単語はどんどんと、そして粛々とすすめてまいります。
単語を覚えるコツは、いろいろな単語を関連付けていくこと。だから、「一語がわからない」→「一語ずつ訳を覚える」というような状態から、「一語を広げて似た言葉や反対の言葉をまとめて理解する」というところにもっていきたいんですね。
というわけで、今日は「不評価・ひどい」という単語のイメージです。
そもそも前回の「評価・すばらしい」の対なので、きちんと対応させるといいですね。
評価には不評価が入っています。
前回の評価がこちら。
右側に「身分が高い」セレブ的な素晴らしさ
左側に「立派」「めったにない」素晴らしさ
がありますね。
めざまし・まばゆし=ともに素晴らしいとともに、悪い評価で見ていられないこともありますね。
はづかし=相手が恥ずかしいので、自分も恥ずかしい、なら不評価ですよね。
では、行きましょう!
身分が低い単語群
前回もありましたが、「あやし」と「やつす」がポイントです。これが、「あて」「やむごとなし」「かしこし」などとの対比のイメージになります。
「あやし」というのは、「怪し」と「賤し」と漢字で意味が変わりますが、ここでは当然、「賤し」の方です。「やつす」は「身をやつす」と今でも使いますね。
「はふる」というのは、「放る」ということ。放り出されて、落ちぶれたり、さまよったりする感覚です。
コトバにできない単語
かひなし・言ふかひなし・言はむかたなし
というのが言葉にできないグループです。基本的には、「不評価」をあらわします。
で、
えもいはぬ
となると、まさに「コトバにできない」ので、こっちは必ずしも不評価とはかぎらないですね。このあたりは前回の「めざまし」「まばゆし」に通じるものがあります。
いみじ=忌みじ
なんかもそういう感じですよね?
もともとは、「ひどい」から始まっていっても、最終的には「よくもわるくも程度がはなはだしいこと」になっていく。
「ひどくいいね」なんていうのもあらためて字面を見るとびっくりしてしまいます。
最近では、「ヤバイ」が同じ道をたどっているのも興味深いですね。
「せむかたなし」は「するような方法がない」ということですから「どうすることもできない」「どうしようもない」という感じです。
普通=ありふれていてつまらない
よし・よろし・わろし・あし
の順番はよく習ったことでしょう。
それから、
まさなし=正無し
ですので、「正しくない=よくない」という感じ。
こういう、「良い」から「悪い」の段階になってくると、普通をいれたくなります。
まずは、
なべて=並べて
ですから「並」。普通です。「おしなべて」なんていう言葉はまだ現代にもあります。
これに近いのが、
なのめ(なり)・おぼろけ(なり)
です。要は「普通」で「ありふれている」感じなんですが、それは言葉をかえると「特別扱いをしない」ということ。つまり、「いい加減に」「ぞんざいに」という感じが若干入ってくるんです。
ところが、この2語、非常にやっかいです。
なのめならず・おぼろけならず
という否定形は、「普通」に対して「普通でない」なので「格別だ」ということになるんですが、それがのちのち、「なのみに」「おぼろけに」などと「ず」がとれた形で使われてしまい、結果として、
なのめ・おぼろけ
が「素晴らしい」「格別だ」という意味まで持ってしまうんですね。そうすると、
「ありふれている=否定的」「普通」「すばらしい=肯定的」
と、なんだか、なんでもいいよね、という感じにつながってしまいます。
ややこしい。
「格別だ」という意味になるのは、結構あとめなので、まずは、「並み」から整理しておきましょう。
「おぼろけ」は「おぼろげ」と意味が違いますから気をつけて。朧月夜というのは「おぼろげ」の方です。
その他
さがなし=性無し
で、性格がない、というか、性格が悪い感じ。意地悪とか、口うるさいとか。
むげなり=無下
で、下がないくらいひどい。明治大学で、漢字で書かせる問題が出たことがありますね。
「あなづる」は侮る。「はばかる」は「遠慮する」というところで、現代語でいけるでしょう。
「うとし」は「疎」ですから、親しくないということになります。反対は「ねんごろ」です。
その他は表で確認してください。
では。