国語の真似び(まねび) 受験と授業の国語の学習方法 

中学受験から大学受験までを対象として国語の学習方法を説明します。現代文、古文、漢文、そして小論文や作文、漢字まで楽しく学習しましょう!

漢文の学習方法8 句法の2周目 「否定形」と「反語・詠嘆形」を中心に。

久しぶりの漢文句法です。ここまで、基本的な句法で1周してきました。ここで2周目。やや応用的なまちがいやすいところを確認していきます。

漢文句法を全部終わらせたわけではないので、入試間近ではありますが、最終的な確認に入ってみたいと思います。

今日の話は、基本事項がある程度入っている前提です。もし、不安だったり、はじめてこのサイトを訪れたという方は、ここまでの漢文の講義全部、どうしても簡易で済ませたい方は、最低限、次のものを読んでおいてください。 

www.kokugo-manebi.tokyo

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それでははじめていきましょう。

 

否定の句法を補強する~「無~不~」と「無~無~」。

句法というのは、

「ある漢字を見たら、どう読むか、どういう意味になるかのパターンを覚える」

ということです。

実際、送り仮名をひとつ間違うだけで、平気で×をつける感覚です。だから、「暗記」であることは間違いないんです。

ただ、こうなると、「ある漢字を見たら、絶対に意味や読みが決まる!」と思ってしまうんですが、意外とそうでないケースがあるんですね。

その典型例が、

無~不~

無~無~

のパターンになります。

これらのさまざまな可能性を見ていきましょう。

単純接続 「~無くんば~ず」

まず、一つ目の可能性は、二つの文が単純につながっている、という可能性です。

無本、不読。

のような形であれば、前半が「本無し」。後半が「読まず」ですね。これをつなぐと、「本無くて読まず」のような形になりますが、漢文は、この時「~ば」を送って、

「本無くんば読まず」

のような形にすることが多いんです。

「~ずんば」「~くんば」というのを呟いて、覚えてもらうといいというのは、前回の否定形の時に書きましたね。

「不(〇)不読む」のようなときに、

「読まずんばあらず」みたいに読むんだよ、という話です。

無人、無会。

みたいなことになれば、

人無くんば、会無し。

人がいないので、会は無いです。

というような感じです。

「~として~ざるは無し」

つづいて、「無」のあとにSVがくるようなイメージがこれ。

無人不助。

のような形。この場合は、無(人不助)と見た方がいいですよね。(念のため書きますが、これは意味が適切なようにとる、としかいえません。もちろん中国語ができれば、「ありえない」などの説明があるのかもしれませんが、そういう知識を使わないとすれば、可能性を探って、文中の意味としてありうべきものを選ぶしかないと思います。)

「無」は下が主語ですから、

(人不助)がない

ということです。

この時、( )の中を(人助けざる)としてもいいのですが、意味を考えると、「人はみな」というようなニュアンスではないかと気づきます。

したがって、この時、

として助けざるは無し。

というように送るんですね。ポイントは「として」と送ること。そして、その「人」の部分は、一般的な名詞になります。

たとえば、私が適当に作ると、

無先生不教。

先生として教えざるは無し=先生で教えない者はいない=先生はみな教える。

無花不咲。

花として咲かざるは無し=花で咲かないものはない。=花はみな咲く。

というような感じです。

これは、「無~無~」にしても成立します。

無花無実。

花として実無きは無し。=花で実がないものはない=花にはみな実がある。

というような感じです。

じゃあ、これを、「無花、無実」と解して「花無くんば、実無し」と読んではいけないのか?いや、意味が成立すればありですね。

ただ、意味はふたつで変わります。こちらは「花がなければ実がない」です。どちらが本文に合うのか考えて、解釈する必要があるわけです。

「~と~の区別無く」

これで終わればいいのですが、もうひとつまったく同じパターンが存在します。このパターンは、

「無~無~」

だけではありますが、次のようなもの。

無貴、無賤。

という形です。

この句法のポイントは、

、無

という「貴」「賤」のところが対義語になる、ということです。

貴と無く、賤と無く

高貴な身分の人と、身分の低い人との区別なく

という読み、訳になります。

これは、まとめて、

無貴賤、

貴賤と無く

貴賤の区別なく

というように使われることもあります。

少長=若い人と年長の人

とか、かぎられたパターンではありますが、覚えておいてくださいね。

 

反語句形と詠嘆形

部分否定と全否定の話は覚えていますか?

A 不必歌。

B 必不歌。

という語順で、意味が変わるという話です。

Aは 不(必歌) ですから、(必ず歌う)ということが違う。つまり、毎回必ずは歌いませんよ。

Bは 必(不歌) ですから、(歌わない)ということが必ず。つまり、毎回必ず絶対に歌わない。

でしたね。

今回は、この例外パターンから始めます。

「敢不歌」と「不敢歌」 

この「敢」だけはまったく、意味が違う形になります。「あへて~ず」というのは、古文でも出てきますが、「決して~ない」、または「あえて(意図的に)~しない」というような意味でとりますね。

その意味になるのは、

不敢歌。

敢えて歌はず。

決して歌わない。

です。

では、語順が変わった「敢不歌。」はどういう意味かというと、

敢不歌。

敢えて歌はざらんや。

どうして歌うだろうか、いや歌わない。

という反語句形になります。反語は、「~ん(や)」ですから、これは大事なところです。だめな人復習ね。

これ、覚えにくいですよね。私が教えているときにあげているポイントは、

  1. まず、「敢不歌」「不敢歌」が例外であることを意識する。
  2. 反語と「決してない」という訳だけ覚える。どっちがどっちかはまず忘れる。
  3. 「敢不歌」を思い出して、反語といえば出て来る「豈」を思い出す。「豈」は文頭にあるから、「敢」も文頭にあるのが反語。

という形で教えています。いかがですか?

ところが「豈不~」のパターンは詠嘆形。

となるんですが、じゃあ「豈」は全部「豈に~んや」という反語形かというと違うんですね。

豈不大丈夫乎

のような感じで「豈不~」となった時には、詠嘆形ですね。

豈に大丈夫ならずや

と読んで、

なんと立派な男ではないか

というような訳になります。

これは、簡単にいえば、反語形と同じですよね?

仮に反語ととった場合、

豈に大丈夫ならざらんや

となり、

どうして大丈夫といえないか、いやいえる。

となりますから。

でも、これを詠嘆形として、最後を「んや」にしない決まりになっている以上、詠嘆形でとる必要があるわけです。

これを理解するのに、大切な句形は、

亦不楽乎

亦た楽しからずや

なんと楽しいことではないか

ですね。さきにこっちの句法を頭にいれておけば、「亦」と「豈」が変わるだけですから、そんなに問題がありません。

ここで、前提となっている古文の知識は、

疑問は反語で、そして詠嘆であるということ

です。

というわけで、もうひとつ詠嘆句形を出しておくと、

何(其)多能也。

何ぞ(其れ)多能なるや。

なんと多くの才能があることよ。

という形ですね。さっきまでのものは、全部「不」が入っていて、それを文末で「~ではないか」というようにやっていたわけですが、肯定文でも、当然詠嘆できるわけですね。

 

「何不~」と「蓋~」は「んや」でないけど反語形

今、「何」を扱ったところで、もうひとつ注意が必要なのが、「何不~」「蓋~」の形です。

反語の文末は「ん(や)」と教えてきましたが、唯一の例外がこれ。細かい理由はわかりませんが、慣習としてこうなっているとしか言いようがないかもしれません。

蓋歌

は再読文字で、

蓋ぞ(なんぞ)歌はざる。

でしたよね。私は語呂合わせで、「去る」とか「皿」とか見つけて、「見ざる・言わざる・聞かざる」連想しろと教えます。だから「~ざる。」

これと同じなのが「何不~」と覚えるのがいいと思います。で、反語です。

最後に残って、試験で得点するのは、「漢字」。次回以降の予告。

以上で、だいたい試験に出やすい句法はカバーできたと思います。ここから先は漢字の問題が入ります。

私は漢字を、

  • A覚える
  • B日常

のふたつにわけて説明していますが、少なくともAは覚えなければいけません。で、Aを分解すると

  • 違う漢字を覚える。=句法の(  )の中に書かれている、それ以外の漢字を覚える。
  • 旧字を覚える。=覚えるといっても、眺める程度。国公立二次などでは特に重要です。
  • 同訓異字を覚える。=同じ読みだけど、漢字によって意味が異なるケースがあります。こういうものを覚える。
  • 句法に関わる頻出漢字を覚える=「与」とか「如」「若」とか「自」のようにいろいろな使われ方をする漢字を覚える

という形になっていきます。この漢字の説明は下手をすると、ただリストを作るだけのようになりますから、どのように進めるか考慮中です。リストだけなら、書店で参考書を買ってもらった方がいいでしょうし。

でも、これが一番得点になる部分で、大事だということを理解して学習を進めましょう。