ、という意思表示ではあるんでしょう。

でも、今までは、プラスアルファで得点も採点方法(基準は明示されています。得点化の方法も)も決まっていない記述分が実用的な文章だから、今までの対策ベースにして、記述の訓練もいれてあげればいいかな、と思っていたら、下手すれば「200点分で実用的な文章、出しますよ」では、大変。国語の先生に、本格的に実用的な文章、取扱説明書とか契約書とか社会科の討論とかの指導をさせる気なのか、と。国語の授業をそういう風にもっていく気なのかと。

いや、いいんです。そういうのが大事だって、みんな言うんでしょうから。国語の授業を社会の役に立つように変えろと。でもね、討論は討論の中で身に付くんです。理科のレポートの書き方は理科の実験を通じて学ぶもので、国語が理科を離れて教えるものではない。社会のさまざまな問題のディベートの仕方は、社会のディベートの中で学ぶもので、そうしたさまざまな問題を離れて、国語がディベートの仕方を教えるわけではない。他の科目の先生って少なからずこういう発想持ってるんですよね。

最近の生徒はレポートが書けない。国語力が低下している。国語の先生、なんとかしてください…。

違うでしょ?理科が、社会が、数学がレポート書かせたり、論述書かせたりしないから、記述力がないんですよ。

もし、国語が先にそれをやる、という発想なら、理科は、社会は、忙しいからレポートもディベートもやらないから、国語でやっといてね、という気がして、なんだか納得できません。国語はやっぱり、論理的な文章や詩や随想の中で、討論をすべきだと思うんですけどね…。

はあ…。

これは結構すごいことをぶちこんできました。

で、私立や国立2次はこんなくだらないこと、本格的にはやらないでしょう。書かせるにしても、やるにしても、もうちょっと小論文的なところに踏み込むわけですから、余計なことが増えてる感は消せません。

小説?詩と随想からの出題へ

ということに加えてこれ。ついにここまで踏み込んできたか、という感じ。これは文句はないです。正しいと思います。小説が出るってきまっているから、詩の解釈の授業なんてふっとばしますからね。(私はやりますよ。だって解釈、東大とかでも出てるし。訓練しないといけないし。何よりそれこそ教養じゃないですか。)

でも、評論と記述を実用的文章と論理的文章で、どっちがどっちかわからないからね、とやっといて、小説も随想かもしれないし、詩かもしれないよ。短歌の可能性もあるからね…っていうのは、単純に「全部出ますよ」ということですよね。

こりゃ、落ち着くまで大変だ…。

まあ、モデル問題が短歌の解釈でしたから、やらないといけないことははっきりしているような気はしますし、正しい方向だとは思います。

間違いなく、小説とは限らない。そして、詩とか短歌とかの解釈を考える力が必要になる。適当な感想でなく、しっかりテクスト読み込んで、それなりの答えを選ぶ…。国語の授業で何をやってきたか、問われます。

先生の力もしかり、生徒の授業の受け方もしかり…。

古文

古文は源氏物語でした。しかも宇治十帖。一言でいって、かなり解釈に骨がおれると思います。で、問五の中で授業が始まって、和歌を出してきて、解釈を深めていくような問題が出ています。

この類の変更は、個人的にはやっていいと思います。「書き手の意図」という言葉で説明されていますが、こういうところまで踏み込まないと、国語の授業は正確な訳出で終わってしまう。これでは、解釈の深いところにいけません。

とはいえ、こういう問題が出て来ると対照的に、ほかの問題がより、「正確な解釈=訳」になっている気がします。これは、ここまでのモデル問題や試行調査でもはっきり表れていたように感じます。

「解釈にすごく踏み込む問題出しますよ。その代わり、ほかのところでは、文学史をふくめ、単語、文法、語彙…ちゃんとわかってるか、単純な問題にしますよ。だから、本文の訳をいい加減にして、考えることばっかりやっちゃだめですよ。まずは本文ですよ。それから考えるんですよ」というメッセージのような気がします。

というか、一言でいうと、工夫した問題あるけど、古文の勉強は今まで通りやれ、ってことです。最初のモデル問題のときは十年もしたら古文の授業なくなるのかな…ぐらいに思いましたけどね。正直いうとほっとします。国語の先生の仕事がなくなるかと思いましたから。

漢文

これも古文とまったく同じ感想です。日本語の文章はどんどん短くなって、結局漢文の本文は今までと同じ程度の長さになっていると思います。

もちろん、古文同様、問五で「書き手の意図」という狙いがあらわれ、情報を統合する問題になっています。こちらは、ここで3問聞いていますから、意外と大きい。

とはいえ、そこまでの問題は例年以上に、句法覚えていればできますよね?的な単純な問題になっている。

深い問題が別建てになったので、シンプルに句法や漢字の知識を問題として聞けるようになった、ということでしょう。というわけで、これも前回の問題からなんとなく感じていたことでした。

ここ数年のセンターの傾向もふまえると、「日本語としての漢文」「漢文がどのような役割を果たしてきたか」ということは、今回の作問の中で問い直されていると思います。国語だよ、これ。意味なくやってないよ、ということです。

今回の問題は「故事成語」という変化球ではありますが、そういった流れの出題だと思います。漢文がどう日本に根付いているか、というより、日本語そのものであるということですね。

そういうことからも、「漢文をなぜ学ぶか」ということが意外と大事で、なんで漢文やんなくちゃいけないの?的な生徒はかなり厳しいと思います。

そのほかの重要なこと

もうひとつ忘れてはいけない大事なことは、今回は前回の試行調査と違って、配点があります。

はい、配点です。

当り前だろ!って?忘れてはいけません。1点刻みをやめる的なことを言っていたんです。きちんと1点刻みです。もちろん、記述は「プラスアルファ」ですから何点かわかりませんし、段階別の基準は示されていますが、どう得点化するかわかりません。

けれど、マークは1点きざみです。もちろん、最終的にまるめるのかもしれません。しかし、データとしては1点刻みであるということです。国立はいいんです。2次があるから。私大はセンター利用、というのがあるわけで、たぶん、かなり細かい刻みでないと使えないはずです。だから、1点刻みはやめるのかもしれませんが、センター利用で判定できる程度には刻める、ということははっきりした気がします。

ちなみに、第二問の実用的文章は9点の問題が1問、8点が2問です。(もう1問の9点は3点×3ですのではぶきます)。詩は8点が2問。古文は7点5問に5点が3問。漢文は、7点平均です。

これも大きい。古文漢文はいいんですけど、現代文の一問が大きい。これ、間違うと痛いですね。

というわけで、私の分析速報でした。

まずは、自分で問題みましょうね。