古文単語シリーズ6回目。今日は「不快な気持ち」の2回目です。不快=いやだ、っていうのは、いろいろな言葉があるんだなって思います。
センターはじめ、入試が近づいてくれば、暗記ですむことが多い単語や文法は総復習したいところ。12月に向けてなんとか、早く単語一覧を完成させたいです。意味分類の表を作って理解しようというシリーズです。
前回はこちら。
今日は、そこに入りきらなかったものをまとめます。
- 「あだ(いたづら・つれづれ)」「徒」と「まめ」「実」
- 「すさまじ」と「さうざうし」は現代語とイメージが違うので頻出。あいなし、も仲間。
- 「よしなし」は「由」で連想を。
- 「はかなし」は「はかばかし」と一緒に。
- 「いい加減」「ほったらかし」グループ
- 最後に「なめし」「つたなし」
「あだ(いたづら・つれづれ)」「徒」と「まめ」「実」
まずは、真ん中にある「徒」の字です。
あだ・いたづら・つれづれ
と読むんですが、
「ムダ」「退屈」「不誠実」なイメージです。
これをきちんとおさえるためには対義語の「実」=「まめ」をセットにするといいですね。
「まめ」はその語感で「まじめ」と覚えてしまう人が多いんですが、「実」の漢字を使って、
実直・実用的・誠実
なんて感じにしておくと、対義語としての「徒」=「あだ」が理解しやすくもなります。
「徒」がムダなら、対義語の「まめ」には、実用的・役立つもの、という意味がありますし、「実」が「まじめ」なら、対義語の「あだ」にはふまじめがあるということですね。
「あだ」はよく「浮気」(不誠実の意訳ですね)という形で使われます。これは頻出。
「すさまじ」と「さうざうし」は現代語とイメージが違うので頻出。あいなし、も仲間。
その「つれづれ」というのが、退屈でつまらない、という意味があるのですが、それに非常に近いのが、「すさまじ」と「さうざうし」です。
「すさまじ」は、現代語では「すさまじい」ですし、「さうざうし」は現代語では「騒々しい」ですので、この「退屈でつまらない」感とは大きくずれますから、よく入試でみかけます。
「さうざうし」は漢字をあてると、「寂々し」ですから物足りない感じで意味が逆ですね。
「すさまじ」は「興ざめ」です。「殺風景」でもいいです。やっぱり物足りない感じ。このグループに入れてセットにしておくのがコツです。
「すごし」もこのグループの仲間。「すさまじ」と同じようにおさえておくとよいでしょう。
あいなし=愛無し、で、「気に食わない」ですが、おもしろみがなく、つまらない、とか、むやみやたらとわけもなく、とかいう意味にもつながっていきます。これは次の「よしなし」に近い感じ。
「あぢきなし」もここのグループでもいいでしょう。不当な感じでけしからん、というのが入っていますが、無益でつまらない、という感じなら、ここに入れてもいいかも。
いずれにせよ、今日のグループってことですね。
「よしなし」は「由」で連想を。
続いて、「よしなし」です。
「よしなし」は「由無し」ですので、「由」が何かわかるかどうか。
漢字の連想ですね。
由緒=「由緒」がない=つまらない=どこの馬の骨ともわかない
理由=「理由」がない=わけもなく
ですね。
「わけもなく」なら「すずろなり」「そぞろなり」が近い感じです。
「由」にそういう意味があるわけですが、「由」には「~こと」という意味もあることを忘れずに。「仰せの由承り候」みたいな文章のときは、
「おっしゃった理由を承りました」でも「おっしゃった由緒を承りました」でもなく、
「おっしゃったこと(内容)を承りました」ですよね。
「はかなし」は「はかばかし」と一緒に。
「はかなし」は「果無し」です。対義語は「はかばかし」で「果々し」です。
「果」が「頼り」で「よりかかるところ」「成果」みたいなイメージなんでしょうか。それがあると、「はかばかし」で、ないと「はかなし」。
頼りがいがあるのと、頼りにならないのと。
ですから、「はかなし」には、「死」のイメージがあります。「むなし」も一緒ですね。隠語というやつです。
それから、「はかなし」には、「ちょっとした」「つまらない」という意味があります。この「つまらない」は「たいしたことのない」の方ですよ。これも意外と出ることが多いのでおさえておきましょう。
「いい加減」「ほったらかし」グループ
このグループは、ほったらかしの感じです。
なのめなり・なほざり・おろかなり
ですね。いい加減な感じなんですが、注意が必要なのは、「なのめ」。
「なのめ」は、「いい加減」というマイナスに行く意味と「普通」という、これも本来マイナス気味ではあるんですが、そのふたつの意味があるんですね。
で、なのめならず、になると、「格別」という意味になっていきます。ちょっと注意が必要。
おろか、は「おろそか」をイメージするといいと思います。「言ふもおろか」なんていう形も、悪いことをいっているわけですね。
最後に「なめし」「つたなし」
なめし、はよく出るんですが、「無礼」です。「なめてんじゃねえよ」っていう、あの「なめる」の形容詞イメージですね。
つたなし、は下手だ、です。拙し、ですから。
次回は、病気・死の単語にしたいと思っています。