国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

古文単語は意味分類で覚える21 「接尾語」を理解して、単語の予測力をあげる!

古文単語シリーズは終わりが近づいてきました。今日は接尾語です。接尾語を理解するとひとつの単語を中心に派生した単語を理解できます。

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古文単語の接尾語を理解して、単語の予測力をあげよう!

今日の所は接尾語です。単語自体は今まで出てきたものが多いですが、こういう理解をすることで、ひとつの単語から派生した言葉が理解でき、おそらくこうだろうという予測をすることが可能になります。

 

「~なし」は「無い」と「ぽい」

さて、まずはここまでも、何回か説明してきている「~なし」についてです。「~無し」というように「~でない」という意味になる語と「~なし」が「~ぽい」というようになる語に分かれます。

「~無し」のパターンは「よしなし」「わりなし」「なさけなし」

これらのパターンは、上に来る語がない、ということになるわけです。

よしなし…「由無し」理由がない=わけもなく、由緒がない=つまらない

わりなし…「理無し」道理・理屈がない=納得がいかない

なさけなし…「情け無し」思いやりがない=つめたい

はかなし…「果無し」頼り、頼むところがない

というような感じです。で、全部これだと思うと大変なことになる。以下のパターンがあるからですね。

「~なし」が「ぽい」になる語は、「ありません」にできない。

さて、これは現代語で説明しておきましょう。これの典型例が「汚い」と「幼い」です。漢字で書くとわかるように、「な」が漢字の部分に入っているので意識しないケーズもありますが、これが典型例。

「汚」が汚いという意味があるとして、だから「ない」はその状態であることを示すわけです。「幼」もこれが幼いという意味があり、「ない」でそういう状態であると。

こういう語は、丁寧語にしたときに、「ありません」とはできない。「汚い」が「きたありません」とか「幼い」が「おさありません」とかにはできないんです。

これ、「とんでもない」がそうですね。別に言葉が変わっていくから、うるさいこと言うつもりはないんですけど、「とんでもない」は「とんでも」な状態をあらわす方の「ない」なので、「とんでもありません」は誤用です。丁寧にしたいなら「とんでもないです」「とんでもないことでございます」です。

逆に「申し訳ない」は、語の成り立ちが「申し訳=言い訳」が「ない」ですので、「申し訳ありません」「申し訳ございません」はOKです。

この「ぽい」という意味の語が、

「はしたなし」「いはけなし・いとけなし」「うしろめたなし」です。

はした=端=中途半端であること、つまり、中途半端で不似合いなこと。

いはけ・いとけ=稚=幼いこと。

うしろめたし=後目痛し=先行きが心配であること、つまり、先行きを心配している様子であること

こんな感じに理解できると、見慣れない単語を見たときに、「ああ、このまま「~ぽい」って訳でもいいんだよな」となると間違いが減ります。

 

「~たし」は「痛し・甚し」で、「上にくる名詞がすごい」

「~たし」は「~いたし」で、「ひどい=程度がはなはだしい」と覚えるといいですね。

こちたし=「言」がはなはだしい=おおげさな様子

らうたし=「労」がはなはだしい=労力をかけたくなるような、小さくて弱いものを守ってやりたい気持ち=かわいい

うしろめたし=「後ろ」「目=みると」はなはだしい=自分のいなくなったあとにはなはだしく心配な形=先行きが不安である様子

こんな感じです。

 

古文単語のパターンは「擬音」か「名詞・漢語」を動詞化する

古文単語で知っておくとよいのは、「擬音」や「名詞・漢語」あるいは「和語・形容詞など」が多く動詞化していくことです。

まずは実際の説明を聞いてもらった方がいいと思うので、いきなり解説を読んでくださいね。

「~めく」

こういうことを一番説明しやすいのが「~めく」です。

ざわめく…「ざわざわ」っぽい感じ。これが「ざわめく」

春めく…「春」っぽくなる感じ。これが「春めく」。春らしくなってくる感じです。

要は、このどっちかだと思えばいいわけです。

たとえば、

ささめく…「ささささ」する感じ。これが「ささめく」。

ときめく…「時」っぽくなる感じ。「時代」、「今」って感じ。そうです。今を時めくスターって感じです。ちなみに平安期では「ときめく」は「帝の寵愛を受けること」ですね。それが、「今」ってことだからです。

こうやってみると、「胸がときめく」みたいな表現は、「もしかして、「ときとき」めくってこと?」と気づきますね。どこかで勘違いが起こって、胸がときめくようになるわけです。

「~ぶる」

「~ぶる」は現代では、形容詞に「~ぶる」をつけて、「~のように見せる、ふりをする」という意味になります。

悪ぶる、かわいこぶる…という感じです。早稲田なら「荒ぶる」ですか?

古文では、たとえば、「ひたぶる」みたいな感じで出てきますね。

そうすると「ひた」って何だ?と考えるといいわけです。「ひた」…わかります?

ひたひたとする感じ擬音?変だとするなら、「ひた」がついている言葉を探します。

「ひたむき」「ひたすら」…そうですね。だいぶ、同じイメージです。実は、この「ひた」は「直」で「まっすぐな様子」なんですが、そんなのわからなくても、「ひたむきぶる」とか「ひたすらぶる」とかでもいいですよね。

そんな風に類推できるといいんですね。

「~だつ」

「~だつ」は意味としては「~めく」と同じですね。「~ぽくなる」という意味です。

現代語だと、「際だつ」みたいなものに残っていますが、古文だと次のような感じ。

田舎だつ…田舎っぽくなる

大人だつ…おとなっぽくなる

さかしだつ…賢そうにふるまう

事だつ…「事件」ぽくなる=特別なことをする

という感じです。枕草子の「紫だちたる雲の…」というのも、「紫っぽくなる」と訳すなら、このパターンの範疇。

ただ「~だつ」というのを、「~立つ」と解釈したときには、「~しはじめる」と訳すイメージがここには重なっているんですが、そうすると「ぽくなる」ではなくて、それを「~はじめる」とか「目立たせる」とかいう意味にもなるわけですね。「ことだつ」を「言だつ」とした場合、「言明する」とか「取り立てて言う」なんて意味になりますし、「あやにくだつ」となると、「生憎」なことを「しはじめる」、つまり、「いじわるをする」「いたずらをする」というような意味になります。「旅立つ」なんていうのもそうですよね。

「~なふ」

「~なふ」というのは、「という行為をする」ということを意味する接尾語ですね。さっとわかる単語で言うと、

「商ふ」「占ふ」「誘ふ」などの単語がさっとわかる言葉でしょうね。

あとは「うべなふ」などがよく見かけます。「うべ=諾」ですから、承認する、賛成するという感じの語ですね。

「~やか」「~はか」「~らか」

「~やか」と「~はか」は名詞などについて、形容動詞化する言葉ですね。

「あて=貴」につくと「あてやかなり」「あてはかなり」という形になります。現代語でも「爽やか」「健やか」という感じになります。「たをやかなり」なんていうのが現代語と古語の境目でしょうか。物腰が柔らかい感じのときに使いますね。「ちひさかやか」なんていう風に使います。

「~らか」は、「高らか」「安らか」などというように、形容詞+「らかなり」という形で出てきますね。

 

動詞を形容詞にするパターンと形容詞を形容動詞・動詞にするパターン

今度は逆に動詞を形容詞にするパターン。「~し」と動詞に「し」をつけると形容詞になります。

さっきの「めく」が「めかし」になるパターンです。現代語でいえば「古めかしい」みたいな言葉なんですが、考えてみると、形容詞の「古い」が「~めく」と動詞化したうえで、さらに形容詞に戻るんですから、不思議な言葉ですね。

たとえば、「騒ぐ」が「騒がし(い)」になったりする感覚です。

 

動詞の連用形は名詞になる

最後です。表には載せていませんが、動詞の連用形は名詞になります。

遊ぶ→遊び

泳ぐ→泳ぎ

食ぶ→食べ

投ぐ→投げ

という感じですね。

これは、現代語では、名詞化された言葉だけが残っていて、動詞がなくなったようなものもあるんですね。

たとえば、

「もみぢ」というのは「紅葉」なんて漢字をあてますけど、これ、もとは動詞の連用形、つまり「もみづ」というのが「紅葉する」という動詞なんですね。

こういうこともできないといけません。

あるいは、「忍ぶ」が何活用か、なんていうのを考えるときにも使えます。

普通に現代語感覚でやると四段活用のような気がするんですが、ちゃんと勉強していると百人一首で「しのぶれど」とか「しのぶることの弱りもぞする」なんていうのが記憶に残っていて、そうなると二段活用であることはわかるわけです。でも、上二段か、下二段か混乱しますよね?

そういうときに、これを知っていれば、「しのび」と「しのべ」のどちらを名詞として知っているか考えるとわかるわけです。当然「しのび」ですから上二段ですね。

ちなみに四段で活用するのは同じ「しのぶ」でも「偲ぶ」の方。これが現代ではごっちゃになっているんです。

 

以上です。こういう言葉を知っておくの、結構大事だと思いません?