国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

古文の未来形を理解して、助動詞の意味を簡単に整理! 使える助動詞の理解4 古典文法

古典文法助動詞説明は、今日で「意味」の説明が最後になります。

今日は時制の中でも未来形を、一気に整理して理解します。

古典文法の助動詞説明に入っております。

ここまで

  1. わからないときに品詞分解をすること。
  2. 品詞分解をするときに使える形で助動詞を整理すること。
  3. 記憶のためにも、助動詞ごとに整理せず、分類で覚えること。

という方針でやってまいりました。

というわけで、動詞の説明、形容詞の説明、そして、接続を覚えて、今、意味で整理しているわけです。

ここまでの流れ、助動詞だけどうぞ。 

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 「意味」の分類は、

  1. 当たり前=打消し、断定
  2. 現代語=受け身、使役
  3. 時制=過去・未来、進行(存続)・完了

というところでした。

今日は未来形の説明です。

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 未来形?の意味

そもそも「む・べし」を「未来形」なんて呼んでおりますが、これをまず説明しなければいけません。

未来形、つまり「Will」と考え見るといいでしょう。

たとえば、英語で考えたときに、willの訳は本当に「だろう」でしょうか?

It will rain.

だったら、確かに「雨は降るだろう。」

でも、

I will write a letter. 

のような場合、「だろう」とするのは違和感ありますよね?

ぼくは学校へ行くだろう、そして、勉強するだろう、そのあと家に帰るだろう…なんて続けられると、「どうした?なんか悩みでもあるのか?」って感じです。

こういう時は、「つもり」「~ようと思う」なんて感じで訳すといいですよね。

古文でも全く同じです。

主語が一人称=私、なら、「つもり」

主語が三人称なら、「だろう」

前者が意志。後者が推量。

前回も書きましたが、この理解の順番は、「訳が決まって職能がある」です。

だから、

× 主語が一人称→意志→つもり

ではありません。

たとえば、

「あと50年もしたら、私はもはやこの世を生きていない(   )」

に入るのは、

  1. つもりだ
  2. だろう

どちらですか?

当然、2の「だろう」ですね。だとすれば、この場合は、推量、ですね。

とはいえ、まずは、この2つを覚えておきましょう。

つづいて、日本語ならではの用法があります。

それは

「体言・名詞に続くとき」「連体形のとき」

です。

なぜ、英語にはないかというと、

時・条件をあらわす副詞節では、willは使わない

からなんです。端的に言うと、ifとwhenの時には、willを使わず現在形であるということ。

つまり、

When it rains, とか、if it rainsとかは「雨が降るとき」「雨が降るなら」と無意識で訳してしまうわけですが、

古文では

「雨降らむ時」なんて表現が出てきてしまうわけです。そうすると、

「雨が降るだろう時」なんてことになって、なんだか、きれいな日本語じゃないよね、という感じになります。

というわけで、このとき、きれいな日本語にすると、

雨が降る「ような」時

となるわけです。まだ降ってないですよね?

でも、これは「つもり=意志」とも「だろう=推量」とも違った訳になります。したがって、「ような=婉曲」ということになるわけです。これが3番目で、結構重要。

さて、ここまでやれればほとんどOKですが、

  1. 一人称
  2. 三人称
  3. 連体形

と説明すると、ひとつ気になりますよね?

そうです。あとひとつ「二人称=あなた」が残っていることです。

これは現代語で考えてみましょう。

このブログを見たのだから、あなたはこれから勉強する「でしょう」

と私から言われてみてください。

さあ、私は、あなたが勉強するかしないか推測しているのでしょうか。

ちょっと強く言ってみましょうか。

あなたはこれから勉強するでしょ!

どうですか?

わかってきましたよね。

あなたは勉強するでしょう、は、

たとえば、

勉強する「とよい」

勉強する「はずだ」

勉強「しなければならない」

勉強「しなさい」

などと聞こえていませんでしたか?

とよい=適当

はずだ=当然

なければならない=義務

しなさい=命令

ですね。

「先生明日の試合どうでしょうか」

「君は勝つだろう!」

とくれば「~できる=可能」ですね。

このように二人称は聞こえ方次第で、訳が変わる感じです。だから、文法題で出すなら、選択問題が多いはず。多くの場合、絶対にこれ、と決めにくいからです。選択肢なら答えをひとつだけ混ぜられますよね。

また、怖いのは、参考書によって、このあたりの職能は紹介されている数に差があること。唯一絶対で決まっているわけではないんですね。だから、あまり入り込みすぎずに、「ああ、こんな風に訳す場合もあるよね。」という感じで、例文と訳を見ておくことがいいと思います。

というわけで、まとめ。

  1. 一人称が主語のとき=つもり・よう=意志
  2. 三人称が主語のとき=だろう=推量
  3. 連体形のとき=ような=婉曲 ※連体形になるのは、多くの場合、下が体言・名詞になるか、「は、が、を、に」などの助詞がくるときですね。
  4. 二人称のとき=さまざまな訳がある

という感じで第一段階を整理して、そのあと、細かい用例を頭にインプットするといいと思います。

 

未来の輪

というわけで、ここまで「む・べし」が未来形であること、そして、その未来形の場合に応じた訳し分けについて、説明してきました。

これから、残りの助動詞=残りの未来形の助動詞について、整理したいと思います。

基本的には「will」であるということ。

つまり、先ほどの3つ、ないし4つ以上の訳し分けについては、同じだと考えてもらってかまいません。それでは説明しましょう。

ロボットのような形をイメージ

まずは、覚えやすいように、図のような形をイメージしてください。

上の3つが頭。両手を左右に広げ、2本の太い脚があるようなそんな生物・ロボットです。ランドセルを背負わせるイメージも必要です。

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未来の輪 イメージ化して形を再現できるようにしましょう!

これから、たどるときには、この映像がうかぶように、つまり、実際に書けなくても、

横、足2×2、反対の横、頭に3つ、ランドセル2つ

というようにイメージ化して再現することが大事です。

それでは説明します。

べし

「む」とほぼ同じですが、「む」よりやや強い。

職能についてはほぼ同じと考えてよいと思います。厳密にいえば違いますが、初期段階は気にしない方がいいですよ。

らむ・けむ

ここは「現在」と「過去」の対比です。

まず、このセットを覚えましょう。

「らむ」は「り」つまり存続「ている」がついたイメージ。

「けむ」は「けり」つまり過去「た」がついたイメージ。

というわけで、

「らむ」は「現在なんとか」

「けむ」は「過去なんとか」

という感じ。

「なんとか」は最低3種類、「つもり・意志」「だろう・推量」「ような・婉曲」を覚えておくこと。「らむ」なら「ている・つもり」「ている・だろう」「ている・ような」の3種類ということです。

実際には、違う用法もありますが、1周目はこんなもんでいいと思います。また、大事な1周目が終わったら、細部についてはきちんと説明しますね。まだやってないことは実はたくさん。でも、この「細部」がMARCHレベルで問われるので、逆にいうとこの基本がわからないようではかなり厳しいですよ。

 

めり・なり

めり=見あり=語呂なら目でもいいですね。

なり=音あり=語呂なら鳴りでもいいですね。

要は目で見た推量と音で聞いた推量です。

目で見るというのは、「私が見たところ〇〇だろう」ということ。根拠もとぼしく、決めつけに近い。だから、主観性の強い推量。職能は推定なんていったりします。

読解レベルでいうと、使われる確率が高いのは、日記、ですね。物語なら、地の文ではないです。だって作者が主観的に推量する必要がないですから。たいてい会話文中にあります。

なり、は音による推量。「ザー」「雨が降っているようだね」「噂で聞いたんだけど〇〇らしいよ」なんてことです。逆に言えば、「見ていない」。

伝聞推量とか推定とかですね。

めり・なり、とも「ようだ」が一番通用しますが、「なり」は「そうだ」も使えるときがあります。「らしい」も悪くないですね。

まし

これは、

~せば~まし

~ましかば~まし

で使われることがほとんど。この用法は英語の仮定法に似ています。

訳は「だろう」なんですが、前半に「ありえないこと」が来ると、つまり「せば」「ましかば」がくると、受けるところは「まし」で「む」とか「べし」はだめなんですね。

ありえないことというのは、

もし、ぼくが女だったら

もし、僕が鳥だったら

なんていうやつ。

世の中に絶えて桜のなかりせば、春の心はのどけからまし

なんていう歌は、

前半が、「もし桜がなかったら」で「ありえないこと」ですよね?

そうすると、最後は

のどけからむ

とか

のどけかるべし

とかではなく

のどけからまし

と「まし」を必ず使うんです。訳は「だろう」なんですけどね。

職能は、反実仮想です。事実に反することを仮に想定する、ということですかね。

違う用法もありますが、これもまた後で。やっぱりMARCHレベルはこの違う用法ぐらいが結構答えになるんです。

まほし・らし・たし

現代語グループと私は呼びます。

まほし=ほしい

らし=らしい

たし=たい

という感じ。

書かまほし=書いてほしい、ですが、書きたいぐらいの感じ。

咲くらし=咲くらしい

歌で使われますね。

咲きたし=咲きたい、という感じですが逆に、咲いてほしい、ぐらいの感じ。

つまり、全部、希望・願望というところ。

じ・まじ

最後です。これはwill not。

「ない〇〇」。〇〇は未来の3つですから、

  1. 一人称=ないつもり、まい 打消意志
  2. 三人称=ないだろう 打消推量
  3. 連体形=ないような 打消婉曲
  4. 二人称=いろんなパターンですね。

という感じですよ。

じ、と、まじ、では、まじの方が強いです。

許さじ

許すまじ

では、許すまじ、の方が怒りが強いです。

ちなみにですが、

「む」「じ」は未然形接続

「べし」「まじ」は終止形接続

で呼応があります。

これで、本当に助動詞の意味がおおよそ終わり。

 

というわけで、助動詞の「接続」「意味」「活用」のうち、2/3が終わりました。そして、品詞分解の話を思い出しましょう。

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そうなんです。品詞分解に活用は使わない。

だから、これで品詞分解ができるはずなんです。

というわけで、その話はまた、あとで練習しましょう。でも、とりあえず、ここまでの話を復習してくださいね。

では。 

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