前回は、イメージ化の話から、漢字をイメージ化して覚える実践練習をしてきました。
今回は、部首学習の問題点を考えて、漢字を楽に覚えるための部首学習を考えてみたいと思います。
はじめてみる方は、申し訳ないですが、この二つもみておいてください。何を今からしようとしているかがよりわかりやすくなると思いますので。
今日の項目が終わると、漢字単体のイメージ力はついて、くだらない間違いは極端に減ると思います。一応、前回と今回をふくめて、漢字の学習方法の予定は、最低限で
- イメージ化・ストーリー化と漢字の分解
- 部首のイメージ化
- 形成文字=音記号による整理=漢字は一気に覚える
- 覚えることと思い出すこと~漢字練習の手順
といった感じでしょうか。大学入試だと、もう少し書きたいこともでてきますが、まあ、古文や漢文、読書、大学入試評論、小論文に作文など書きたいことがたくさんあるので、しばらくはそこまでいきそうもありませんから、まずはなんとか中学受験を含めて、漢字を得意にする話を広げていきたいと思います。
部首学習の問題点
部首を覚えて何か得したことがありましたか?
まあ、部首を覚えているからこそ、こういう話をしたときに、なんとかついてこれる、というメリットはありますね。
それから、まさにイメージ化に近いことですが、「この漢字は○○へん」なんてことを「意識」できれば、ただの記号ではなく、「意味をもった映像」ぐらいにはなっていますよね。
漢和辞書を引く機会があるなら、(だいぶなくなっているような気もしますが…)部首から引く、なんてこともできるんですが…
部首に自信がないから、総画数や読みから引いたりしてしまう…というより、このコンピュータ、ネット、スマホの時代、とりあえず、入力してしまえばおしまいですかね。
もう少し、実際に部首は役だったのか?
漢字検定では、部首を知らないと、そういう問題が出た時には確かに間違いました。
小学校の試験では確かに、部首の問題が出ました。
中学受験でも、一部の学校では部首を出題することもあるでしょう。
でも、
「間」の部首は、「門」もんがまえ
「問」の部首は、「口」くち
なんて、知ってます?
あるいは知っていたとして何かの役に立ちます?
各種の試験以外に…
この問題をどう考えるかは、この部首の話が終わったあとの「形成文字」のところで説明をします。思っているより、簡単に、つまり、ルールさえ覚えればシンプルに部首がわかるようにできているのです。
部首の問題点は、名称が見た目によっていることです。
順を追って説明しましょう。
- のぎへん。禾ですね。これはカタカナの「ノ」に「木」で「ノ」「木」へんです。
- るまた。殳ですね。これは、カタカナの「ル」に「又」のようだから、「ル」「又」
- のぶん。でてこないので、教・攻ですね。これはカタカナの「ノ」に「文」で「ノ」「文」
- さんずい。池・海ですね。これは「3」「水」です。もちろん冷・凍は「2」「水」
- ぎょうにんべん。行につく「にんべん」だから、「ぎょうにんべん」
- しんにょう(にゅう)。進につく「にょう」だから、「しんにょう」
- ひよみのとり。酉ですね。「ひよみ」は「こよみ」。それの「とり」だから、ひよみのとり。
- まだれ=麻に使われる「たれ」、がんだれ=雁につかわれる「たれ」
- うかんむり=ウ、わかんむり=ワ
- りっとう。カタカナの「リ」に似た「刀」で「リ」「刀」です。
なんて感じです。こうやってみると、確かに形を覚えれば、部首の名称が言える、という可能性は出てきますから、ここで書いたこと自体も無意味ではないかもしれませんが、はたして、どうなんでしょうか?
もし、今まで、こういうことさえも知らずに、とりあえず「のぶん」なんて覚えていたとしたら、なんだか本当に意味のない作業のように感じるんです。
なぜかというと、形成文字の説明は
意味をあらわす部首と、音をあらわす部分から成り立っているものを形成文字と呼ぶ
とあるからです。
部首は意味をあらわす=部首の意味を理解する
形成文字なんてのは、象形文字、指事文字、会意文字なんてのと、小学生のころに習ったやつですから、そもそもテスト問題としては、
この漢字は、次の中のどれ?
的なものでしかなかったので、ほとんど覚えてないですよね。
いや、形成文字、という熟語は聞いたことがあるけど、覚えていたとして、「象形文字(山とか川とかですね)じゃないし、指事文字(上とか下とか一とか二とかですね)でもないよね。会意文字(林とか北とか炎とかですね)でもなさそうだから、形成文字!」って感じじゃなかったでしょうか。
そうなんですよ。ひどい話で消去法。
ちょっと正しくなってきたとして、
形成文字は音と部首だよね。だから、音が部品になければ、会意文字、あったら形成文字!
なんてところでしょうか。
だいたい漢字の90%が形成文字ですから、本当にやることは、ほかの3つの例をひたすら覚えてしまうに限ります。
もし、こんな程度の説明が、みなさんを納得させてしまうとすると、まさに悲しい。
こういう入試問題がひたすら出てるんだなあ。だから、これを求めるんだなあ。塾ではこうやっているのか…というところです。(これからする説明を知っている塾のみなさん大変ごめんなさい。私の思い込みで、あくまでも「納得するなら」ですから。)もちろん、塾がそうやっている確証はどこにもないので、お子さんに確認してみてください。
話がそれました。
ちがうんです。
漢字を覚えていくために重要なポイントは、「意味をあらわす部首と…」の部分なんです。
そう、部首は意味をあらわす。つまり、大事なのは部首の意味を覚えることです。
ころもへんとしめすへん
この間、よく小学生が間違うものとして、ころもへんとしめすへんをあげました。
この部首は、意味を部首名にしているので、まったく文句はありません。そのままここで説明してみましょう。
ころもへん:被・袖・襟・補・裕・裸
しめすへん:神・社・視・祖・
などでしょうかね。
こどもにとっては、点があるかないか。でも、漢字に直せば、
衣と示
さっきの漢字を見てもらえれば、一目瞭然。
服にまつわるものは、ころもへん
神様=偉い人にまつわるものは、しめすへん
当然です。
たとえば、「補う」ですが、これはもともと服の穴でもふさいでいたのかな、と思えばすむ話。(漢字そのものをイメージするには形成文字の説明をしてからにさせてくださいね)
「裕福」なんて書くと、
「裕」の方は、もともと衣装もちだったのかな、っていうことだし、
「福」の方は、そりゃ、神様の力よね、って感じになりますよね。
よくこどもが間違えるのが、「視力」のしめすへんですね。
洋服をみつめるなら、ころもへん
神の力なら、しめすへん
さあ、どっち?
なんてよく聞きます。ちょっとエッチなませた子は、それでもころもへんを選びます。よっぽど洋服みつめて、透視でもしたいんでしょうね。
でも、それは神の力でしょ?というと気が付きます。
やまほど書くより説明です。
部首の名称の問題点
さて、今回の最後は、部首の名称が意味をあらわしていない場合、どんなことが起こっているか、です。
逆にいえば、部首の意味がわかっている場合はどうか、ということです。
例として
こざととおおざとを挙げましょう。
こざと:へんですね。陸・阻・除・限などでしょうか。
おおざと:つくりですね。部・郡・都などでしょうか。
実は、名が体を表すのはおおざとの方です。なんとなくわかると思いますが、地域をあらわすような漢字がならびました。里をあらわす部首なんですね。
「おお=大」がついているのは、「こざと」との対比です。
これで、こざとも里なら問題はないのですが…
さあ、こざとがあらわしている意味、漢字をみてわかりますか?
というわけで、実はこざとはブロック=壁というイメージなんです。
阻む・阻止
除外・排除
限界・1時限
なんて感じです。
陸上だって、海がぶわあっとやってくるのをブロック!って感じしません?
だから、こざとはブロックへんなんですね。
もし、これを知っていたら、
排除を「排徐」なんて書きません。歩くのか!って感じです。
祖先を「租先」なんて書きません。お米か!って感じです。
意味不明ですよね。
ぎょうにんべんは、よつかど=道、のぎへんはみのりってことなんですけど、こうなってくると、部首の意味って入試に絶対出ないけど、知りたくないですか?
もし、知っていたら…
そうです。前回のイメージ化がすごく楽にできそうな気がしませんか?
ということで、次回3は永久保存版、部首のイメージ・意味リストです。
実は山ほど覚えることがなく、少しだということもポイントなんですよ。
では。