今日は助動詞の接続の分類を説明します。比較的みなさんも覚えているかもしれませんが、イメージ化のテクニックを使ってまずはここから説明します。助動詞ごとに覚えるのではないんですね。
というわけで、古典文法シリーズは品詞分解をベースに説明してまいりました。manebikokugo.hatenadiary.com
わからない時に品詞分解をしてわかろうとする。
そのためには、
- 現代語で動詞を探して活用させる=動詞の活用の理解
- 活用形から、助動詞の接続であたりをつける=助動詞の接続の理解
- あたりがついたら、意味の理解で訳をつくる=助動詞の意味の理解
ということなわけで、いよいよ、この2番目まで来たわけです。
そもそも、使う形で助動詞を覚えてしまいましょうね、というのが前回の話でした。
要するに、
- 使う形でそもそも覚えてないといけない
- 箱に入れて整理した方が忘れにくい
ということだったわけです。
というわけで、まずは、助動詞の接続を覚えましょう。
「未然・連用・終止・連体・已然」5つの箱は言えますか?
もう動詞の活用、形容詞の活用とやってきましたから、大丈夫だと思いますが、接続の見出しとなる「箱」は大丈夫ですよね?
未然形接続
連用形接続
終止形接続
連体形接続
已然形接続
の5つの箱を用意してください。
これは、助動詞というものは、上にくる言葉をある一定の形に変える、ということを気付いて、分類したものです。
たとえば、現代語で打消しの「~ない」という言葉を考えてみたときに、
咲く→咲かない
読む→読まない
食べる→食べない
などのある決まった形にしかなりませんよね?
「咲く」は、「咲きない」とか「咲くない」にはならないし、「食べる」は「食ばない」とか「食びない」とか「食ぶない」にはなりませんよね。
なんで?と言われると、普通の人は説明できません。「そう言うし」みたいなことになってしまうわけですが、それを法則のように説明するのが、この接続であり、活用であるわけです。
それは助動詞ごとに違っていて、
「ます」だったら、
咲く→咲きます
読む→読みます
食べる→食べます
みたいに、助動詞ごとに何かしらのルールがあるわけです。
というわけで、その助動詞の上が何形になっているか、というのが接続。
未然形接続、であれば、その助動詞の上は必ず未然形になる、ということです。動詞の活用なんて、どうでもいいといえばどうでもいいのですが、この接続から分類するためには、動詞の活用がわからないといけない、ということでもあるのです。
では、覚えているか唱えてくださいね。大丈夫だと思いますけど。
未然形
連用形
終止形
連体形
已然形
ですよ。
というわけで、ここまで記憶の仕組みにもとづいて、
接続・意味・活用という3つの箱を作り、
接続の箱の中に、5つの箱を入れたわけです。
接続をイメージ化をしてみましょう。
では記憶のためにはイメージ化です。それについてはこちらをどうぞ。
すごく簡単にいうと、語呂合わせって覚えられるよね、という話です。というわけで、私の話をイメージして、語呂をとなえてください。
未然形:むずむずするじんましんでまあおしりかゆい。
なんだか、おしりがむずむずしてかゆい。部屋の中で、確認してみたら、おしりにじんましんができています。困ったなあ…
唱える:むずむずするじんましんでまあおしりかゆい。
5回ぐらいつぶやいてくださいね。ストーリーを映像化しながら。
これが未然形接続。
次のものが書けるか確認しましょう。
む・ず・むず・す・る・じ・まし・(で)・まほし・(り)
です。
す=す・さす・しむ
る=る・らる
ですね。
連用形:きつねけむたし、けりたり
そうしていると「コンコン」とノックの音がします。誰かと思ったら、きつねでした。(ノックではなく、鳴いていたんですね。というのは授業で受けたことはありません。あー、という感じです…)きつねは言います。「大変だね。じんましんができてるよ。」わかってるよ、とあなたはいいます。「じんましんはかゆいよ。」そうだよ、当たり前だよと言います。「これはじんましんだよ、じんましんはかゆいよ」ときつねはしつこい。うるさい、と思ったあなたは、きつねを蹴り上げます。
唱える:きつね、煙たし、けりたり
5回ぐらいつぶやいてくださいね。
では、次のものが書けるか確認しましょう。
き・つ・ぬ・けむ・たし・けり・たり
「ね」ですが「ぬ」です。おまけしてください。
終止形:らむちゃんまじめになるべし
きつねが泣きながら去っていくのを窓から眺めます。すまなかったなあ、なんて思いながら。そうすると、道の向こうから、うる星やつらのラムちゃんが歩いてきます。
でも、このラムちゃんはふまじめで、全然虎のビキニとか着てなくて、たばこかなんか吸ってるんです。君は思います。もう少しまじめにならなくちゃ‥
唱える:ラムちゃんまじめになるべし
5回ぐらいとなえましょうね。
では、次のものが書けるか確認しましょう。
らむ・(ちゃんはなし)・まじ・めり・なり・べし
です。
連体形接続:なり・たり・ごとし=ブタゴリラたるのごときなり。
というわけで、これは唱えた方が早いかも‥
一応、ラムちゃんが去ったあと、キテレツ大百科のコロ助が出てくるストーリーはあることはあるのですが、生徒が使った形跡はなく‥イメージの方が面倒みたいですね。
キテレツ大百科のコロ助が、ブタゴリラに向かって、「たるのごときなり」と悪態をつく
という話ですが、まあいいです。
已然形接続:りかちゃん、サミシイ。
最後はこれを唱えておしまい。
「り」はサ変の未然形と四段の已然形につくので、サ未四已で、さみしい、ですね。
ちなみに下二段活用だったら、何形につきますか?
正解は‥
つかないですね。だって、サ変の未然と四段の已然ですからね。
これでイメージ化は終わりです。
これが言えれば、助動詞の1/3が終わりなんですよ。
「接続ぐらいもともと言えるし」という人もいるでしょう。でも、それが助動詞の1/3だと思えば、うれしくなりませんか?
終止形接続の確認
最後に、終止形接続の確認です。終止形接続は正確に言うと、
終止形(ただし、ラ変型については連体形接続)
と書いてあります。
これはどういうことかというと、
ラ変が変態だということですね。
ラ変は動詞のくせして、終止形が「り」とiで終わるんですね。終止形接続の助動詞は、uにつきたいんです。
たとえば、「べし」を考えてみたときに、「あり」という終止形についたら、
ありべし
‥変ですよね。
uにつきたい。
あるべし
すっきりします。
というわけで、ラ変の動詞、あるいはラ変に似ている「り」で終わる助動詞たちは、「ある」というような「u」「る」につきたくてしょうがない。それが連体形ということですね。
ちょっと注意してください。
「る・らる・す・さす」の接続は覚えなくていい
で、最後に
「る」と「らる」、「す」と「さす」の接続の違いです。
「る」「す」が 四段・ナ変・ラ変の未然形
「らる」「さす」が それ以外の未然形
につきます。
でも、これ、覚えてなくて大丈夫。
なぜなら、これらの助動詞は現代語の感覚にとても近く、私は「現代語グループ」と名付けています。意味も、活用も、まさに現代語の感覚でクリアできる助動詞です。
たとえば、動詞を現代語でイメージします。それを受け身と使役にしてみます。
読む→読まれる・読ませる
食べる→食べられる・食べさせる
遊ぶ→遊ばれる・遊ばせる
投げる→投げられる・投げさせる
こんな感じです。
そしたら、これをひとつの動詞だと思います。「~る」で終わ動詞は「る」をとって「u」に変えますよね。忘れた人は下でもう一度確認お願いします。
要は、下ニ段動詞ってことです。
でも、動詞の活用がわかるなら、切れ目はそれぞれ、
読ま・る、読ま・す
食べ・らる、食べ・さす
遊ば・る、遊ば・す
投げ・らる、投げ・さす
ですよね?というわけで、覚えてなくても何がつくかはわかります。
ちなみに、
四段・ラ変・ナ変は未然形がaなんです。
それ以外は、
下二段 e
上二段 i
上一段 i
下一段 e
サ変 せ=e
カ変 こ=o
とa以外です。
この人たちはどうしてもaにつきたい。だから、aでないときには自分でaをもってきてしまうんですね。それで「らる」「さす」。
そんな感じです。
というわけでここまでは普通と言えば普通。次回は同じことを、意味でやっていきます。ここからは、オリジナルですよ。