国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

古文常識~難読語の読み「庭・景物・行事」

古文常識の難読語シリーズです。前回は宮中、建物の中でしたが、今日は外に出て行事なども含めて説明します。

入試をひかえると、こうした難読語あたりは、ちょっとやっておけばいいラインですから、つめていきたいところですね。

前回は、宮中、寝殿造りの建物の中を説明しましたが、今日は、外側から説明しましょう。

前回はこちら。

www.kokugo-manebi.tokyo

まずは今日のスライドです。

f:id:manebi:20201221083606p:plain

建物の外側と行事を中心に。

 

外との境目の壁や垣根にあたるもの。

まずは、建物に入っていくためには、敷地に入る必要があります。

壁があるわけですね。

土で出来ていると「築地」。木で出来ていると「切懸」です。

私自身もこういう部分はあまり詳しくないのでわかりませんが、圧倒的に「築地」が出て来ると思います。邸宅とか寺院とかちゃんとしていて、ある程度の広さであるならば、やはり土塀で囲っているのが一般的なんじゃないかと思います。

田舎に行って、広くなっていくと、それは「垣根」になります。

むちゃくちゃ広くなるわけで、そうすると、いちいち「築地」作るわけにはいきませんから。「檜垣」とか「小柴垣」とかは木の種類です。「透垣(すいがい)」ということになると「透ける」、つまり、向こうが見える、というような垣根。「籬(まがき)」は竹とか柴とかを編んだ垣根です。

こういう風に垣根があるからこそ、垣根の間から見る、「垣間見(かいまみ)」が起こるわけです。「垣間見る」という言葉は今でも使います。

源氏物語の「若紫」、教科書でいうと「北山の垣間見」ですね。

www.kokugo-manebi.tokyo

www.kokugo-manebi.tokyo

これがおおもととなって、似たようなシチュエーションが山ほど描かれますから、こんなところを覚えておいてください。

逆にちゃんとした家だと「築地」があるって感じです。

 

庭の中から建物の中へ。

敷地から建物へと向かいましょう。まず、お庭には、植物が植えられています。「前栽(せんざい)」ですね。季節ごとにさまざまなものが楽しめます。

「遣水(やりみず)」というのは、庭に水を引き込んで、川のようにすること。池があったり、川があったり、宮中だと滝があったり…。

そんなお庭から家に入っていくわけです。

部屋ごとに家があって、それが橋でつながっているようなイメージ。

www.kokugo-manebi.tokyo

それが渡殿。橋のイメージです。

とりはずし可能なものとしては、「馬道」とか「打橋」とかになります。前者は外を馬が通るから、あらかじめ取り外せるようにしている感じ。打橋は仮に架ける…という意味の言葉でしょう。

ひとつひとつの建物は、「縁」で囲まれています。そこは「簀子」であったりしますが、ここまでが部屋の外側。

ここはたいてい「蔀(しとみ)」格子で仕切られています。この中が家の中のイメージ。その中は、部屋を囲っている「廂」。でも、廂と部屋も一続きですから、縁の蔀から中の様子が丸見えです。なので、部屋と廂だとたいてい「御簾」、廂の蔀のところは几帳なんかを使って中が見えないようになります。だから、古典だと、ここはのぞき見というよりは、音を聞いている感じが多いと思います。

この中に入るには、「妻戸」からです。

寝室は「塗籠」で壁ありでしたね。

 

奇数が重なる「節句」を覚えよう。

さて、それでは節句の話に行きましょう。古典では「節会(せちえ)」といいますが、さまざまな節句があるわけです。基本的には奇数(陽)が重なるところが節句です。もちろん、それ以外のところもあるわけですが、順におさえていきましょう。

元日節会

一月一日。当然のごとくのお正月。宮中でも同じようにお祝いします。

白馬節会(あおうまのせちえ)

一月七日。宮中に葦毛、白馬を出して邪気をはらいます。青馬というのは、黒い馬のことで、もともと黒だったのを、白馬に変えたんですが、呼び名はそのまま「あおうま」で残ったそうです。

踏歌節会(とうかのせちえ)

一月十六日。歌を詠む行事です。

県召除目(あがためしのじもく)

これは節句ではなく、任官の行事ですね。国司とかを除いたり、任命したりするわけです。これが春の除目。一月十一日から三夜続きます。

上巳祓(じょうしのはらえ)

三月三日といいたいところですが、もともとは最初の巳の日に行われていたようです。

「曲水の宴」などが宮中では行われていたようです。盃を遣り水なんかに流してお酒を飲む…というような行事のようです。

端午節会(たんごのせちえ)

五月五日。馬から矢を放つ「騎射」を観る行事。菖蒲草とか薬玉を献上したりもしていたようです。

乞巧奠(きこうでん)

七月七日。いわゆる「七夕」ですね。手芸上達を願う行事のようです。

重陽宴(ちょうようのうたげ)

九月九日。別名菊の節句です。

正月あたりの行事以外では、古典で出てくる確率が高いので覚えておいた方がいいでしょう。菊の露で体をふいたり、菊を浮かべたお酒を飲んだり…それで「宴」っていうイメージですが、まずは「菊」ということを覚えておいてください。

豊明節会(とよあかりのせちえ)

十一月。新嘗祭に続いて行われます。舞姫が五節の舞を踊ります。

 

宮中の遊び

宮中の「遊び」といえば、まずは「音楽」を指しますね。まずはここがわからないといけません。

それ以外の遊びとしては、「歌合」「貝合」「薫物合」なんていう感じ。歌合わせは、チーム対抗歌合戦っていう感じ。大体、「合はせ」ってきたら、チーム対抗で優劣競っていく感じです。

貝合わせは、同じように、形とか色とか大きさとかを競います。

薫物(たきもの)となると、お香ですね。

こんな感じの遊びがあったわけです。古文の世界だと、貝とかは勝つために、いいものを探したりする場面が出て来るでしょう。