国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

漢文の学習方法5 句法別の理解の仕方 「使役・受身」例文を作って覚える

漢文の句法解説も間があきました。

漢文句法は、句法ごとに覚え方のコツがあるということで、ここまで「否定」「疑問・反語」とすすめてきました。

というわけで、今日は「使役」と「受身」句形です。

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使役と受身は例文を作って覚える!

使役句形と受身句形は覚えるしかない部分があります。

というのは、今までと違って、それぞれひとつの句法、例文にすぎないからです。このたったひとつの句法を定着させるには、さまざまなパターンを自分で作るにかぎります。

したがって、今日のポイントは「自分で漢文を使って適当な文章を作る」ということになります。

ひたすらこれを繰り返すとなんとなく理解できます。

もちろん、「漢文に直せ」というような問題は出ないんですが、それでも、「漢文を作る」練習をするのが一番効果があるように思います。

使役句形「をして」と必ずおくる。

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英語で言うと

make 人 動詞原形

というやつですね。

make,have,get,letなどいろいろありますが、まあ、漢文=中国語もこれに近い。

このmake、むりやり日本語をあてるなら「~させる」に当たる部分が、

使・令・教・遣

などの漢字です。本当は英語同様、どの漢字を使うかで、微妙に命令のニュアンスが異なります。ただ、大学受験レベルでは、これらは同じ「~させる」ととらえて問題ないと思います。細かく覚えたい人は、感じのイメージのまま。

使…~を使ってさせる。

令…~に命令してさせる。

教…~に教えてさせる。

遣…~を遣わしてさせる。

というような感じ。

ここのポイントは、この漢字の直後に「~に」に当たるものが入る場合、必ず、「をして」とふることです。意味が通るからといって、「~に」にしてはダメ。

ちょっとやってみましょう。

私は彼女に頼んで、親にプレゼントを贈らせた。

まず、主語は「私」ですから「我」。助動詞にあたる使役の字「使」。そうすると次は人ですから、「彼女」。で動詞「贈」で目的語(補語という方が正確ですが)「親」で、最後に「贈物」。みたいな感じ。

中国語に詳しい方や漢文の専門家の方。このへん、あんまりつっこまないでください。あくまでも、受験生に漢文の構造を軽く教える、という目的なので。勉強不足ですいません。

我使彼女贈親贈物

という漢字です。

もし、これを「をして」でなく「に」を使って書き下すとこうなります。

我、彼女に親に贈物を贈らしむ。

そうなんですね。漢文の語順を見る限り絶対にプレゼントは親に贈られているんですが、日本語にすると、どっちだかわからなくなってしまいます。

ですから、命令して使う対象は「をして」とふって違いをあきらかにするわけです。(きっと。)

じゃあ、こんなのはどうでしょう。

我 使 広瀬 贈

我 使 贈 広瀬

前の方は、「私が広瀬を使って、誰かに贈らせる」

後の方は、「私が誰かを使って、広瀬に贈らせる」

両方とも、もし「広瀬に」と読んでしまうと、

前が、「我広瀬に贈らしむ」、後が「我広瀬に贈らしむ」で同じになります。

だから、読む時は、前が「我広瀬をして贈らしむ」とする必要があるわけですね。

では、練習してみましょう。

  1. 私は探させた。
  2. 私は彼に歌わせた。
  3. 私は彼を学校に来させた。
  4. 私は彼に彼女に対して質問させた。

もちろん、好きな芸能人に自分に好きって言わせる、みたいな遊びをしてもいいんですけどね。

 

では、正解。

  1. 我使探 我探さしむ 我使(レ)探
  2. 我使彼歌 我彼をして歌はしむ 我使(二)彼歌(一)
  3. 我使彼来学校 我彼をして学校に来さしむ 我使(三)彼来(二)学校(一)
  4. 我使彼問彼女 我彼をして彼女に問はしむ 我使(三)彼問(二)彼女(一)

という感じです。

 

「~しむ」と読むのは一回だけど、囲まれた部分は全部「させる」

つづいて、こういうことがわかるとどこまでが使役かがわかります。つまり、使役の助字に戻ってくる、囲まれた部分は全て使役対象になるんです。

ちょっと例文

我使人行売店買弁当食之。

さて、この例文ですが、もし、こう返り点がうってあったら…

我使(下)人行(二)売店(一)買(二)弁当(一)食(上レ)之。

よくみてくださいね。

「使」というのは、「食」から戻っています。下点ですから、上点までがくくられています。

となると、この文章は、囲まれた部分をすべて「させて」いるんですね。

我使(下)行(二)売店(一)買(二)弁当(一)食(上レ)之。】

ということです。

つまり、

「私は」「人に」「売店に行かせ」「弁当を買わせ」「之を食べさせた」

ということ。

ところが読みは、一回しか「しむ」をつけない。

我、人をして、売店に行き、弁当を買ひ、之を食はしむ

 というわけで、書き下しだけしか信じていないと、意味を間違う。こういう返り点から文章構造を理解して、意味をとるということが必要です。

ちなみに、「私が売店に行って弁当を買って」「人に食べさせた」なら、

我行売店買弁当、使人食之。

という語順のはずです。

また、さっきと同じ語順でも

我使(下)人行(二)売店(一)買(中)弁当(上)食(レ)之。

こんな風に振ってあるなら、

我使(下)人行(二)売店(一)買(中)弁当(上)食(レ)之。

 使役は赤の部分までですから、

人をして売店に行き、弁当を買はしめ、之を食ふ。

人に売店に行かせて弁当を買わせて、自分がこれを食べる。

という風になるはずです。

 

受身1助動詞にあたる漢字を使う

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では、続いて、受身句形のひとつめ。これは、日本語の助動詞にあたる

被・見・所・為

とかを使うパターンです。

これは単純に動詞の前について、助動詞になるだけ。

たとえば、「食べられる」なら

見(レ)食

みたいな感じです。簡単。

ただし、読みには注意が必要で、

食べらる

ですね。なぜなら、二段動詞だから。

これが四段動詞になると、たとえば「読まれる」なら、

見(レ)読

で、

読ま

食べらる、なら、振り仮名が「見(ル)」ですが、読まる、なら、振り仮名はなしです。

これは、日本語の問題ですね。わからない方は、 

manebikokugo.hatenadiary.com

 とか、

maneb0ikokugo.hatenadiary.com

を参考にしてください。

で、もうひとつなんですが、受身の構文が出てくると「~に」がほしくなりますよね?

英語だと「by」を使うやつです。よくやらされましたよね?

漢文では、「於」がこれにあたります。

たとえば、「この本は皆に読まれる」だとすれば、

本見読於皆

みたいな感じ。

さあ、これも、好きなように練習しましょう。「私は広瀬すずちゃんに好きと言われる」だったら、

我見告於広瀬

みたいな遊びです。「告」に「好きという」という意味があるとは思いませんが、句法を理解するだけですから、気にしないで遊びましょう。

 

 受身2句法を使う

さあ、受身句法のもうひとつです。これは、ちょっと工夫がいりますね。

S為A所B

みたいな感じで書かれて、AのBする所と為る、なんて書かれて、AにBされる、みたいに覚えると後で混乱するわけです。

というわけでイメージ。例文作りますね。

我為先生所怒

まず、着目してほしいのは、「先生所」です。

これは「先生のスポット」です。

どんなスポットかというと「怒り」スポット。「所」っていう字は、返るので、そのことは覚えておきましょう。下から返るんです。

あなたは歩いていくと、そのスポットに「為る」んですね。

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受身のイメージ。先生が怒っている所に、あなたがすぽっとはまる=為る

わかりましたか?

これであなたは先生に怒られるわけです。

よくあるミスは受身と覚えてしまったばかりに、「怒らるる所」と振ってしまうことですね。

「先生が怒られているところ」にあなたがなっても、笑ってしまうだけなので、ここは「怒る所」とそのままにしなければいけません。

書き下しは、

「我先生の怒る所と為る」ですね。

返り点を入れると、

読むときは何もつけず、読まない時は〇をつけて、あとで順番に振る

ですから、

「我」は読むのでそのまま。

「為」は読まないのでとりあえず〇をつける。

「先生」は読むのでそのまま。

「所」は読みませんが、すぐ下から一字戻るので「レ」点。

「所」から「為」は飛んでいるので、「所」から「一」、「為」が「二」

です。

我為(二)先生所(一レ)怒る

ですね。

これをさっきの助字を使うパターンにすると、

我見怒於先生

で、

我先生に怒らる

となるわけです。

理解できましたか?

そしたら、また広瀬すずちゃんに告白されてみますか?

シマウマがライオンに食べられてみますか?

どうでしょう?

 

私はなりますよね。広瀬スポットに。それは告白スポット。

我為広瀬所告

縞馬はなります。ライオンスポットに。それは食うスポット。

縞馬為百獣王所食

 

みたいな感じ。練習して定着させましょう。

 

今日のポイント

使役も受身も漢文で例文をいっぱい作って理解する。

でした。

 

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